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ドルトン東京学園の ”PTA(保護者会)”

ドルトン東京学園には、いわゆる「PTA」というものがない。

法律で設置が義務づけられているなら作らなければならないが、単に「学校にあるのが当たり前」という慣例的なものなら最初からなくてもいいのではないか、むしろ必要性が出てきた段階で協議して作る方が理に適っている、そう考えているからだ。

同様に生徒会や各種委員会、クラス役員もなく、開校したあとで生徒の中から必要だという声が上がり「Dalton Student Council(略称:DSC)」という生徒組織が作られた。

これらは「すべてを自分事として考え、行動する」ために用意されているチェックの機会であり、思考停止をさせない「学び」のひとつである。

本校のあらゆる行動原則の原点にあること・・・

当たり前だからと鵜呑みにし、それに乗っかるのではなく、意義や必要性、目的、到達点などを明確にした上で、意識的に関わること。

そういった姿勢がないと「在る意味がない」と考えている。

だから、本校にはPTAやPA(保護者の会)が「まだ」ない。

PTAって?

現在多くの学校では当然のように組織され(単位PTAと呼ばれたりする)、単位PTAが協働するために市町村・都道府県・全国の各レベルで連合体(PTA連合会)がつくられている。

学校に入ったら自動的にPTAに所属し(本来は任意加入)、役員に選ばれたら引き受けるのも、会費を払うのも当然のこと。先生と協力して学校を、子どもたちの教育環境をより良くしていくために、ある程度の強制力?を持って運営されている。

そんな意識が一般的で、異を唱えようものなら「あなた、変わってるね・・・」と言われかねない雰囲気があった。

ところが、2017年5月30日に個人情報保護法が改正され、PTAにも個人情報保護法が適用されるようになった。今までは学校が集めた生徒・保護者情報をそのままPTAに提供できたのがダメになり、その管理方法も含めて保護者の事前承認を取る必要が出てきた。

PTAが任意加入であることを保護者に説明することはもちろん、PTAに関する事務(会費徴収、預金通帳・印鑑の管理、PTAに関する文書の配布・回収など)を学校が行うためには、PTAから学校へ個人情報を渡す必要性から業務委任契約を結ばなくてはならなくなっている。

そんな絡みもあって、これまでのように「気楽に」PTA活動を進めることが難しくなってきていて、本来の「全ての児童生徒のための無償ボランティア活動」という形に改めようとする流れもある。

ドルトンの場合

おっと、ここで言いたいのはそういうことではない。
話を元に戻そう。

ドルトンの「保護者の会」について、その胎動が理念に沿う形で大きなうねりになってきた、ということをお伝えしたかったのだ。

開校初年度、学校に関わる保護者の活動といえば、上部団体(都私立中高協会第12支部PTA連合会)の総会等に参加してもらうため、個別にお願いした数名の保護者の集まり(ドルトンサポーターズ)があっただけ。

その後、昨年度に保護者有志による自主的な活動「ドルトンプラン勉強会」が始まり、これまでに3回、全保護者に呼びかけたイベントが開催された。

【第1回】2020/11/6:ドルトン教育について(講師:長倉 若 さん)

【第2回】2020/12/19:ラボを知る
https://www.facebook.com/daltontokyogakuen/posts/1017493645412721

【第3回】2021/3/20:ドルトン東京学園のこれまでとこれから
https://www.facebook.com/daltontokyogakuen/posts/1072841469877938

そんな経緯を経て、上記有志勉強会の事務局メンバーでもある中学3年生(一期生)の保護者から、先日こんなメールをいただいた。

先ほど事務の方にお電話にて問い合わせところ、保護者からの提案については安居先生に、とのことでしたので、学年横断保護者交流会の実施についてご提案したく、アドレスをおうかがいしてご連絡致しました。
本件については私からご連絡しておりますが、他に13名の方(本メールのCCに入っております)のご賛同を得ております。
また、14名のコミュニティ名を「Voluntary Community of Dalton Tokyo(VCD)」としています。
(以下略)

趣旨は、開校3年目がスタートし、先生方との信頼関係もできている一期生の保護者が、我が子の成長や学校生活について二期以降の保護者とざっくばらんにお話することで、多少の納得感や安心感を持ってもらえるのではないか。また、保護者が納得・安心することで、子どもたちにも好ましい影響を与えられるのではないか。そう考えたので、学年を横断した保護者交流会を開催したい、と。

また、それを理解してもらうために「学年横断保護者交流会の実施に関する当方のご提案及び先生方のご意向をお伺いするための資料」と「今回VCDとしてご提案する、メンバー14名の活動に関する現時点での考え方をまとめたもの」の2点の文書が添付され・・・

・交流会の他にも様々なアイデアが挙がっているので頭出しのMTGができればと思う。
・先生方へのご負担が少なく済むような提案にしたいので、その方法についてもアドバイスしていただけると大変ありがたい。

そんな言葉も添えてあった。

詳しくは添付の文書(画像は一部加工済)をご覧いただきたいが、ここまで保護者が「自分たちのこと」として学校への協力や支援を考え、行動してくれていることは本校の大きな誇りであり、ドルトンの「協働」の理念が保護者にも浸透してきていることを意味する。

学年横断保護者交流会に関するご提案202104_1

学年横断保護者交流会に関するご提案202104_2

VCDに関するご説明202104時点_1

VCDに関するご説明202104時点_2

さっそくこの提案を管理職で共有した上で、
・とてもすばらしい提案で、必要な取り組みであること
・学校の理念にも沿った保護者の動きであること
だと考え、前向きに進めていくことを確認。

あわせて、特に「VCD」の考え方や姿勢のすばらしさに鑑み、こういった保護者の動きは、多くの学校にとってひとつのモデルになるのではないかということで、私から「ぜひ、Facebookで紹介させてほしい」とお願いした。

今回、全員の了解が得られたとのお返事をいただき、Facebookへ投稿するとともにnoteでもお伝えしている。

冒頭で、「学校にあるのが当たり前」という慣例的なものなら最初からなくてもいい、むしろ必要性が出てきた段階で協議して作る方が理に適っている、と書いた。

まさに、それを体現するかのような保護者の動き。

改めて感謝するとともに、一緒に「生徒中心の学校」を創っていくことを、ここに誓いたい。


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