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【NPO書評】大佛勧進ものがたり (読みなおす日本史)

寄付の歴史の収集を始めてから、一番読みたかった本かもしれません。
こちらも、図書館で「寄付」というキーワード検索して見つけたものです。

カバー写真の通り、奈良・東大寺の大仏のお話です。
その大仏の勧進をテーマにしたものです。

東大寺・大仏の勧進といえば、奈良時代の行基、鎌倉時代の重源のことは、ファンドレイジング・スーパースター列伝でも紹介してきました。
とはいえ、ネットで調べられる程度の情報でしたが、本書でさらに詳しいことを知ることが出来ました。

大佛勧進ものがたり (読みなおす日本史)
2014/7/10
平岡 定海 (著)

吉川弘文館

これまで、行基や重源について、いろいろ調べても勧進だけに特化したものはなかったので、本書で詳しく知ることが出来ました。
平安末期の平家による南都焼討で大仏も焼失してしまい、それを再建しようとした重源の取り組みはとても面白かったです。その時の鎌倉幕府・源頼朝へのロビイングなど、まったく知らなかったので、目からウロコでした。

さらに、勉強になったのが、江戸時代の大仏再建のお話です。
戦国時代に戦火によって焼失した大仏の再建。
今、我々が目にしている大仏は江戸時代に再建されたものです。
江戸時代の再建を担った大勧進が公慶です。
この話が、現代のファンドレイジングにも通じる話でした。
江戸の再建は、大仏再建、大仏殿再建と段階を追ってファンドレイジングをしていました。さらに、「大仏講」という寄付集めの組織を作って、一家族一戸で戸別寄付集めの仕組みをつくっていました。この時も、徳川5代将軍の徳川綱吉にロビイング活動をしています。
他に、明治や昭和の大仏殿の修理の資金調達の話も掲載されています。

寄付マニアのみなさんには、必読の本ですよ。

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