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GRITという会社を使って、5年で検証してきたこと

前職の博報堂アイ・スタジオを退職し、株式会社GRITを設立してあっという間に6期目に入りました。自分で法人化してやるからには、あれこれ自由にやろうと思っていたので、プロジェクトチームとしての新しい形や、広告業界で経験したアセットを横展開していくことでどんなことが起きるのかを5年で色々と検証をしていきました。

以前からの知り合いに会うと、今やっている仕事やプロジェクトについて驚かれる方もいるのですが、個人的にはやっていることはそんなに変えてないつもりなんです。

このnoteでは、想定していた仮説と今時点での検証の結果をお伝えしていきます。クライアントワークを中心に仕事しているけど、自分達で何か新しいブランドやサービスを創っていきたいという方には、何かしら参考になるかもしれません。

GRITという会社が何をしているのか

GRITは、クリエイティブやテクノロジーのアセットを元に、サービスやブランドをプロデュースしているプロデュースの会社です。

大きな括りとして事業ドメインは2つです。

1つは、クライアントと一緒にサービスやブランドを開発してい伸ばしていくクライアントとのプロジェクト。もう1つは自社でサービスやブランドを展開しています。

クライアントとのプロジェクトについては、基本的には短期で終わるプロモーションなどは受けておらず、中長期的に関わり続けることでサービスやブランドを伸ばしていくことに絞っています。元々、前職の時はプロモーション系のプロジェクトが多かったこともあり、短期で終わるイベントなどの施策も好きです。ただ、ある程度は継続させないと結果を出しづらい領域がほとんどなので、中長期的に関わることをベースとしています。

もう1つの事業である自社サービスやブランドは、メンズオーガニックスキンケアブランド BLUEや、レザーブランド ORANGE。最近では、10分で400個が即完売した子育てショルダーバッグ Hugoo(ハグー)や、10日で100万ユーザーを超えたうちのこメーカーを展開しています。

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これをみると、化粧品ブランドをやったり革小物や、ママパパ向けのカバンなどのプロダクト制作もしたり、うちのこメーカーのようなwebサービスもやっていたりと幅が広いように見えますよね。どういう会社なのかもよく分からないのが実情だと思います。

なんで、自社でこんなに幅広い領域のブランドやサービスを展開しているのか。それがGRITで検証をしたかったことの1つである「広告業界でのアセットは、業界を問わず活かせるのではないか」ということです。

広告業界のアセットを横展開して検証

広告業界の分かりやすいアウトプットとしては、TVCMや、新聞広告、SNSを使ったプロモーション施策などを行なっています。これは広告業界の仕事の中でも物凄く表面的な部分ではありますが、一般的にはこういったイメージが強いのではないでしょうか。

これらのアウトプットをしていく中で、身についていく根底のスキルは、「考えて・形にして・広げる」力だと思っています。課題や仮説をもとに、アイディアを考えて形にして、それを届けていくこと。広告業界は飲料業界や、化粧品業界、通信業界など、業界を問わずに、日頃からこの反復を繰り返していくながら、スキルを身につけられる場所だと思います。

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僕が新卒で入った会社は、こうした広告業界の中でも、オンライン上やテクノロジーを使ってアウトプットをしていくのを仕事としていました。例えば、商品のWEBサイトや、ECサイトを作ったり、アプリを作ったりなどがわかりやすい例の1つです。

今まで沢山のWEBサイトや、プロモーション、IoTプロダクト等のプロジェクトをやっていく中で、「考えて・形にして・広げる」に加え、テクノロジーを活かせるのが1つの強みになったようが気がします。

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この「考えて・形にして・広げる」+テクノロジーを使っていくと、業界を問わず新しいプロダクトやサービスも展開していけるのではないか。そんな仮説をもとに、横展開させているようなイメージです。なので、今までは広告業界というフィールドの中でアウトプットをしていたのをずらしただけなので、個人的にはやっていることは、以前と変えているような感覚がそんなにありません。

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この5年間でいくつかのプロダクトやサービスを進めていくなかで強く感じたのは、まだデザインがされていない領域や、考える方向が違う、もしくは考えられていない領域が多くあるということです。

例えば、ペット業界で考えてみましょう。色んなペット用の家具は出ていますが単純に人用の家具のサイズをスケールダウンしただけで、ペットの居心地の良さや習性を考えられていないようなプロダクトがまだまだ多いような気がしています。

こうした業界の中に、「考えて・形にして・広げる」スキルセットを持っている人が入っていくと新しいプロダクトや体験をまだまだ作ることが出来るんではないでしょうか。幸いにもプロダクト作りをサポートするような仕組みや、クラウドファンディングでの資金調達、SNSでのコミュニケーションや、shopifyなどのECサイトのベースとなる仕組みも現在は多くあり、元手をほとんどかけなくても作ることが可能な時代です。

また、こうした自社プロダクトやサービスで検証したことのナレッジはクライアントとの仕事の中にも反映していくことができます。いくつか領域違いのことをやることで、共通しているポイントや、上手くいかないポイントなども掴めていくような気がします。

※実は、Hugooやうちのこメーカーは全く違う領域のプロダクトですが、プロダクトのPMFを達成するための0→1のコミュニケーション手法は全く同じやり方です。領域をずらしたとしてもこの手法が上手くいくかどうかを検証してました。これもいずれnoteにまとめたいなと思っています。

もう1つ検証をしてみたかったことがあります。それは、人を抱えこまない組織のあり方です。

抱えない組織のあり方

GRITは株式会社にしていますが、社員は僕1人だけなんです。名刺やメールアドレスも渡して、5年近く一緒に動いていもらっているメンバーもいるし実質的には社員と変わらない気もするのですが、正社員としては僕だけにしています。

これには理由があります。

大きな理由は、テクノロジー領域の守備範囲の広さです。ここ数年を見る限りでもテクノロジーの領域がものすごく幅が広がっています。SNSもあれば、ECサイト、ARやVR、プロジェクションマッピングやAIや、アプリ等、物凄く領域が広がっています。陸上の10種競技のように、一口にテクノロジーと言っても必要になるスキルやスタッフは全く異なります。なので、ECサイトでのブランディングに特化するなど、自分達の強みが活きるような競技を絞っていく方向。もしくは、ある程度人数を抱えて、幅広いアウトプットでもできるような組織形態を作っていくことの2つが選択肢になります。

どこかの競技に絞るような闘い方もあると思うのですが、個人的にその競技にそのうち飽きてしまいそうなのと、なるべくアウトプットの手段についてはニュートラルな状態でいたいということ。また、幅広くアウトプットするために組織を大きくしていくことへの興味もなかったため、抱えない組織形態というのをGRITをつくった時から目指していました。

抱えない組織形態とは、プロジェクト単位で最適なスタッフィングを行い、チームを組んでいくフレキシブルな体制のことを指します。例えば、アプリを作るとなってもその内容によっても最適なデザイナーや、エンジニアも全く変わってきます。AR系のアプリに強いのか、サービス系のアプリに強いのか、求めるアウトプットから逆算してのスタッフィングを行なっています。

もちろんこれはクライアントとの仕事だけではなく、自社のプロダクトやサービスでも同様です。例えば、スキンケアブランドのBLUEや、うちのこメーカーでは関わるメンバーも10名以上いたり、各プロジェクトで5名〜10数名前後のチームを組んで、プロジェクトを進めています。

こうしたフレキシブルなプロジェクトの体制はある程度の規模までは上手くいくのかなと思っています。このある程度というのが悩ましいポイントですが、全員がフルコミットしているサービスとそうでないかは、何かを実行していく上でのスピード感というのがどうしても変わっていきます。1→10、さらにその先を目指していく上では、この辺りが今後の課題です。

この先の5年間について

自社で展開しているプロジェクトの数字が大きくなっていくにつれて、現状のままでも限界があるなと感じています。自社で展開する各事業を0→1から、1→10、さらに先を目指していく中ではある程度の組織体制を作り、コミットの総量を増やし、スピード感を持ってスケールさせていくこと。これは単純にスタッフを増やすという方法だけではなく、どこかの会社と協業したり、一緒に会社を作って進めたり、いくつも方法があるかなと思っています。

この先の5年については1-10、さらにその先のスケール化を検証してみようと思いますので、6期目となりました株式会社GRITを引き続き、宜しくお願いいたします。



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