マガジンのカバー画像

どう使う?マーケターが知りたい行動経済学のあれこれ

68
マーケティングの大家、コトラー教授は「行動経済学はマーケティングの別称である」と言ってます。専門用語が多くてとっつきにく印象のある行動経済学の理論を取り上げてマーケティング施策へ…
運営しているクリエイター

2023年6月の記事一覧

”ハレの日”アイテムをメニューに入れる意義とは? 極端回避性-行動経済学の理解と実践51

懐かしい友人と久しぶりに会うことになり小洒落た感じのレストランを予約しました。 ワインを注文しようと思い、ウェイターにワインリストを見せてもらいました。 リストには20種類くらいのワインがずらっと並んでいますがそんなに詳しくはなくよくわかりません。 一番安いワインが3千円台くらい。次に5千円前後が多く、そして、1万円弱のワインが並んでいます。そして、一つだけ別格のワインがあります。 そのワインだけ桁違いに高いのです。 ワインに詳しくなくてもこれが”美味しいワイン”で

推し活でお金を使いたくなるワケは感情ヒューリスティックにあり?-行動経済学の理解と実践50

近所の雑貨屋で1個300円くらいで売られているマグカップ。 ところがそのマグカップに人気アイドルの顔写真とロゴをプリントすると価格が10倍に跳ね上がります。 ファンは、”推し活”と称して喜んでマグカップを買っていきます。そして、まだ使えるのに新しい写真のマグカップがあるとまた購入して部屋には使わないマグカップがいくつもあるという状態になります。 今回は、このような推し活の心理背景にある感情ヒューリスティックについて説明します。 感情ヒューリスティックとは? 感情ヒュ

ついつい相手の性格のせいにしてしまってませんか? 根本的な帰属の誤り-行動経済学の理解と実践49

世の中にはいわゆるクレーマーという人はいます。お店などで怒っている人を見ると「そこまで言わなくても・・・」って思いますが、本人は「怒って当然」って思いがあるのでしょう。 と、他人事のように書いていますが、私もついつい怒りたくなることってあります。そんなときのセルフコントロールのためにも知っておきたいバイアスの一種である根本的な帰属の誤りについて説明します。 根本的な帰属の誤りとは? 自分の身に起こったことは状況のせいにするのにそれが他の人のところで起こった場合にはその人

無意識バイアスを逆手にとれば市場が拡大する!-行動経済学の理解と実践48

山ガールという言葉が流行語になったのが今から2009年ごろだそうです。それまでは、男性目線で作られていた登山用のグッズが華やかなデザインになって市場が拡大したとされています。 登山以外にもアウトドアやマラソン、男性が多かったスポーツ観戦(カープ女子やセレ女…)、歴史好きの歴女など、女性に目を向けることで市場性、トレンドになったものが多くあります。 なぜ、このような市場トレンドが起きるのか?そのヒントとなるのが無意識バイアスの排除にあります。 無意識バイアスとは? 自分

オークションでの後悔に注意 勝者の呪縛-行動経済学の理解と実践47

少し前にチャリティのネットオークションで好きなスポーツ選手のサイン入りユニフォームに入札したことがあります。 私はまったく落札できませんでしたが、見ていると最後何分かでものすごい攻防が繰り広げられていました。最高額が更新されると締切時間も延長されるので延々と価格のつり上げが行われています。 どうしても欲しいと思った人にとってはプライスレスな価値があるのだと思います。でも、もしかすると冷静さな判断を失っていざ落札してみると大きな出費に後悔している人もいるかもしれません。

顧客をはだかの王様にしてはダメです 確証バイアス-行動経済学の理解と実践46

アンデルセン童話のはだかの王様は珍しい洋服を人に自慢するのが好きで、そこにつけこんだ仕立て屋が「愚か者にはみえない布」で作った服を着て、外にでたら子供に言われて「はだか」だっとと気づくお話です。 今回は、はだかの王様が裸になってしまった理由ともなる確証バイアスについてです。 確証バイアスとは? 「愛は人を盲目にする」という言葉がありますが、これはどれだけ相手の悪い話を耳にしても信用せずに相手の良いところばかり見つめようとしまうまさに確証バイアスにはまっていると言えるでし

少数の法則とn=1の違いについて-行動経済学の理解と実践45

自分が子供の時、もしくは自分の子供から「みんな持ってるから」といっておもちゃをおねだりしたこと、されたことってって誰しも一度は経験あるのではないでしょうか? 私は、親から「みんなって誰よ?」って聞かれ、とっさには3人くらいの名前しか上げられずに「みんなちゃうやん!」って却下されたことがあります。 子供のおねだりならまだしも、ビジネスではデータに基づく検証が必要です。統計的な有意差があることが必要です。一方で、最近はマーケティングでも一人に注目する分析もありますのでその違い