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メキシコ音楽+メタリックハードコア=オチョ・カラカス : 8 Kalacas / Fronteras(2022、US)

スカコア・メタルバンド、8 Kalacasオチョ・カラカス。本国ではアトミックファイアーレコードと契約し、日本ではワードレコードから国内版も発売予定。アルバムは未発売ながら先行トラックが何曲か公開されており、それらが衝撃的だったのでご紹介。バルカン的なブラスセクションが入り、シカゴなどのブラスロック的な味わいも感じる面白い音像。

ベースはスカコアであり、ラテンアメリカの音楽をベースとしながらザクザクしたギター、メタリックハードコア的な音像を味付けしている。ボーカルスタイルはそこまで極端なグロウルではなく掠れた声、という感じ。強烈な怒号、ではなく軽やかで聞きやすい。むしろ合いの手で入るコーラスの方が強烈な怒号でOi! Punk的というか、コーラスの合いの手でテンションを上げてくる。リズムが直線的ではなく跳ねている、ダンスミュージック的(ラテン音楽的)なのが面白い。それなりにギターの音圧はあるのだけれどリズムがダンサブルなので聞いていて圧迫感がない。かといってブラジルのSepulturaのような「強烈なトライバルビート」感ではなく、基本はラテン音楽。クンビアとかサルサとかマンボの影響も感じる。この「Pudreto」という曲なんか途中からサーフミュージック的な感覚があるのも面白い。サーフミュージックとガレージサウンド、ハードコアサウンドってけっこう相性がいいからね。

メンバーはラテン系なのだろうか。USのバンドではあるが歌詞もスペイン語のようだ。2003年にカリフォルニアで結成され、メキシコ音楽の影響とメタリックハードコアを組み合わせた、とのこと。もう結成20年近いベテランのようだ。彼らの特異性というか、スカ感が強いのはこの曲「R2RITO」か。

あまり情報がないバンドだが日本のバンドとも交友はあるようだ。こんなインタビューがあった。スカコア界ではそこそこビッグネームのようだけれど、あまりハードコア界隈の人たちは情報発信に熱心ではない(という個人的な印象な)のでネット上のテキスト情報は少な目。

僕の中ではそういうBig Nameよりもまだ日本で知られていない
カッコイイバンドを紹介して行きたいっていうのもあるんだ。
特にオレンジカウンティの8KALACASなんかは是非日本に呼びたいね。

11:8KALACASはどこで発掘したんですか?交流はありますか?

A:ギターのSukebillyが発掘してきたんだ。
お互いの音源やT-shirtsを交換したりして交流しているよ。
この前もメキシコのドデカイフェスで僕らのT-shirtsを着てPlayしてくれたんだ!本当に素晴らしいBrotherだよ!

英語のインタビューによると、アトミックファイアー(ニュークリアブラストの創設者が作った新しいレーベル)と契約したのは2021年12月。本作がアトミックファイアーからの初のリリースとなるようだが、録音自体は2019年の冬に行われていたそう。バンドメンバーは7名で、メキシコ音楽の中でもクンビアとマリアッチというジャンルに影響を受けているそう。マリアッチというのは初めて聞いた。勉強してみよう。

8 KALACAS are:
Sr. Kalaca | vocals
Getse | vocals
Adam | drums
Sick | bass
Steve | guitar
Choriz | trumpet
Gio | trombone

メンバー写真、ベテランらしい風格がありますな。

彼らのニューアルバム「Fronteras」は3/25発売。グローバルミュージックとメタルの音像を組み合わせた面白いバンド。

それでは良いミュージックライフを。

おまけ

クンビアとマリアッチを1曲ずつ。クンビアはビートが独特。

クンビア:Los Ángeles Azules - Nunca Es Suficiente ft. Natalia Lafourcade (Live)

マリアッチ:Alejandro Fernández, Christian Nodal - Duele

マリアッチというのは音楽ジャンルというよりこうした「楽団構成」そのものを指すらしい。

マリアッチは7名ないし12名で編成される楽団である(ただし、人数に上限は無い)。ビウエラギターギタロンバイオリントランペットは欠かせない楽器とされ、これらにフルートアルパが加わる事もある。アコーディオンは本来マリアッチに使われる楽器ではないが、メキシコ以外ではしばしば用いられている。
マリアッチは音楽の種類を指すものではない。マリアッチの楽団は様々な種類の音楽を演奏する。ソン・ハリシエンス、カンシオン・ランチェラコリードウアパンゴボレロなどが主で、時折ソン・ハローチョやメキシコ・ワルツも演奏される。これらの音楽に種類名をつけるとすれば、「メキシコ伝統曲」か「メキシコ地方曲」となるであろう。

Wikiより

そういえばディズニー映画「ミラベルと魔法の家」のサントラがUSでは社会現象となるほど売れているようだがあれもラテン音楽、いや、覚えたての言葉で言えば「マリアッチ」的である。その流れに乗ってヒットしたりする、かも。

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