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13.21世紀の英国プログレッシブ・ロック = Frost*

Frost*は2004年にプロデューサー/キーボーディストのジェム・ゴドフリー(Jeremy "Jem" Godfrey)が中心となって結成された英国のプログレッシブ・ロックバンドです。2006年のファーストアルバム「Milliontown」のタイトルトラックは24分超の大曲で、いわゆるプログレッシブ・ロック(PROG)のエッセンスを十分に織り交ぜながらも熟練した作曲技法で壮大なロック組曲として緊張感が持続します。これをライブで再現してしまう技術も見事。ゴドフリーのキーボードプレイは常に新しい音色を模索し、きらびやかで図太いシンセサウンドを聞かせてくれます。

プログレッシブ・ロックは直訳すれば「進歩的なロック」であり、そもそもは従来のジャンルにとらわれない実験的、前衛的な精神を持ったロックバンドの総称でしたが、現在では変拍子や組曲構成を用いて複雑に構築された(コンセプトがあることも多い)楽曲を演奏するバンド群、という音楽形式のジャンルとして使われています。最近は「PROG」と呼ぶこともあります。

PROGの現役バンドとしてはスウェーデンのThe Flower Kings、Moon Safariやanekdotenなど、北欧勢が力をつけています。

The Flower Kings(TFK)は元Kaipaのメンバーとして1970年代から活躍する北欧のベテランギタリスト、ロイネ・ストルト(Roine Stolt)を中心としたバンドです。彼のファーストソロアルバムのタイトルが「The Flower Kings」で、そこからバンドに発展しました。1993年から現在まで14作のスタジオアルバムをリリースしており、6作が2枚組とかなり多作なバンドです。ロイネは他にもさまざまなプロジェクトに参加しており、北欧プログレ界の顔役と言えます。

ムーン・サファリは2003年にスウェーデンで結成されました。現在までに4枚のアルバムをリリースしており、2010年の「Lover's End」で飛躍的に音楽的完成度を高め、日本でも知名度を高めました。Yesのような美しいコーラスワークと展開が多いもののさわやかで耳に残るメロディーが特長です。

アネクドテン(Anekdoten)も1991年から活動しているスウェーデンのバンド。バンド名はスウェーデン語で「逸話」の意味だそう。1970年代によく使われていたメロトロンという電子楽器を前面に出したレトロで陰鬱なプログレサウンドは当時のプログシーンに衝撃を与えました。そのあと、音楽性の変遷を経ていますが陰鬱でメランコリックなメロディーとヘヴィな世界観は健在です。

他、非英語圏ではイタリアやフランスにもプログレシーンがあり、イタリアン・プログレは70年代から現代にいたるまでさまざまなバンドがひしめく魅力的なシーンです。また、よりメタル色の強いDream Theaterなどのバンドもいます。イタリアン・プログレ、プログレッシブ・メタルについてはまた別日に触れたいと思います。

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