NHK『みんなで筋肉体操』—一年続けてみた

2020年1月 とある会誌に寄稿した文章です。

 ある行動を習慣化するのには、おおむね三ヶ月かかるそうです。良い習慣を身につけるのも三ヶ月なら、悪い習慣と縁を切るのも三ヶ月。三ヶ月の禁煙外来を完遂出来た患者さんの方が、完遂しなかった患者さんよりも禁煙率が高いのも宜なるかな。
 その習慣化ですが、私は正直言って苦手です。そもそも三日坊主の権化で、習慣に至らないことが殆どな上に、稀になんとか三ヶ月を乗り切って、半年、一年続いて、もう身についたでしょうという行動があったとしても、ある時を境にぱったりしなくなったりします。ラジオ体操が続かなかった理由も、早起きが苦手のみならず、私のそういう特性故もあったようです。習慣化に関して、私は人並み以下の能力しか持ち合わせていません。
 そんな私ですが、NHKの『みんなで筋肉体操』は一年以上続いています。そこで、続いている原因を分析してみました。
1) 時間が短い—1日わずか5分。慣れたら解説を飛ばして3分。間で1分の休憩が入るので実質運動時間は2分という超短時間。時間が無いという言い訳は通用しません。
2) アクセスが容易—テレビを付けて、DVDを立ち上げて、録画を探して…では,私には遅すぎます。YouTubeに公式動画が上がっていますので、スマホやタブレット端末から、思い立ったらその場で再生。道具は不要で、すぐ出来ます。アクセスまでのハードルが低い事は重要なポイントです。
3) SNSに投稿—運動が終わったら即、ツイッターに投稿します。フォロワーの目があるのでうっかりやめられなくなりました。
4)番組そのものの工夫—第一弾の運動に慣れた頃、第二弾の運動が披露され、第三弾では女性も登場しました。この新春には特番(と言ってもやっぱり5分)もありました。適度に新しい刺激を加えてくださる、番組の工夫もありがたいところです。
5) かけ声のナッジ効果—単に「あと3回」ではなく「あと3回しかできませ~~ん!」と言われると、ポジティブになれます。行動変容に対するナッジは経済学におけるトレンドで、『みんなで筋肉体操』のかけ声がまさにそのナッジである、と、環境省から表彰をうけたのだそうです。さもありなん。
6)効果を実感—出来なかった運動が出来るようになってくる喜びに加えて、生活のいろんな場面で効果を実感する事が増えてきて、続けるモチベーションが維持できます。
 そうして、ついに、利き足の右脚だけでなく、左脚片足でも40cmの椅子から立ち上がれるようになって、脱ロコモいたしました。
 何歳になっても筋肉は鍛えられる。筋肉は裏切らない! 気になられた方は、ネットで番組ホームページをご覧になるか、YouTubeで検索されて、お試し下さい。

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