内から外へつながるスロープをたどって
昨年の夏の日のことを思い出しながら書いている。
大きな自転車が届く前に志賀島へ行った時のこと。
小さなウルトラライト7が楽しいのは、30km程度
までなので、自宅から往復60km程の志賀島一周は、
中くらいの自転車のダッシュアルテナの出番である。
天気予報も見ずに出発したはいいものの、少し雲行き
が怪しいと思っていると、空からしっかりと大粒の雨。
とにかく雨宿りできる場所を探すことに。ちょうど
アイランドシティを通りがかったところだったので、
前から興味のあったぐりんぐりんに立ち寄ってみる。
ぐりんぐりん 伊東豊雄 2005
体験学習施設ぐりんぐりんは、建築家の伊東豊雄氏に
よって設計された。花とみどりをテーマとする3つの
内部空間で構成される。それらは通路やスロープなど
を通じて外部を取り込みながらゆるやかにつながる。
少しの雨宿りのつもりが、いつしかスロープをたどり、
雨に濡れつつも遊歩道をぐるぐると歩き回っていた。
建物は、覆いかぶさるように成長した緑に包まれて
自然の丘の様相を呈している。洞窟のような空間から、
スロープにより自然と一体となった外部に導かれる。
建物は1つの曲面が2回捩れることにより3つ空間が
作り出されているとのこと。複雑なことになっている。
何よりすごいのが天井のガラス面である。複雑な
形に沿って組み合わせられ、部分的に換気窓として、
開け閉めができる。広いガラス面により、光は内部に
取り込まれ亜熱帯植物に適した環境をつくっている。
職員の方々は皆、親切であった。自転車が濡れない所を
探していたら、中に停めていいですよとお声がけ頂く。
亜熱帯植物や、内部で放し飼いの蝶々についても説明
頂いた。雨模様でも、皆さんの熱心に仕事をされている
姿をみると、こちらも植物や施設を大切にしたいとの
思いになる。他にはない唯一の空間がある施設である。
維持は大変だけど、愛される建物であり続けて欲しい。
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