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危機管理とは(とある武道家の粗末な話)


さて今回も危機管理に関する話をします。

今回は数年前の年末の話。

我々、空手家数名で年内最後の稽古を昼過ぎに終え、
普段稽古を共にする3人の仲間とファミレスに行った時の話です。

お店に入り、奥の四人掛け席に案内をされ
着席し、注文をひと通り終えたあとのこと。

私は早々にトイレに立ち、2〜3分席を空けました。
そしてしばらくし席へ戻ると座席には誰もおりません。

そう、ドリンクバーにドリンクを入れて行っていたのです。
それ自体はなんの問題もありません。ファミレスとはそういうところですから。

では何が問題だったかというと
本人たちの貴重なインテリジェンスを収納した財布を机上に残したまま席を空けてたのです

本人たちは夢中で座席には目もくれていません。

さすがも私も頭に来て戻ってくるなり一喝しました。
呆れすぎて言葉が出無くなりそうでしたが
心を鬼にして指導すると本人たちは納得いかないのか反抗してきたのです。

私(おまえら、財布が机においてあるのに誰もいなくなるなんてどういう意識で生きてるんだ?普段から空手やってますだの護身もできると思ってるかもしれないけどよ、貴重品一個も守れないようなやつは空手やる以前だから覚えておけよ。)

仲間(時間だってちょっとだし、目に入る位置だから盗むやつなんていないでしょ)

言いたいことはたくさんありますが、彼等のような危機管理意識が欠落した人間には響かなかったようです。

それどころかこんな感じで反論してきました。
仲間B(それならなんで自分がトイレに立つときに財布見ておくように注意しなかったんだよ)

流石にこれには頭に来て小一時間ほど説教してやりました。
己の無知を恥じることなく他人に責任を転嫁するような姿勢には武道家以前の問題です。
なのでこういう時は大の大人であろうと厳しく指導します。
また、責任転嫁することが以下に恥ずかしい振る舞いであるかもきっちりと指導しました。

幸いにして財布はとられていなかったですが
すぐ隣(1.5m程度の手を伸ばしたらすぐ取れるくらいの位置)にも
客はいましたしその客がどんな客かはわからないわけで
海外なら普通になくなっていたでしょう。
(日本では規範意識が高い人が多い傾向にあるので幸いにしてなくならなかっただけですが)

さて、 このどうにも恥ずかしいお話皆さんにはどのように映りましたか?

私がこの話で何を伝えたいかと言うと フィジカル ではなく、身を守るために最も必要なことの1つとして インテリジェンスを守るということがあります 。

インフォメーションではなく インテリジェンスです。
インテリジェンスとは誰もが知り得る情報ではなく限られた人しか知り得ない自分自身の 閉ざされた 情報になります。


例えるのであれば クレジットカード番号や生年月日、居住地、 職場などです。
職種によっては 居住地が店舗として生業を支えているような方もいるので
必ずしもこれが全てではありませんがクレジットカード番号であれば
本人しか知り得ませんし居住地や職場であれば
職場の同僚や家族しか知らないこともあるでしょう。

ではなぜインテリジェンスを守る必要があるのかといえば

イメージしやすい例で例えると有名なアイドルの方がいたとして
その方の居住地が知れてしまったらどうなるでしょうか。

ファンレターが届く?

その程度であればいいでしょう。

悪意を持った人物だったら?

その場合は待ち伏せをされて攻撃をされるリスクもあります。

居住地が知れてしまうことによって四六時中監視されていれば、外出している時間もバレてしまいますし、その不在時間を見計って盗聴器を仕掛ける
もしくは盗撮用のカメラを仕込むなどして気付いた時には恥ずかしい自分自身のプライベートが世間に赤裸々に公開されてしまう可能性も 十分考えられます。

そうなった時に今までの仕事を続けることが果たしてできるのでしょうか。
イメージが売りのアイドルであれば 職を失ってしまう可能性もあります。
まだ職を失うだけならいいのかもしれません。

場合によっては居住地を知っている人間が盗撮によって
アイドルの素の姿を知ってしまい、 理想と現実とのギャップを思い知らされ
失望した結果、凶行におよび 命を奪ってやろうと思う輩もいるでしょう 。

つまりは最悪の結果として 命を奪われる可能性すらもあります。


また命を失ってしまうことに比べれば大したことではないですが
保険証などが盗まれてしまい、
それらが 不正に利用される恐れもありますし、
漏れ出た個人情報によって偽造された偽物のカード類が
不正に利用されてしまった場合には自分の気づかない部分で
犯罪に加担(巻き込まれてしまう)する恐れすらあります。

場合によってはそれが
原因で冤罪による誤認逮捕も考えられるでしょう。

仮に 知らないところで犯罪に巻き込まれてしまい、
後に無実であるということが判明したとしても
失ってしまった無駄な自分の人生の時間は帰ってくることはありません。

つまり 財産だけでなく 自分の時間や価値観、考え方、秘密にしている情報、そして最悪は生命といったように全てを奪い去られてしまう危険性があるのが インテリジェンスの流出です。

それほど インテリジェンスが漏れてしまうことは危険なことなのです。。
世界では インテリジェンスを守るということは当たり前の常識として考えられていますし、国家レベルでは軍事以上に情報の方が価値が重く、そのために諜報や防諜と言ったことが重要視されています。
(昔は鉄は国家なりと言ったが今はデータは国家なりという時代です)

話を戻すと

日本人の平和ボケはひどいもので危機管理意識はおそらく世界一低いと思います。


ただ危機管理意識が欠落しているのが国民全体かというとそうではありません。
危機管理意識の有無は職業、収入、年齢、性別によって決まるものではなく その人の家庭環境や個人的な性格によるなど個人差が大きいです。

私の知る限りでは 危機管理の教育がしっかりとされてきている者や
劣悪な治安の悪い地域で育ってきた人間の方が
小さい頃から悪事を目の当たりにしているため、
人はどのような状況で悪事を働くか、どういう時に狙われるかを
よく知っているので 危機管理意識が高い人が多い印象です。

そんな中で空手を真剣に取り組んでいる者が

人間がそんなことも理解せず身体だけ鍛え抜いて

限られたルールの中での鍛錬でやれ護身術だなんだの

言っている姿はお笑いでしかありません。

本当に身を守ることは身体を鍛えることをやる前に
頭を鍛え危機管理意識を磨くことが何よりの護身術になります。

そのためにインテリジェンスを守ることは
一番最初にすべき護身術だと考えています。


さて、細かい話はここまでにして

次の記事では危機管理意識はどうやって高めれば良いのか説明していきましょう。


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