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建築に込められた想い。時代をこえて受け止めたい

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建築には、それらを作った人の思いが詰まっている。そんな思いを感じることができればと、建築を見に足を運びます。
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2021年12月の記事一覧

美術館のようなショールーム

キッチンハウス 福岡ショールーム 窪田勝文  2014 キッチンハウスは、ドイツ製のシステムキッチンの 輸入販売を経て、1984年には自社工場を国内に 設立したキッチンメーカーである。 キッチンへのこだわりに通じる建物にかける思い。 一般的なショールームからは、かけはなれている。 設計コンセプトは「心の開放」であるとのこと。 物理的な開放感が、心の開放につながるらしい。 軽やかに湾曲している庇や屋根、 ゆるやかに傾斜をつけられた壁、 床から天井までの開口部によって、

ありし日の姿に思いを寄せて

西日本シティ銀行本店  1971  磯崎新 (旧福岡相互銀行本店) 4月に福岡に引っ越してきて驚いたことは、 博多駅前の赤い銀行が解体中であったことだ。 今は解体も終わり、駅前にぽっかりと空間が生ま れている。その迫力ある姿は、今でも目に浮かぶ。 インド砂岩の赤茶色の壁の圧倒的な存在感、 奥の外壁面に不均一に施された白い水平ライン、 外壁に配置された多様な開口部のバランス感覚、 低層部の宇宙船的なデザインが持つ違和感、 建物の内外に散りばめらていたオブジェやアート。