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飲食業の価値を高めるための私たちのチャレンジ [2021年7月] 代表となり、目的を定める

私は東京都内にて3店舗の直営店と、1店舗の共同事業飲食店の経営を行っています。
役員としては2年半、飲食事業の責任者として今ある店舗の成長と、時に新規出店、また撤退もあり、そしてコロナウイルス。
日々に邁進し翻弄されつつも、「自分が本当の意味で経営者になるのならば、会社をどうしていきたいのか?」ということを考え続けてきた期間だったと思います。

飲食業は「商品・設備・人」の3つの要素が主であり、お店により何に重きを置くのかというコンセプトをもっていることでしょう。

東京の夜景一望など設備(空間)を武器とする。
ミシュラン獲得など商品力を武器する。
名物店主、看板娘など、そこで働く人を武器する。

どれかが間違っていて、どれかが正しいということではなく、どれも武器を明確にしてそれに共感する顧客をおもてなしする。
とても当たり前のことのように思いますが、これをやり切るということがどれだけ難しいか。ということを実感してきたつもりです。(全部100点が一番良い!…そんな声が聞こえてきそうですが。)

例えば私の奥様は某外資系コーヒーチェーンの店長をやっていますが、側から見ていると場所、内装のクオリティ、統一感、商品力、スタッフマネジメント、どれをとっても素晴らしく思えます。
全てを100点に近づけていく企業努力の賜物でしょうが、その中で彼女が悩みを口にするトピックは決まってスタッフマネジメントについてです。

あれだけの企業が明確なコンセプトを持って長く経営しているということは、私たちと比べれば圧倒的に強い組織を形成していることは明確ですが、どれだけ良い空間と立地を持って、どれだけ良い商品を提供していても、人の悩みは尽きないのでしょう。
ある意味で言えば、場所は悩んでも変えられないし、商品は本部の決めることだから変えられない。一店長が内装デザインに対して何か進言するということもない。
だからこそ悩むべきは”人”、そこに一点集中するのかもしれません。

どれだけ良い武器を手にしていても、それを振る人がその武器の使い方や良さを知らなければ正しく使えない。
それを振るう人が”勝ちたい”と思っていなければそもそも武器と認識しないかもしれない。

店長の仕事はなんなのか。”人”を考え続けること。
会社の仕事はなんなのか。店長が”人”を考え続けることのできる環境を維持し、強化すること。

プレイヤーはあくまで現場で日々戦ってくれているメンバー、それをサポートするのが会社です。(当たり前ですね。)

今の時代はどの業界でもDXという言葉がもてはやされ、レストランテック、業務効率化、それを担うサポート企業も数多く存在します。
タブレット注文、非対面、セルフオーダー、セルフレジなど、今やそれらを網羅した無人コンビニやロボットカフェも存在しています。

それはそれで便利な世の中を表す一つの形なのでしょう。
確かにコンビニはそれで良いのかもしれません。

ただ、私たちが営んでいるのは飲食店です。
飲食店におけるベストなDXはこれではないと思います。

なぜなら飲食店には人がもたらす感動・感謝・驚き・繋がりが存在するからです。
ロボットでは代替できない暖かみや、気配り気遣いなど。
少なくとも私自身が飲食店に求める価値はそこにあります。

誤解を恐れずに言えば、商品や空間よりも人の要素が印象に残り、また行きたくなる。ということです。
行けば誰かに会える、話ができる、出会いがある。私たちの飲食店のコンセプトにはそんなワクワクする気持ちが含まれています。

もちろん、おいしくないご飯や清潔感のない店内ではお話になりませんが、それは当然あるものとして、
その先の価値はなんなのか?ということを突き詰めたときに、私たちの武器は人であり、それを最大限に引き出すチームを作ることが私たちの仕事なんだと考えています。

そして、その価値に対する対価はどの様にもたらされ、どの様に還元されていくのか。
諸外国には人という個人に支払われる対価、チップが存在しています。
日本でも「お心付」という素晴らしい名前の制度がありますが、全体には馴染まなかった。
なぜなのか?
どうすればそれを当たり前に変えることができるのか?

それを考えチャレンジしていくことは、「人を重んじる」というコンセプトを持った私たちの会社で働いてくれる仲間達に対する責務です。

1.人の価値を見直すこと。
2.価値に対する正当な対価を生み出すこと。
3.それをたくさんのお店に提供し、日本における接客サービス業の価値を向上させること。


IT化が進み続ける現代だからこそ、人にしかできないことは何なのかを考え続けていきます。

まずは自分のお店から。小さいですが素敵なお店です。

積小為大。何事も。

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