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市場価値志向とは〜マーケティング・マネジメント16版を読む①

2022年に邦訳版が発売された「コトラー&ケラー&チェルフ マーケティング・マネジメント」。旧版との違いを中心にした”気づき”を書きます。

今回はマーケティング理念の進化における市場価値志向についてです。

マーケティング理念は以下の図表のように5つの段階を沿って進化しているとしています。

マーケティング・マネジメント第16版を参考に作成

生産志向〜製品志向〜販売志向〜マーケティング志向と続いてきて、最終的に市場価値志向へとたどり着きます。

従来ここには、市場価値志向ではなく社会志向が置かれていました。

社会志向は、顧客ニーズだけでなく社会全体のニーズを満たすべきという考えです。例えば、環境に配慮した商品の開発などサステナビリティが重視されていました。

今回、市場価値志向へと置き換えた理由は何なのか?

市場価値志向において主語は”市場”になります。つまり、市場が価値を認めるということです。

市場価値志向と社会志向の違いは、価値が認められることをしっかりと重視しているのか、ということでしょう。

「環境に配慮した製品ですよ」と、いくら訴えても市場がそれを認めなくては価値はないのです。

市場価値を志向することは、市場のニーズを再定義し競争環境を見直すことで企業としてのサステナビリティを保つことを目指しています。

当然、そのためには企業として社会のニーズを満たすことも含まれてくるということでしょう。

自動車メーカーを例に考えてみましょう。製品志向においては、”良いクルマを作ること”を目指します。

市場価値志向では、人が何のためにクルマを運転するのかまで立ち返ることになるでしょう。

そうすれば、「高齢者でも運転できる」から「高齢者は運転しなくても良い社会を作る」といった近未来における存在価値を考えることにつながります。

マーケターは、自身のマーケティング戦略がどの志向のウエイトが強いのか意識して考える必要があります。


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