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2.モンゴル伝統音楽 × ハードロック = The HU

モンゴル、ウランバートルから現れたロックバンド「The HU」。現在2曲がyoutubeにアップされ、1stアルバムを制作中(2019.9.3に1st『The Gereg』がリリース)とのこと。最初に寸劇が入りますが、そのあとは武骨で縦ノリなハードロックサウンドに乗せてモンゴルの伝統歌唱法であるホーメイ(喉笛)や馬頭琴、トブショールといった西洋のロック音楽ではまずお目にかからない楽器群を使い、ヘヴィーなグルーヴを出しています。匈奴ロックと名乗り、近代化した現代のモンゴルの暮らしに警鐘を鳴らしているそう。確固とした意志を感じる力強い楽曲です。

ホーメイという歌唱法は英語ではthroat singing(喉の歌)ともいわれ、喉の反響音を使うことで低い声だけでなく高音のホイッスルのような音も出せます。こうした発声法は多少の違いこそあれ世界各地に散見されます。ボイスパーカッションや、デスメタルなどの「ガラガラとしたうなり声」もこうした特殊な喉の使い方ですね。ホーメイに魅せられた盲目の黒人ブルースギタリストがホーメイの本場(南シベリアのトゥバ地方)を訪れ、その地の音楽家たちとの交流を描いた「ジンギスブルース」という映画があり、劇中に多くのホーメイの歌が使われています。劇中でホーメイマスターとして出てくるのがKongar-ol-Ondar氏。実に美しい高音ホーメイを披露しています。

彼がテレビ出演したときの動画がこちら。

ジンギスブルースは最初はOndar師の美しい歌声からスタートします。劇中でのライブの様子。この映画のもう一人の主人公、ポール・ペナとのコラボ。

ドキュメンタリー映画ですがほとんど音楽が鳴り続けていますので純粋にBGMとして流しても心地よい。ホーメイとさまざまな音楽(ブルースやロックンロール等)のコラボレーションが出てきますが、いろいろなジャンルに無理なくホーメイが溶け込み、化学変化を生んでいます。

モンゴルは2017年で人口300万人ほど、茨城県より少し多いぐらいですが、面積は1,566,500km²で日本の約4倍。ほとんどが山岳地帯と荒野で、都市部を少し離れると人々は今でもゲル(移動式テント)に住み、遊牧民の暮らしを続けています。冬は厳しい寒さに襲われますが、春から夏にかけては美しい草原が広がる壮大な景色を見ることができます。

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