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”魅力と嫌悪を同時に感じた”読書note54「中原中也 悲しみからはじまる」佐々木幹朗

大学の図書館が改装のためしばらく閉館になるというので、少し多めに本を借りたら、中原中也関連本が3冊にもなった。きっと心が欲していたのだろう。

中原のことをよく書いている佐々木幹朗の著作。この本は、氏が中原の人生でキーとなっている詩を時系列で取り上げ、中原の人生と関連付けて解説してくれている。

中原中也と小林秀雄は、不思議な友情と三角関係から、誰も立ち入れない特別な関係になっている。その小林の中原第一印象が「魅力と嫌悪を同時に感じた」であったらしい。

佐々木は中原の詩を「悲しみのテクスチャー」と表現している。テクスチャーは平面的で縦横の糸が織り目をなすという意味。対して、ランボーのものはストラクチャー(立体、構造)と言っている。日本の叙情や私小説のようなものは、確かに平面的な広がりという例えができるかもしれない。

悲しみで編みこまれた毛布にくるまれたくなる時があるよね。

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