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【NPO書評】非営利組織の内部統制と不正事例

よい組織運営、よいガバナンスを考えることは正しい姿を考えることです。
そして、清く、正しく、美しく、あるべき姿を追い求めています。
その反動でしょうか、闇、ダークサイドに強く惹かれます。

そこで読んだ本がこちらの本です。
山田の興味にどストライクのものでした。

非営利組織の内部統制と不正事例
2023/2/8
濱本 明 (編集)

いわゆる理事会等のガバナンスの話しではなく、どうして不正が発生するのかというお話です。不正が発生するのは、内部統制が出来ていないから。

そういったことについて、日本内部統制研究学会(現・日本ガバナンス研究学会)での研究成果をベースに、非営利組織の内部統制と不正に関する現状を明らかにし、不正を未然に防止するための内部統制のあり方と課題について明らかにするというものです。
不正リスク要因としての (a)動機・プレッシャー、(b)機会、(c)姿勢・正当化のトライアングルの3つの視点で分析しています。

非常に面白い!
非営利組織の不正について、記事単位では読んだことはありますが、本一冊、このテーマで読む機会はほとんどないので、とても刺激的でした。
理論や体系だけではなく、具体的な不正事例をもとにした解説もあるので、とても具体的に理解できます。ただ、取り扱っている非営利組織にはNPO法人はなく、広義の非営利組織で、かつ規模が一定以上の大きさの組織の事案となっています。
地方公共団体、公益法人、学校法人、国立研究開発法人、社会福祉法人、協同組合、独立行政法人の事例となっています。
一方で、不正の内容を見ていると、非営利組織という前に、旧来型の組織、アナログな組織という一面もあると思います。そういったところも不正の温床になっているのではと、本を読んで思いました。

多くの不正が個人の欲望で行っているものです。でも、それを未然に防ぐための内部統制の欠如、不正が発生した時に対応すべき内部統制の欠如のWの欠如が大きな要因となっています。
不正の内容も、横領や便宜供与、談合、詐欺、特別背任、ハラスメントなど多種にわたっています。
事例を知れば知るほど不正は多様ですが、必要とされる内部統制は、パターンがあります。ということは、不正を防ぐ方法はあるということです。

ちなみに、一般的なNPO法人の事例ではないので、NPOのみなさんにちょっとおススメできません。中間支援組織の方や、ガバナンスに興味関心が強い方などには絶賛おススメします。内容は専門書ですが、それほど専門家向けではなく、非営利組織の運営者向けのものだと思いますので、説明もとてもわかりやすいです。
読んだ方とぜひ語り合いたいですね。


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