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建築に込められた想い。時代をこえて受け止めたい

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建築には、それらを作った人の思いが詰まっている。そんな思いを感じることができればと、建築を見に足を運びます。
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#磯崎新

建物をたどって始める奈良の旅

今度の旅の目的地は奈良。刻まれた時間を楽しみに 奈良駅のすぐ側のホテルの先に建つ黒いシルエット。 なら100年会館は、奈良市が市制施行100周年を記念 して建設した建物で、礒崎新が手掛けたもの。九州に 単身赴任に行く前には大阪に住んでいたので、奈良に も何度か訪れたが、JR奈良駅の西側は初めてのこと。 まずは予想以上のボリュームで存在している建物へ。 以前に籔内佐斗司氏の作品にもふれた 倉俣史朗の展覧会は、次は京都へ 規模は違えど、以前に訪れた美術館を思い出す 磯崎

小倉駅のすぐ側のコンベンションゾーンへ

小倉駅を通り越して、しばらく歩くと大きな建物が 見えてくる。西日本総合展示場の新館とAIM(アジア 太平洋インポートマート)という名の建物。北九州の コンベンションセンターは駅のすぐ側の位置にある。 誘致PR動画でコンベンションセンターがよくわかる 小倉駅からすぐ側の魅力的な立地だ 福岡でもコンベンションセンターに訪れた 今回も磯崎新の建築を楽しんだ 磯崎新の建築に満ちた北九州 図書館に続き、西日本総合展示場と北九州国際会議場。 北九州は磯崎新の建築に満ちている。

そしてまた図書館へ。小倉といえばこの建物

私にとっての小倉といえば、やはりこの建物。内部空間 に漂う緊張感とはうらはらに、外部は角度によっては ぼってりとした佇まい。外部からは内部に広がる空間 はとても想像できない。唯一無二の外観と空間を持つ、 なんだか愛おしくなる建物。それは偉大な建築家で あった磯崎新に手がけられた北九州市立中央図書館。 視聴覚センターが改修されて子ども図書館に ここは映画の図書館戦争の舞台にもなった場所 改めて磯崎新氏に思いを馳せて その図書館は時代を映す図書館建築にも選ばれて 197

不安げな空の下で始まった旅

2月の中旬のこと。朝、目が覚めると、あいにくの雨。 朝といっても、街が動き出す前の早朝の時間。手短かに 出かける支度をすませ、マンションを後にする。辺りは まだ暗い。手早く、自転車を広げ、暗がりの中、自転車を こぎ出す。思えば、暗がりは要注意だった。でも一日は 始まったばかりで期待に満ちている。博多駅へ自転車 を走らせ、駅前で自転車をたたんで、電車に乗り込む。 いつもの旅のルーティーン。さあ新たな旅を始めよう。 近代化産業遺産の記憶。いつかゆっくりと訪れたい所 黒い外壁と

建築家 磯崎新に思いを馳せて

風景や建物に出会う旅を続けている。旅をして、その旅 を振り返るのも楽しいひとときだ。その中で、今までに 訪れた建物のことが、ふいに思い出されることもある。 筒状の建物として、思い浮かべた奈義町現代美術館。 設計は昨年末に91歳で逝去された建築家の磯崎新氏。 磯崎新氏は大分県出身の建築家。国内で設計された 建物も多く、80歳以降も海外の建築物を多く手がけ られている。2019年、建築のノーベル賞ともいわれる プリツカー賞を受賞されたのは88歳の時のことだ。 偉大な建築家は9

筒状の建物といえば

福岡で出会った六角鬼丈氏の設計による宗教施設は、 筒状の力強いデザインで、圧倒的な存在感があった。 ただ筒状であるだけではなく、納まりなども細やかに デザインされている。その内部空間も気になる建物だ。 そして筒状の建物として、真っ先に思い浮かべるのが 岡山県にある奈義町現代美術館の円筒だ。この建物は 3つ作品と建物が一体化した美術館。設計は昨年末に 91歳で逝去された建築家の磯崎新氏である。円筒内は 荒川修作氏、マドリン・ギンズ氏の作品となっている。 奈義町現代美術館の魅

ありし日の姿に思いを寄せて

西日本シティ銀行本店  1971  磯崎新 (旧福岡相互銀行本店) 4月に福岡に引っ越してきて驚いたことは、 博多駅前の赤い銀行が解体中であったことだ。 今は解体も終わり、駅前にぽっかりと空間が生ま れている。その迫力ある姿は、今でも目に浮かぶ。 インド砂岩の赤茶色の壁の圧倒的な存在感、 奥の外壁面に不均一に施された白い水平ライン、 外壁に配置された多様な開口部のバランス感覚、 低層部の宇宙船的なデザインが持つ違和感、 建物の内外に散りばめらていたオブジェやアート。