見出し画像

詩)風雨 yasuhirom

雨粒がガリバニウムの屋根をたたき
真夜中 静かな部屋にグラスを傾ける

青き春は遙かに遠ざかり
何もかもがぼんやりとするばかりだ

雨足が強まると静寂はいっそう深く
秒針の音が響いてくる

風はざあっと雨を集めて何かをせきたて
家族の写真は幸福の形で止まったままだ

 あの時 あの風景 そして新緑のにおい

若さを取り戻す薬はどこにもないのに
心だけはいつまでも少年のまま・・・

雨音は強く 激しく
未来はとめどなく訪れ続ける

そして今夜も静かな部屋で
有限の時に目を閉じて 眠る


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?