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その格子戸の奥にある美しき世界

有田の町を楽しむ旅を続けている。トンバイ塀の無数
の茶色。ひな祭りの飾り付けの彩り。西洋館の薄い緑に
陶山神社の淡い青。立ち止まり、また進み、町に散り
ばめられた美しさをたどる。そしてその格子戸の奥へ。

陶山神社を後にし、次は有田館へ
有田雛のやきものまつりのパンフレットを頂き
展示されている雛まつりの飾り付けを楽しんだ
淡い色合いのかわいらしい陶器の雛人形
白くモダンな雛人形も
こちらは柿右衛門窯の雛人形。精緻さと艶やかさがある
有田の町の旅は続く。町並みがずっと楽しい
いろいろ入ってみたいが、きっと駅までたどり着けなくなる
なので外観だけでも楽しんで
建物に設けられたショーウィンドウごしに
楽しげな陶器の雛人形
有田の町は雛のやきものまつりの時期
武者人形も美しい
日本家屋にひときわ映える鮮やかな赤や
ひさしと窓と漆喰や
フォントや佇まい、色合いなども楽しみながら進む
次に訪れたのは、前回の旅で通り過ぎた
有田焼の老舗の香蘭社
明治38年(1905年)に建てられた本社ショールーム
2階にある有田焼古陶磁コレクションも楽しんだ

1879年に八代深川栄左衛門により設立された香蘭社
by koranshaは、現代のライフスタイルに合わせた器

そして色鍋島と掲げられた建物へ
淡い水色の下見板張りの今右衛門窯
向かいには今右衛門窯の展示場。そしてその格子戸をくぐる

色絵薄墨墨はじき時計草紋鉢。透明感のある美しさ

墨はじきは、黒が白に反転する

街に残るトンバイ塀へのまなざし

十四代今泉今右衛門は51歳の若さで人間国宝に

其位素行。今できることに最善をつくすということ

そして生み出される、ひとことでは表せない美しさ

いつかホテルオークラJRハウステンボスでうさぎを

バカラとのコラボレーション。伝統と革新への挑戦

今泉今右衛門家は、江戸期の鍋島藩の御用赤絵師。2階
の作業場から、赤い絵具のついた筆を洗う水が捨てら
れたという。赤く染まる瓦に当時の様子がしのばれる。
今右衛門の窯元は有田の文政の大火の後、天保元年に
建てられた有田で最も古い建物。その格子戸の奥には、
しんとした空間が広がり、展示場に色絵磁器が並ぶ。

十四代今泉今右衛門は2014年、51歳の若さで重要無形
文化財「色絵磁器」の保持者(人間国宝)に認定された。

十四代今泉今右衛門はいう。
「伝統は生きて流れているものです。」

有田の400年の、さまざまな職人の仕事の継承の上に、
現代の色鍋島が生み出されている。歴史や伝統を守り
続けるだけでなく、墨はじき、プラチナ彩など、新しい
技術を取り入れ進化し、美しさの高みへと挑んでいる。

そこで大切にされていることは、小さなことにも心を
動かす感受性、目には見えにくい陰影など。その微細
なるものが、日々、積み重ねられ、時を経て、美しさ
につながっているのだと思う。自然の中の美しさ、日々
へのいつくしみ、それを美に転化させる感性と技術に
心動かされる。その格子戸の奥には美しき世界がある。

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