![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/137869833/rectangle_large_type_2_523f615ec40c22437f23fa7149021950.jpeg?width=1200)
【チャリティ・イベント・レポ No.--(番外編)】第106回野村狂言座
昨晩4月19日(金)は、銀座にある観世能楽堂へ。
万作の会でチケットを購入している年4回の「野村狂言座」の鑑賞に行ってきました。
![](https://assets.st-note.com/img/1713571597095-dMe17VnXYq.jpg?width=1200)
演目の一つに、野村萬斎さんによる小舞「鮒」がありました。
こちらは、勧進がテーマのお話しでした。
勧進とは寺社仏閣の建築や修復のために寄付を募ることです。
古くは奈良時代の東大寺の大仏や、平安末期からは一般的になってきたことです。勧進を行っていた僧を「勧進聖」と言います。
![](https://assets.st-note.com/img/1713571618781-eydcGdA1sW.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1713571627504-MRw7abGqRq.jpg?width=1200)
公演の最初に、野村萬斎さんの作品解説がありましたが、勧進聖が出てくるという解説で、一気に山田のテンションがあがりました。
こちらは公演パンフに掲載されていた解説文です。
小舞「鮒」
能「白鬚」の替間のキリを小舞にしたもの。
近江国白鬚明神への勧進を道者たちが断ったことに怒り、大鮒が姿を現す。あわてて着物を脱ぎ勧進する道者の様子、鮒が喜んで飛び跳ねたり、舟の綱をくわえて泳いだりする様子などが、写実的に舞われる。軽快ではつらつとした舞をお楽しみいただきたい。
道者とは、旅行者のことです。
琵琶湖を船で渡っている旅行者に一艘の船が近寄ってきます。
その船に勧進聖が乗っていて、勧進のお願いをしますが、旅行者はお金がなく、これから金持ちになるために祈願に行くところだと話をして、寄付を断ってしまいます。
その勧進聖が大鮒となって姿を現し、勧進=寄付のお願いをするわけです。
船に乗っていて逃げ場のない旅行者たちに向かって、脅しともとれるような様子で寄付を迫ります。
2022年12月に公布された「法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律」(通称:寄附不当勧誘防止法)では、寄附の勧誘に関する規制があります。
消費者庁に法律に関する解説が掲載されています。
■寄附の勧誘を行うに当たっての寄附者への配慮義務 【第3条】
①~③に十分に配慮しなければならない
①自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状況に陥ることがないようにする
②寄附者やその配偶者・親族の生活の維持を困難にすることがないようにする
③勧誘する法人等を明らかにし、寄附される財産の使途を誤認させるおそれがないようにする
■寄附の勧誘に際し、不当勧誘行為で寄附者を困惑させることの禁止 【第4条】
①不退去、②退去妨害、③勧誘をすることを告げず退去困難な場所へ同行、 ④威迫する言動を交え
相談の連絡を妨害、⑤恋愛感情等に乗じ関係の破綻を告知、 ⑥霊感等による知見を用いた告知
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/donation_solicitation/
小舞「鮒」による寄付の勧誘では、明らかに以下の点で法律違反となっていました。
■寄附の勧誘を行うに当たっての寄附者への配慮義務 【第3条】
①自由な意思を抑圧し、適切な判断をすることが困難な状況に陥ることがないようにする
➡船の上で逃げ場がないところで、大鮒が寄付を迫る。
②寄附者やその配偶者・親族の生活の維持を困難にすることがないようにする
➡その後の旅行を続けることが困難とわかるのに、衣服等の物品を受け取る。
■寄附の勧誘に際し、不当勧誘行為で寄附者を困惑させることの禁止 【第4条】
②退去妨害
➡船の上で逃げ場がないところで、退去することを妨害する。
④威迫する言動を交え相談の連絡を妨害
⑥霊感等による知見を用いた告知
➡近江国白鬚明神の名前を出して、旅行者が寄付をしなければ何か罰が当たると思わせるような説明をする。
上演5分の小舞ですので、あっという間に終わってしまいましたが、寄付としては、だいぶ面白い演目でした。
ファンドレイザーならぬ、フナンドレイザーの活躍たるや!
と思わせる作品でした。
また、最近、ブランド品を買い取ってもらい、その買い取り額を指定のNPOに寄付するというサービスがありますが、まさにその元祖のような逸話ですね。
いやー、至るところに寄付の系譜はありますね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?