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少数の法則とn=1の違いについて-行動経済学の理解と実践45

自分が子供の時、もしくは自分の子供から「みんな持ってるから」といっておもちゃをおねだりしたこと、されたことってって誰しも一度は経験あるのではないでしょうか?

私は、親から「みんなって誰よ?」って聞かれ、とっさには3人くらいの名前しか上げられずに「みんなちゃうやん!」って却下されたことがあります。

子供のおねだりならまだしも、ビジネスではデータに基づく検証が必要です。統計的な有意差があることが必要です。一方で、最近はマーケティングでも一人に注目する分析もありますのでその違いも含めて少数派の法則について説明します。

少数の法則

少数の法則とは、少ないサンプル数なのに代表値だけをとって全体も同様であると考えることです。過剰一般化の法則とも呼ばれています。大きな声(代表に見えるサンプル)の意見についつい引っ張られてしまうことってありますよね。

少数の法則は、代表的な意見を全体の意見としてとらえてしまう代表制ヒューリスティックの一部とされています。

マスコミの報道の仕方で、よくみている私たちが少数派の法則の罠にはまってしまうことってありますよね。

十分なサンプル数と統計解析に基づくデータ検証が必要だという前提理解を持っておくだけでも日常のニュース報道のツッコミどころも見えてくると思います。

「n=1」マーケティングとの違いは?

ところで、最近、「n=1マーケティング」という言葉をよく耳にします。大きなサンプルのデータ分析でなくサンプル数1(n=1)をしっかりと検証しましょうというものです。元P&Gなどでマーケティングをリードした西口一希氏が「顧客起点マーケティング」で提唱されています。一人の顧客に絞るので「少数の法則」じゃないか?と思われるかもしれませんが、この違いは明確です。

すなわち、少数の法則は少ないサンプルから全体の代表値を理解しようとするものです。n=1は全く逆の考え方で、1人の極端なサンプルを深掘りすることで本質的なニーズの探究に迫ろうとするものです。

たとえるなら、一本の木を見て、森全体の木を理解したように思うのが少数の法則で、一本の木を深く精査して、その森の自然環境にもとづく特異なニーズを見つけようとするのがn=1マーケティングです。

まとめ

代表的な少ないサンプルから全体を理解したように考える少数の法則について、n=1との違いを含めての説明しました。

オーソドックスな方法でマーケティングの検証を行うと少数の法則を回避することはできますが、逆にn=1の意義を見誤ることもありえます。

1人の顧客の行動観察(エスノグラフィ)から本質的なニーズ(インサイト調査もあります。データ解析を前提とした市場調査とニーズ探索のための行動観察の使い分けが必要ですね。



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