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建築に込められた想い。時代をこえて受け止めたい

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建築には、それらを作った人の思いが詰まっている。そんな思いを感じることができればと、建築を見に足を運びます。
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2023年4月の記事一覧

北九州の旅をしめくくろう

北九州の楽しい旅もひとまず終わりへ。最後に訪れた のは北九州市立戸畑図書館。築約80年の旧戸畑市庁舎 が2014年に改修されて図書館になっている。1933年 に建設された建物が、今も大切に使い続けられている。 時代を超えて残るデザインがある。価値のあるものは、 人の心をとらえ、時をつなげていく。それを建てた人、 それを引き継ぐ人、そしてそれを大切にする人たち。 幸せな関係がそこにある。戸畑で出会った美しい場所。 青木茂建築工房はリファイニング建築の第一人者 外観の美しさ

階段状の屋根を持つ戸畑区役所

八幡から戸畑までの歩きの旅では 途中、磯崎新氏の設計の美術館にも訪れた 八幡駅から、いろんな所に立ち寄って、のんびりと歩く 北九州の旅。意外に徒歩でもいろいろと回れるものだ。 念願の北九州市立美術館の空間も楽しんで、建築家の 思いにふれることができた。そしてようやく戸畑まで やってきた。そして道沿いには特徴的な外観の建物。 戸畑祇園大山笠の観客席となる。驚きの建築だ この特徴的な建物の設計は隈研吾氏によるもの。 戸畑に氏の設計の建物があるとは知らなかった。 隈研吾氏

もうひとつのスペースLABOへ

スペースLABOを楽しんだ。時代に合わせて科学館の 展示内容も変わりつつあるが、なぜ、どうして、という フシギを感じて、楽しめるのは今も昔も変わらない。 日常にある何気ない風景が変わるきっかけになれば と思う。そして、スペースLABO ANNEXへ。そこでは 工作教室やサイエンスショーなどが行われていたり、 その中に設けられた世界遺産ビジターセンターでは、 明治日本の産業革命遺産における展示もされている。 この建物は、当初は北九州イノベーションギャラリー という名で、産業都

八幡駅から歩くその先に

あらためて八幡駅から始まった徒歩の旅。駅を降り、 高橋秀氏の彫刻を見上げ、村野藤吾氏の建物を眺め、 山並みを見つめた。確かに、この景色を覚えている。 2017年に同じ道を歩いたことを思い出す。八幡駅から 歩くその先に、魅力的な建物と空間がひろがっていた。 北九州市立国際村交流センター内の響ホールは、全国 でも数少ないという音楽専用のホール。1993年の開館 以来、国内外の一流アーティストのコンサートが開催 されているという。北九州には魅力的な場所がある。 八幡駅から響ホー

旅には予定外のこともある

いつものことで、旅先での予定は少しずつずれていく。 気になるものがあれば立ち止まり、その後の予定は、 それなりに変えていく。道沿いの建物を楽しみながら、 ゆふいんの町を通り抜ける。山並みを眺め、川を渡り、 ひっそりとした場所に建つ、末田美術館に到着した。 しんとした雰囲気。休館日なのだろうか。旅の計画は おおざっぱなので、訪問先が休館日のこともよくある こと。調べてみると閉館していた。建物はまだ美しい のに残念だ。せっかくなので外観だけでも見ていこう。 末田美術館は建築家

もくあみの杜という木に包まれた空間で

ゆふいんの旅を続けている。金鱗湖の周囲をめぐると、 ほど近く、もくあみの杜という木造の商業施設がある。 もくあみとは、木を編むように杉の角材のルーバーが 設置されていることから名付けられている。外壁材の 焼き杉、小屋組、軒天、外廊下の床材まで、国産の杉材が 用いられた木に包まれた建物。各店舗へは、中庭から アクセスする配置。商業施設としての表情が抑えられ、 周辺にも配慮された、落ち着いた雰囲気のある建物だ。 2019年に竣工した建物で、設計コンペを経て建てら れている。杉材

ゆふいんには文学にちなんだ風景もある

ゆふいんの旅も終盤、二本の葦束を後にし、せっかく なのでほど近くにある美術館と文学にふれられる場所 を訪れた。時刻も17時に近く、施設も閉まる時間では あるが、建物が建つ風景だけでも見にいくことにする。 晴れた日は、碧雲荘から豊後富士を望むことができる。 豊後富士とは、今日一日、その姿を眺めつつ旅をした 由布岳のこと。碧雲荘が、かつて建っていた杉並区。 その2階の小さな四角い窓から、富士が見えたという。 碧雲荘に到着したのは17時すぎ。開館は17時までで、 あと少しではあ

北九州の世界に誇るロボット村

ホテルグランドパレス北九州を後にし、旅を続ける。 今日は徒歩の旅なので、また歩いて黒崎駅まで戻る。 博多駅を早朝に出発して、黒崎で日の出を楽しんだ。 小腹がすいた時は、気になるお店に立ち寄ってみる。 次に訪れたのは、黒崎駅のすぐ北側の敷地に位置する 安川電機株式会社。1915年に創業し、産業用ロボット において世界の4大メーカーのひとつとなっている。 後はファナック(日本)、ABB(スイス)、KUKA(ドイツ) の3社。日本は国別のシェアでトップの分野である。 モーターを

旅の始まりのインフォメーションセンター

以前の大分で思い浮かぶ建築は、という記事でふれた 由布市ツーリストインフォメーションセンター(通称 YUFUiNFO)は由布院駅に隣接している。坂茂氏による 設計の建物で、その木造の架構がひときわ目をひく。 早速、旅の目的の一つである建物へ。旅の始まりである インフォメーションセンターが目的となる旅もある。 由布市ツーリストインフォメーションセンターでは、 情報を得るだけでなく、旅への期待を高めてくれる。 開放的なガラスの空間は、内部にいても建物の周囲の 町や自然とつながり