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METALLIZATION Ⅱ ライブレポート

8ヶ月ぶりのライブに行ってきました。コロナ禍の中で行われた日本メタルの祭典METALLIZATIONⅡ、川﨑クラブチッタ(スタンディング時のキャパ1300名)を150名定員に限定してのライブです。

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チケットはソールドアウト。ライブを待ちわびていたメタラーたちの期待値が伺えます。選ばれし150名。

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タイムテーブル。出演バンドは11組。当初出演予定だったDoomはメンバーの体調不良により出演キャンセルとなりました。

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会場入り。定員をかなり絞っている分、かなり余白があります。一文字で言えば「疎」。こんなに疎なクラブチッタは激レアな気がします。

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足元には距離を保つために目張りがしてあります。ライブハウスでディスタンス。そのほか、全員マスク着用で歓声・合唱禁止です。なので、バンドのコールに対するレスポンスは動きだけ、場所は動けないので手を上げる、頭を振るといった行為に限られます。こういう社会情勢でなければ、超前衛的なイベントですね。

では、各バンドのライブの感想を書いていきます。最初に書いておくと、あまり日本のメタルを熱心に聴いてこなかったので、登場バンドを一つも聞いたことがありません。今年のTHRASH DOMINATIONも中止になり、とにかくメタルライブに行きたくてこのイベントを知り、日本のメタルバンドを知る良い機会にもなるなと思ってチケットを買いました。

どのバンドも初めて知るバンドなので、先入観なく感想を書いていきます。読む方にとっても知らないバンドに出会うきっかけになればうれしいです。

ちなみに、感想の★は下記の基準です。あくまで今回のライブを見ての個人的な感想です。★★★★以上は何らか曲が聴けるリンクを貼っています。

★ つまらない
★★ 好きでも嫌いでもない
★★★ 楽しかった
★★★★ ぜひまた見たいし、音源も聞きたい
★★★★★ 単独ライブに行きたい

1組目 SABEL HILLS ★★★

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疾走系でボーカルはグロールでデスボイススタイルですが、ところどころヨーロピアンなツインリードなど、パワーメタル的なパートもありました。演奏はタイトで演奏力高め。良いバンドでした。2015年結成の若いバンドで、中心人物のVoとGtは兄弟のようです。

2組目 INTESTINE BAALISM ★★★★

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ドゥームから疾走、デス、ブルデスなどのスタイルを自在に取り入れていきます。少し調べてみたら1992年結成の大ベテランで日本のメロデスの祖とも言われているとか。流石の貫禄です。ただ、メロデスといってもパワーメタル寄りの北欧メロデスよりはモービッドエンジェルやエンペラーを思い出しました。ダブルギターでそれぞれボーカルをとるスタイル。2人ともデスボイス。ドラムがかなり技巧派でパワフルでした。主役はドラム。

バックステージからのライブ映像があったのでどうぞ。ドラムがよく見えます。

なお、80年代のメタルはギターとボーカルが主役だったと思いますが、その後尖鋭化していったエクストリームメタルはドラムが主役の音楽になっていった気がします。ギター中心に聴こうとすると音楽としてよく分からないんですよね。リズム主体、またはリズム+ボーカル主体として聞くと構造が分かる気がします。

3組目 HELL FREEZES OVER ★★★☆

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ハイトーンボーカルのパワーメタル、ルックスが良く華があります。演奏はやや荒削りながらライブ慣れしていて盛り上がりました。ただ、今回は2つのステージがありこちらがメインステージなのですが、メインステージの方は音が分離していて籠っていた気がします。サブステージはステージは小さかったですが音はバランスが良く迫力がありました。大入り満員だったらまた違う聞こえ方をしたのでしょうが、今回のように疎だとメインステージのPAでバランスよく聞かせるのは難しいのかもしれません。

4組目 HONE YOUR SENCE ★★★☆

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モダンヘヴィネスのバンドで、専任ボーカルがいます。このボーカルが様々なスクリームを使い分けていて上手い。ドラマーは超絶テクニカルな技巧派タイプではないがパワフルでタイトでした。こちらもドラムとボーカルが主体のバンド。また、音楽性ではないですがMCや佇まいなど全体的なバンドの雰囲気が明るく、楽しめました。

5組目 THOUSAND EYES ★★★★

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スクリーム、シャウト系のデスボイスですが楽曲はけっこうメロディアスでメロデス的な要素もありました。北欧的なメロディに加えネオクラシカルな要素もあり、楽器隊も演奏力が高く独自の音楽性を感じました。2011年結成なので比較的新しいバンドのようです。今までに3枚のアルバムをリリースしています。

クオリティが高いMVがあったので貼っておきます。

ベースのアキラ氏は後で出てくるVOLCANOのベーシストも兼任しているようです。

6組目 COFFINS ★★★☆

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「東京オールドスクールデスメタル」と自己紹介。まさにその通りの音像でした。疾走だけでなくかなりヘヴィなドゥームパートもあり、緩急がありました。ドラムは手数が多く技巧派ですが力みが少なく軽やかに叩くタイプ。ベースはステージアクションが激しく、何度もマイクスタンドを倒していました。ボーカルは近寄りがたい雰囲気があります。

7組目 HEAD PHONES PRESIDENT ★★

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女性ボーカルでメロディアスなパワーメタル、ボーカルのステージアクションが派手で、バンドもタイト。メンバーは音楽学校の講師かスタジオミュージシャンといった、プロな感じを受けました。力量は高いのですが不思議と熱量が低く、ボーカルとバックバンドという印象。調べてみたらボーカルが女優として名の知れた方なのですね。今日は調子が悪かったのかもしれませんがボーカルの高音があまり出ておらず、それなのにミキシングがボーカル主役になっておりちょっと個人的に厳しかったです。ただ、ステージアクションや体の使い方が上手く、ベテランなのか若手なのか分からないと思っていたら女優と知って納得。パフォーマーとしてベテランなのですね。

8組目 TERROR SQUAD ★★★★★

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今日のベストアクト。メタルと言うよりハードコアに近い音像ですが、とにかく迫力がありました。遠藤ミチロウ氏のライブを見た時以来の衝撃。ボーカルには殺気さえ感じました。カッコいい。

とはいえMCは剽軽で、エディヴァンヘイレンにトリビュートしてヴァンヘイレンの曲をカバーする茶目っ気もアリ。

エンタメ性と攻撃性を見事に両立し、度肝を抜かれました。1992年デビューの大ベテラン、ハードコア直系の初期スラッシュメタルのスタイルを堅持していますね。

長尺のライブ映像も貼っておきます。

9組目 VOLCANO ★★★★☆

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正統派パワーメタル、ツインギターでかっちりしています。ベテランの貫禄を感じます。ボーカルが邪悪な道化師というか、味のあるキャラクターでステージを引っ張ります。ややKING DIAONDの影響も感じました。音域も広く金属的な声ながらしっかり音圧の間から声が通ってきます。曲も良い。ドラムもパワフルでした。ドラムとセカンドギターは若いから新しいメンバーでしょうか。調べてみたら、1999年に屍忌蛇が中心となって結成した、日本メタルのスーパーバンドなのですね。キャリアにふさわしい実力でした。クラブチッタのメインステージを一番使いこなしていたのはこのバンドのように感じます。次はトリだったSURVIVE。その他のバンドはちょっとステージの広さを生かし切れておらす、音も疎になってしまっていた印象。今回は特殊な状況下で観客からの歓声もなかったので余計難しかったのだろうとは思います。

長尺のライブ映像も貼っておきます。

10組目 SHELLSHOCK ★★★★

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スラッシュでひたすら疾走、硬派、音の塊です。音のレイヤーの重ねかたがうまく、ボーカルも合いの手が入り盛り上げていきます。高速祭囃子、とも言えるかもしれません。ちょっと日本的。ドラムの人がねじり鉢巻きをしていたから視覚的印象もあるかもしれませんが、ボーカルの合いの手や、リズムのノリがどこか和太鼓だったり音頭だったりを彷彿させたんですよね。かっこ悪いわけではなく、むしろDNAレベルで染み付いた「踊れる音楽」というか。ただ、ちょっとミックスでギターの音が大きすぎた。もうちょっとドラムが大きくても良かったかもしれません。曲の骨子がドラムというかリズムなので、弦楽器隊の音があまりに大きいと音がカオスになって曲の輪郭がぼやけてしまったんですよね。とはいえ、独自性も感じる楽曲でした。1984年結成ということで大ベテランですね。

2020年に出た新譜のトレイラーを貼っておきます。なお、この動画の概要欄で知りましたがドラマーは本当に和太鼓も叩ける人なんですね。「ドラマーには前作に続き、和太鼓Grindトリオthekandarivasにも籍をおくONOBONEが参加している。」とあります。納得。

11組目 SURVIVE ★★★★

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大トリ。このイベントの主催者でもあるそうです。メタルペイントで世界観は抜群、ドラムはトリガーありでブラックメタルっぽい雰囲気もあり、完全ブラックメタルの単音トレモロリフの曲やシンフォニックブラックメタル曲が主体でしたが、シンガロングでパワーメタル的な曲もありました。

アルバムビジュアルやステージングなど世界観の完成度と演奏力が高く、アルバムジャケットやTシャツなどのマーチャンダイズも魅力的。けっこういろいろなタイプな曲があるのでアルバムごとに音楽性が変わる発展期のバンドなのかなと思ったら結成20年のそこそこベテランですね。メタル音楽に対する探究心と発展への意欲が強いのでしょう。イベント主催者として「もっとメタルシーンを盛り上げていきたい」という発言もしていました。Tシャツがかっこよくて買ったのでアルバムも聞いてみたいと思います。余談ですが、ビジュアルがかっこいいバンドっていますよね。最近だと自分にとってはGhostがそうで、人間椅子の鈴木さんがTシャツを着ていて「このTシャツかっこいいな」と思ったのが知ったきっかけです。

SURVIVEは最新MVがあったのでこちらをどうぞ。シンフォニックブラックメタルですね。

最後はアンコールで締め。

気が付けば20時近く。7時間にわたるメタルの祭典が幕を下ろしました。

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SEE YOU NEXT YEAR!!!!

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