発酵とともに生きる

発酵とともに生きる。

今日も世の中を醸したい。
発酵起業家の小泉泰英です。

どうすることで自然の中で生きる感覚を持つことができるのかについて発酵の側面から以下の3つについてお話しします。

発酵について知ることは、自分がどれほど多くのものに生かされているかを知ることでもあります。

①手前味噌・自家製の糠床を作ろう

自然の中で生きているという感覚をもつために必要な一つに、自分たちで味噌をつくる手前味噌文化の復活や、自分の家で糠床をつくって野菜をつけることがあるのかなと思っています。

今では商品としてメーカーがつくったものを購入することが多いですが、発酵食品は家庭の保存食として発展し、かつてはどこの家でも味噌や糠床をつくっていました。

糠床に関しては、嫁入り道具として持っていき合わせられていたという文化もありました。

手前味噌を作る際、作ったその瞬間は大豆と塩と米麹のお団子のようなもので、味噌とは呼べないと思いますが、6ヶ月、1年と熟成発酵させることで味噌となります。

その過程を眺めると、「1年後においしい味噌を食べるのに、あくまで私たちは最初の準備だけで働いてくれているのは菌たちなんだな〜」と感じるはずです。

私は手前味噌や自家製の糠床を外部化された自分と捉えています。

人間は菌によって分解・発酵されなければ栄養として吸収することができません。

多くの食べ物は自分の体の中で腸内細菌によって分解・発酵されています。

同様に手前味噌や自家製の糠床も微生物によって分解・発酵されています。

体内に住み着いている腸内細菌も自分であると捉えると、手前味噌や自家製の糠床も微生物も体内には住み着いていないものの消化吸収を助けてくれる自分の一部と捉えることができます。

そんなところから私は外部化された自分と考えています。

②腸内細菌が住む村を育てる感覚で食べ物を食べよう

自然の中で生きているという感覚をもつために必要な2つ目は、腸内に住む菌たちが喜ぶことを意識した食事をしてみようということです。

腸内細菌の研究を進めることによって、アレルギー反応を抑えることや生活習慣病の予防にも寄与することが期待されています。

腸内細菌を大きな括りに分けると、「善玉菌」「日和見菌」「悪玉菌」の3種類に分けることができ、それらがそれぞれ2:7:1のバランスで存在していることが身体にとって一番良いとされています。

しかしバランスは日々の生活の中で崩れてしまいがちです。

だからこそこの3種類の菌たちを意識して、少しでも善玉菌が優勢な環境になるような想いで食事を心がけることが大切です。

そうすることで、自分の体の中を住処にする菌たちと一緒に生きている気持ちになれると思います。

腸内には菌たちがいて、その菌たちが働いてくれることで健康が保てているのだなと想像すると自分の腸内細菌たちに愛着がもてたりします(笑)

もう一つ、注目したいことは悪玉菌が0でもダメだということです。

多くの場合、悪玉菌は腸内腐敗を引き起こす方向に向かいますが、大腸菌はときにビタミンを合成し、身体に良い影響を与えることもあります。

一見、いくら悪い存在でも、排他的な考えになってはいけないということを私は腸内に住む菌たちから学びました。

③醸す(=待ちながらつくっていく)生き方のすすめ

自然の中で生きているという感覚をもつために必要な3つ目は、待ちながらつくっていく「醸す」という感覚を大事にして毎日を過ごすことです。

これこそが発酵の本質なのではないかと思っています。

「醸す」とは、すぐに結果を求めないけれど、前に向かって積み上げていくことをいいます。

悩んでいるときに「先が見えない」と思ってしまうか、「今は発酵中なんだ!」と思えるかは大きな違いではないでしょうか。

私たちはできることを全力で行うが、その先は自然や菌にゆだねて、ひたすら待ちます。

この“待つ”をいかに楽しむことができるかが発酵の深さであり、人生においては心の豊かさへと変わっていくのだと考えています。

醸すの背景には必ず、人間と対等な立ち位置、むしろ尊敬の念を持ちながら菌という存在がいます。

「醸す」を意識することで、自然の中で生きているという感覚に大きく近づくなと思っています。

ここまで辿り着いてくださったあなたへ。人生で誰と出会い、どんな縁があるかはわかりません。でもそれを楽しむことができる人生こそが、発酵ある毎日だと私は思っています。サポートはみなさんとコラボするために使いたいので、意思表明としてお気持ちいただければ嬉しい限りです。