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Netflix『グレイマン』が流石に面白い

知り合いから面白いと聞いてすぐに見た。

個人的に『ジェイソン・ボーン』が大好きなので、期待していたのだが、期待以上に面白かった。

一般的には「息をつかせぬアクションがすごい!」という感じで話題になっていると思うが、シナリオがまず素晴らしかったと思う(そしてこの感想文はそっち寄りに書きます)。

制作費がNetflix史上最高の200億ということで、面白くて当たり前という人もいるかもしれないが、シナリオがイマイチなら、どれだけお金をかけたって面白くなるはずがない。

それに、シナリオというのはお金をかければ面白くなるかと言えばそうではないところがあって、つまりどんな映画、ドラマだって制作費に限らず最高のシナリオを目指すし、シナリオにかけるお金は、予算1億の映画も、予算100億の映画も大して変わらない(と言い切れないかもしれないが、そんな一面があるのは事実だと思う)。

(ここからはネタバレあります。まだ見てない方は見てから読まれることをお薦めします。)

『グレイマン』のシナリオで好きだったのは、細かいセリフの重ね方。
「ガム噛んでいいか?」とか「普通の木曜日」とか「パーソナルスペースから出ていけ」とか。

シナリオの表現というのは、「いかに変化を作るか?」ということなので(脳はその変化に意味を見出す。時に記憶との比較においても)、同じセリフを言わせる、あるいは、変化したセリフを言うなど、何らかの意味でセリフを重ねることが重要になってくる。

また、こういうアクション作品では、主人公(主体)の内的動機みたいなものはそっちのけということも多いが(あるいはすごく単純な思考に集約されたり)、『グレイマン』はその辺りがこういった類のストーリーの中では実に繊細に描かれていた気がする。

主人公(主体)が「なぜ父親を殺したのか?」という理由を軽いミステリーにしつつ、それが解き明かされた時に主人公(主体)への感情移入が深まり、ラストアクションにて、彼がそれを乗り越える瞬間が重ねられている(ここはちょっと言い過ぎだが、噴水でのラストバトルで父との回想シーンを重ねた手法は見事だと思った)。

少なくとも、最初のミッションで彼がなぜ子供を巻き添いにできなかったか?ということが(それは恩人の姪っ子を助けるために命をかけることも含めて)、弟を守るために殺人を犯したという事実と共に明らかになる構成はとても素晴らしいと思った。

また『グレイマン』は俳優も素晴らしい。主人公(主体)のライアン・ゴズリングの、どうしようもなく漂う色気と穏やかさはなんなのだろう。闘争本能に呑まれない、あの肝の据わった感じって、演技だけで出せるものではない感じがする。

また敵対者の「クリス・エヴァンス」と協力者の「アナ・デ・アルマス」もマジで素晴らしかった。

左からアナ・デ・アルマス、ライアン・ゴズリング、クリス・エヴァンス

爽やかなイメージが付きすぎていたクリス・エヴァンスのディテールに宿るマッドさ(狂気)とかマジですごかった(個人的には最後のバトルでナイフを持って腕を広げたところの演技に痺れた)。

アナ・デ・アルマスはほとんど記憶にない女優だったが、目が素敵すぎて最初から惹き込まれた(個人的には赤いアウディを最後バックさせる時の表情が印象に残っている)。

その他、俳優みんな素敵だったなあ。あの姪っ子も良かった。ちょっと生意気なところから始まる感じとか、なんか『レオン』を見たくなったり。

そして、それら全てをまとめあげた監督のルッソ兄弟が何よりスゴい。いくらお金があったって、良い映画が作れるわけではない(また何気に大金を使うということも一つの技術だと思う)。

この『グレイマン』は原作小説があるが、シリーズものになっていて、Netflixでのシリーズ化もこけない限り続くだろう。次が早く見たい!

Netflix『グレイマン』
https://www.netflix.com/watch/81160697


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