オペラのオペラがある理由
甘いものが好きである。もちろんお酒のアテの
辛いものも、食べ物としてみれば満足である。
だが、味わい以外の要素である見て楽しむと
なると甘いものに軍配があがる。スイーツは
ときに自然を模したり、動物のようでもあり、
また、建築的なシルエットを帯びることもある。
志賀島へのサイクリングの帰りにくたくたに
なりながら、疲れた体を甘く癒やしくれる物
を求めて、お菓子の工房オペラに辿り着いた。
角地に面したお店は、緑に囲まれ良い雰囲気。
建物の色はチョコレートケーキのようである。
ショーケースを眺めるのは楽しいひとときだ。
なぜか、わくわく感がこみ上げてきてしまう。
小さい頃、近くのケーキ屋さんに連れて行って
もらうのが楽しみであった。ショーケースに
ぺたりとはりついて、ケーキを眺めていたこと
を思い出す。今でも自分が小さな子供であれば、
近くでまじまじと観察したい気持ちに駆られる。
どれにしようかと、目移りしながらも選んだ
のはオペラ。やはり建築っぽい形の物にした。
店の名前にもなっているので最初はこれかな
という感じで。モンブランにも惹かれたが、
チョコレートが好きなので、やはりオペラ。
洋酒が入っていて大人な風味なのと、地層の
ように重なるグラーデーションの感じが良い。
オペラは、コーヒーと洋酒のシロップを染み
込ませた生地とチョコレート、クリームを何層
も重ねたフランスの伝統菓子であるとのこと。
店名になっているその名は、オーナーシェフが
修行で訪れたパリで、最初に食べたお菓子の
感動を忘れないためにつけられたとのこと。
お菓子に対するまっすぐで、強い思いがある。
洋酒を含んだ生地は、しっとり甘く濃厚で、
少しビターなチョコレートは大人の味わい。
疲れた体に、甘い香りが溶け込んでくる。
今日一日に思いを馳せ、ありがたく頂く。
photoフリーサイトより参照
1955年にパリの洋菓子店ダロワイヨが発祥の
オペラというお菓子は、オペラ座をモデルと
されて、ケーキの表面には屋根に立つアポロン
の黄金の琴にちなんで、金箔が施されている。
金箔にそんな意味があるとは、驚きである。
調べてみると、意外なことがわかってくる。
そこには、見て、味わって、調べて知識を
得られ、食べるだけではない楽しみがある。
ケーキに込められた深いメッセージを味わい
ながら、次のケーキに思い馳せることにする。
次はどんな形のケーキにするか、いや和菓子も
よいか。甘いものに込められた魅力の虜である。
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