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アートはよくわからない、それも含めて楽しい

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わからなくたっていい。何か違いを感じることができるなら。日常から離れて、日常を見つめ直すきっかけを探しに、今日もアートに会いに行こう
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#彫刻

クスノキは姿を変えて時を刻む

2020年から2年半をかけ整備工事が行われた伊丹市 新市庁舎は、2022年11月に開庁した。旧伊丹市庁舎の 北側で50年近くも市民に親しまれた26本のクスノキ。 それらの一部は二人の彫刻家により姿を変えた。日本 を代表する現代彫刻家の三沢厚彦氏と棚田康司氏は ともに、クスノキを素材に木彫を手掛けられている。 でもそれは、温暖な地域の山奥で育つ年輪が均一な 樹木であり、今回のように都会に育つクスノキは過酷 な環境により、年輪や木の質は不均一になるという。 二人は、この場所で育

アートでつながる時間と場所と空間と

旅先で出会うアート。それは時間と場所と空間を超え、 記憶に語りかける。いつか見た風景が思い出され、当時 の出来事を思い起こす。一人の作家によって作られる 一連のアートとの出会いに、思い出がつながっていく。 それは、北九州の楽しい旅のこと 作家が作り出す作品を見て、いつかの旅を思い出す。 アートは旅の風景となり、思い出の風景の一つとなる。 青木野枝さんの作り出すアートにふれ、またその情景 を思い返し、その時間と場所と空間に思いをはせる。 越後妻有のアートと自然にふれる楽し

そして赤く大きなオブジェといえば

街角にはいろいろなオブジェが設置されている。 中でも、赤くて大きいオブジェは存在感があり 目に飛び込んでくる。ビルの谷間で、公園の緑の 中で、いろんな場所でエネルギーを発している。   のようにいろいろあるが、赤くて大きなオブジェといえば 清水久兵衛氏の作品を思い浮かべる。その赤い円柱と湾曲 した赤い板が、さまざまな形に展開されて、角度によって 異なる表情をみせる。そして、とにかく大きく迫力がある。 各地にある清水久兵衛氏の一連の作品は赤い色だが、 島根県立美術館の「語り

フラナガンのうさぎを追いかけて

バリー・フラナガンといえば、野うさぎである。 日本各地でそのウサギの姿をみることができる。 野生味のある素早さやたくましさが表現された アクロバティックで躍動感のあるウサギである。 決定的すぎる瞬間で、切り取られた姿は、どこか ユーモラスで親近感が湧いてくる。どのウサギも 同じ雰囲気でつくられていて、いつかみたことが あるという具合に、つながりを感じ親しみやすい。 一つのテーマにこだわったデザインの力だと思う。 他に館林美術館、名古屋市美術館、宇都宮美術館、 宮城県立美術