「いつものね」がおきる理由とは? 自己ハーディング効果-行動経済学の理解と実践42
近所のお店の常連客になって覚えてもらうのってちょっとうれしいですよね。
お店に入ったときの挨拶は、「あ、〇〇さん!まいど」です。
その次の言葉として、「じゃ、いつものね!」って注文が入ります。
でも、リアルに「いつものね」で通っているのを見たことがないです。本当にあるのか、ってくらい思っていました。
ところが、先日、地方に行った際にランチで入ったとんかつ屋さんでその光景がありました。
とんかつ屋とはいえ、メニューにはひれかつがあり、ロースかつがあり、かつカレーもあります。
そのお店に入ってくる常連客たちには、お店の人から「〇〇さんはいつものだね」と何か聞くこともなくオーダーが通ります。
おそらく常連客さんは何度もお店でいろんなメニューを楽しんだあとで、やっぱりこの店ではコレ、っていうのが決まってきたのだと思います。
だから、お店の人もいちいち聞かなくてもよいだろうとは思います。
でも、私はやっぱり常連客になっても「いつものね」はいらないです。
できれば、毎回、「今日はどれにしようかな」って迷いたいです。
たとえそのお店が「ひれかつ」が一番おいしくてお得だとしても、やっぱりその日の気分で選びたいです。
今回は、なぜ「いつものね」が生じるのかを知るカギとなる自己ハーディングについてです。
自己ハーディングとは?
自己ハーディングの前に、ハーディングについて説明します。
ハーディングとは、他人の行動を基準にものごとの良し悪しを判断することをいいます。
herd(群れ)という言葉からきており群れを成すことです。
たとえば、行列ができているラーメン屋にきっと美味しいはずと思って並ぶことでさらに行列が長くなることです。
以前に同調効果について説明しました。
この記事にあるバンドワゴン効果、同調効果、ハーディング効果はほど同じような意味合いと考えてよいでしょう。
では、自己ハーディングとは、「他人の評価ではなく、過去の自分が下した似たような決定が基準」になります
つまり、過去に自分が下した決定は絶対的に正しいから今回も同じ決定をしようと思うことです。
とんかつ屋でいうと、この店のヒレカツが一番うまいから、もしくは自分の好物は何をおいてもヒレカツだから、今回もヒレカツにしようと考えます。
自己ハーディングの活用及び注意点は?
自己ハーディングによって、いつも同じものを選んでもらえるのはお店としてはありがたい話です。
うちのヒレカツのファンになってくれているわけですから。
ECサイトのレコメンド機能も、自己ハーディングに頼っているから通じるとも言えますよね。過去の購買履歴でその人の好みを判断して、その人が喜びそうなものをおすすめするわけです。
でも、それはあくまで過去の統計データです。
今日の気分はわからないはずです。
とんかつ屋でいえば、いつもこの人は「この店ではヒレカツはうまい」と思っているけど、どんぶりはほかの店の方がいいからと、どこかでかつ丼を食べてるかもしれません。
カツ丼の味が良くなっていることを伝えなければ機会損失しているのかもしれません。
ようするに、過去のデータに頼って同じ傾向のものを進めるだけでなく、たまには好奇心をくすぶるようなおすすめをしてみることが必要だということです。
これまでの情報を大事にしつつもいつもアップデートされた最新情報は顧客に伝えられるようにした方が顧客生涯価値もきっと上がるはずです。
まとめ
個々の自分の判断に頼って決断する自己ハーディングについて説明ました。常連さん=ファンをいることはすごく良いことです。
ファンとの良い関係を長く続けるためにも、自社の他のラインナップの興味を持ってもらえるように情報提供を心がけましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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