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ストレスによる代表的な疾病


心の病の要因

ストレス反応の3段階変化

  • 警告反応期

    • ショック期:ストレッサーを受けることによって、身体に影響を及ぼす

    • 反ショック期:身体は、自動的に正常な状態に戻そうとする。アドレナリンやノルアドレナリンといった神経伝達物質が分泌される

  • 抵抗期

    • ストレッサーが取り除かれず、継続している

    • さらにアドレナリンやノルアドレナリンといった神経伝達物質が分泌される

  • 疲憊期

    • ストレッサーが長期化すると、抵抗する力がなくなる

    • 交感神経系と副交感神経系のバランスが崩れ、神経伝達物質の分泌にも異常が見られる

    • うつ感、無力感・集中力、判断力の低下・意欲、活力の低下・慢性睡眠障害、蓄積疲労、適応障害、etc


代表的な心の病

メンタルヘルス疾患

  • 精神疾患 ⇒ 精神科

    • うつ病

    • 適応障害

    • アルコール依存症

    • 統合失調症

    • etc

  • 身体疾患 ⇒ 心療内科

    • 過敏性腸症候群

    • 緊張型頭痛

    • 摂食障害

    • 生活習慣病

    • etc

うつ病、不安障害など

【特徴】

  • 人口の1~3%ほどの人が発症

  • 一生うち一度以上うつ病にかかったことがある人は7%前後

【抑うつ(よくうつ)の診断基準】
下記の項目のうち5つ以上が同じ2週間のうちに存在する。
(1.又は2.のいずれか一方が、必ず含まれている)

  • 抑うつ気分

  • すべての活動における興味や喜びの著しい減退

  • 体重の減少(または増加)

  • 連日の不眠(または過眠)

  • 精神運動制止または焦燥

  • 疲労感、気力の減退

  • 無価値観、過剰あるいは不適切な罪悪感(妄想的になることもある)

  • 思考力・集中力の減退、決断困難

  • 死についての反復思考、希死念慮

【治療方法】

  • 休養

  • 多くの場合、うつ病の治療は基本的に外来治療

  • 薬物療法(抗うつ薬、抗不安薬、睡眠薬など)

  • 回復しても半年から1年の間は抗うつ薬の服用を継続(再発防止のため)

適応障害

【特徴】

  • ストレッサーが明確であり、それによってうつ状態が現れたときは「適応障害」と診断される

  • 発症はストレッサーの発生から1~3ヵ月以内

  • 通常、症状の持続は6ヵ月を超えない

新型うつ病(現代型うつ病)

【特徴】

  • うつ病の症状を合わせもちながら、自責よりも他責の側面が強い

  • 休養と服薬による対応よりも組織に対する帰属意識や役割意識を改善するような精神療法的な対応が重要

不安障害(パニック障害)

【特徴】

  • 突然起こる不安発作(動機、めまい、息苦しさ、非現実感)が繰り返される

  • 身体的検査では、明らかな異常所見は認められない

  • 予期不安(パニック障害が「また起こるのではないか」という不安が続く症状)

【治療方法】

  • 薬物療法

  • 回復しても1年以上の服用を継続(再発防止のため)

双極性障害(躁うつ(そううつ))

【特徴】

  • 「気分が抑うつ状態」「気分が活動的になる躁状態」の2つの病態がみられる

  • 人口の0.5%前後に見られる精神疾患

  • 双極性Ⅰ型障害:入院治療が必要な躁状態

  • 双極性Ⅱ型障害:入院治療まで必要としない軽い躁状態

  • 薬物療法を中心とした治療(治療法や対処法が比較的整っている病気の1つ)

アルコール依存症

【アルコール依存症に至るまでの流れ】

  • 機会飲酒:付き合いでたまに飲む

  • 習慣飲酒:毎日飲む

  • ブラックアウト:飲みすぎて当日のことが思い出せない

  • 精神依存:毎日飲まずにはいられない

  • 身体依存:アルコールが切れると離脱症状(※)がでる

    • ※吐き気、手の震え、動悸、イライラ、眠れないなど

【治療方法】

  • 完全断酒(量を減らすではない)

  • 断酒会やAA(Alcoholics Anonymous:匿名アルコール依存者の会)といった自助グループへの参加

統合失調症

【特徴】

  • 生涯有病率は0.55%

  • 主に若年層(10代後半から30代前半)に発症しやすい

  • 陽性症状:幻覚や他人が話している内容を自分の悪口と思い込むような妄想や幻聴など

  • 陰性症状:コミュニケーション障害、意欲や自発性欠如、引きこもり傾向など

【治療方法】

  • 陽性症状:薬物療法が有効

  • 陰性症状:薬物療法が、十分に効果が発揮できない場合がある


発達障害

発達障害とは

  • 自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害、その他これに類する脳機能の障害

  • その症状が通常低年齢において発現するもの

代表的な発達障害(ADHD・ASD)

  • 注意欠如・多動症(Attention Deficit Hyperactivity Disorder:ADHD)

  • 自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder:ASD)

注意欠如・多動症(Attention Deficit Hyperactivity Disorder:ADHD)

  • 落ち着きのなさを示す多動性

  • すぐにキレやすい衝動性

  • ケアレスミスが多くなるといった不注意

  • 薬物治療が有効な場合がある

  • 営業や接客の仕事に能力を発揮することがある

自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder:ASD)

  • 相互的な対人関係やコミュニケーションの障害

  • 興味や行動に偏りがある

  • 空気を読むことが苦手

  • 研究開発や高い集中力を要する仕事で能力を発揮することがある


心身症

心身症とは

  • ストレス等により身体に疾患が現れる症状

  • うつ病などの心の病と異なり、循環器系、消化器系等に疾患が生じる

  • 器質的障害:誰がみても特定の場所に特定の病変を見いだすことできる。「胃潰瘍」など

  • 機能的障害:器質的障害が見受けられない障害「過敏性腸症候群」や「摂食障害」。緊張型頭痛など

機能的障害(過敏性腸症候群)

  • 腹痛や便秘あるいは下痢などの便通異常が症状として現れる

  • 症状の原因となる器質的障害が認められない疾患

  • 治療の中心は、生活習慣の改善

機能的障害(緊張型頭痛)

  • 締め付けられるような頭痛。連続性の痛みが特徴

  • 偏頭痛にみられる吐き気はない

機能的障害(摂食障害)

  • 「神経性食欲不振症(拒食症)」と「神経性大食症(過食症)」がある

  • 神経性食欲不振症(拒食症)

    • 食欲や体重に対する常軌を逸したこだわり(食事制限や下剤の乱用)

  • 神経性大食症(過食症)

    • 一気に大量の食事を摂取する

心身症の対処

  • 心筋梗塞など、より重篤な疾患として現れる場合は、背景となりうる職場要因の有無について検討が必要

  • 作業関連疾患が生じれば、業務上疾病として労災認定される

  • 安全配慮義務不履行(ふりこう)にともなう過失責任が民事上問われる可能性がある



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