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ファランポーン駅前に広がる【ゴザBar】の秘密とロケット祭り

ここ数年で、バンコクのいたるところにショッピングモールが建ち、高層ビルが増え、屋台が減り、発展途上国というイメージはなくなりつつあります。

「バックパッカーの聖地」と呼ばれている(呼ばれていた?)カオサン通りは、バックパッカーが闊歩しているような通りではなくなり、夜になると完全にパリピ街。

僕がタイへ移住を決めた2011年から比べても、バンコクの街並みや風景は、経済成長とともに相当な変化を遂げています。

急激に変化し続けるバンコクの街並みを見て、僕はそれほどネガティブに思うことはないんですが、20年近くタイへ旅行に来ている方や現地で住んでいる人の中には、昔の風景が懐かしく思い出され、郷愁の念を感じる人もいるようです。

そういった方々に声を大にしておすすめしたいのが、MRTファランポーン駅前に広がる通称「ゴザBar」です。
21時過ぎ、地下鉄の3番出口を出たあたりには、天秤屋台を肩に担いだタイ人のオバチャンたちゾロゾロと集まり始め、歩道にゴザを敷き、即席のBarを出店。
これらの店を「ゴザBar」と呼んでいます。

ソムタムも出してくれます

歩道にゴザを敷いて飲み屋を開店している、違法性丸出しのBarはココぐらいなものでしょう。
カオスが濃厚だった時代のバンコクがそのまんま残っている、貴重なエリアです。

ゴザBarで爆睡して警察官に囲まれる

ゴザBarで提供されているの酒は、ヤードン(ยาดอง)という赤く染まった怪しい酒のみ。
名前のヤー(ยา)は薬草、ドン(ดอง)は漬けるを意味し、ラオカオと呼ばれるタイの焼酎に数種類の薬草を漬け込んだ薬草酒です。

日本でいうと養命酒みたいなものか。

ヤードン(ยาดอง)は1本100バーツ

ゴザBarはこのヤードンを仕入れているのではなく、それぞれで密造し、ポケット瓶に移して客に振る舞っている。
出店していること自体が違法なのに、それに輪をかけて密造酒の販売までしているのだから筋金入りです。

基本的に警察は黙認しているのですが、だからといって何もしないわけにはいかないので、ときどき取り締まり的なことが行われ、その都度ゴザBarはあわてて閉店。
警察の「取り締まりやってまっせ」な茶番にお付き合いし、長年ここで生き延びてきたようです。

僕がGダイアリーの編集長だった頃、ゴザBarを特集したことがありました。
あと数年で絶滅してしまうかもしれないゴザBarを、誌面に残しておかなければと企画したのですが、Gダイアリーの方が先に絶滅してしまったのは皮肉な話です。

特集の取材のためライターの髙田胤臣さんとゴザBarへ訪れた時のことです。
ゴザBarのオバチャンと談笑しながらヤードンをくいくい飲んでいたのですが、安物の焼酎を使っていることもあって、酒がよく周る。

高田さんがトイレに行って帰ってきたら、ゴザの上で僕が爆睡していたそうです。
寝ているだけだったらまだ良かったのですが、僕が爆睡し始めたタイミングで警察が取り締まりに!

嘘のようなタイミングで訪れた警官数名は、ゴザを囲み、僕を見下ろしている。
警官に囲まれながら爆睡している日本人という光景は、在タイ20年という高田さんでさえ見たことがなかったそうです。
そりゃそうか。

タイ東北各地で開催されているロケット祭り「ブンバンファイ」

特集の取材を通じて、明らかになったことがひとつありました。
ゴザBarを営んでいる人たちは、全員同郷だったという事実です。

彼らの出身地は、ローイエット県のスワンナプーム村。
スワンナプーム国際空港と同じ名前の村が、ローイエット県にあるといいます。
どんな村なんだろうか。

いつか行きたいと思っていたスワンナプーム村でしたが、ロケット祭りが催されると知り、急きょ行くことに。
5月31日、モーチットのバスターミナルから出発。
7時間半ほどバスで揺られ、スワンナプーム村に降り立ちました。

バンコク北バスターミナル

バンコクを発つまでは「さびれた農村」というイメージを抱いていたのですが、幹線道路は走っているし、道路もきちんと整備されている。
コンビニもあればカフェAmazonもある。
さびれた農村なのではなかったですが、さすがにバイクレンタルをしている店はなく、移動で利用したのは、宿で借りた子ども用の自転車でございます。

颯爽と子ども用自転車を運転する50歳のおっさん

ロケット祭りのタイ語は「ブンバンファイ(บุญบั้งไฟ)」。
タイ東北地方の数県で、毎年5月、6月に開催されているお祭りで、もともとは雨季が始まる前の「雨乞いの儀式」として始まったのが由来です。

ロケット祭りが日本人に広く知られるようになったのは、テレビ番組がヤソートーン県のロケット祭を取り上げたことがきっかけでした。

それからというもの、ヤソートーン県のロケット祭りに参加する日本人が急増。
いろんなYouTubeチャンネルで紹介されるまでにいたっています。

僕がヤソートーン県のロケット祭りに訪れたのは2014年でした。
最大規模だけに見応えはあるし、動画映えはするのですが、有名になってしまったものにはどうも心が動かない。
好きなアーティストが売れてしまったらファン心が薄らいでいく、という現象に近いのかも。

2014年開催ヤソートーン県ロケット祭り

そんな天邪鬼な奴ですので、ローイエット県の聞いたことのない村のロケット祭りってのは、僕の心にビンビン来ました。

Googleマップにも載っていないロケット祭り会場

ローイエット県スワンナプーム村のロケット祭り開催日は、毎年6月第一週の週末。
1日目は中心部で開催されるパレードで、2日目はロケット祭り本番です。

1日目のパレードで踊る女性(?)たち

そこまでは事前の調査でわかりました。
ところが、ロケット祭りの開催場所は調べてもまったく出てこない。
分からないまま現地入りしたのは「地元の人に聞けばなんとかなるだろう」との目論見からでした。

しかし。
地元の人に聞けども聞けども、場所の名称を教えてくれる人はおらず、指をさして「あっちの方だ」という人ばかり。
そんな伝え方で場所が分かるわけない。

最終的に頼ったのはバイタクのドライバーでした。
さすがにドライバーは知っていて、バスターミナルから乗車したバイクは、舗装されていない道をどんどん走らせていく。
こんなところに開催場所があるのかよ。
悪路を走るバイクの後ろで訝しみ始めたのですが、10分ほど走らせてようやくロケットの発射台が見えてきました。

Google マップで確認したら、ただの空き地で、近くに寺院など目印になるものは一切ない。
そりゃ誰に聞いても指をさすだけだわ。

ロケット祭り運営者に声をかけられ

紺碧の空が広がるスワンナプーム村。
午前中から気温はぐんぐん上昇し、体感気温は38度を超える猛暑。
撮影があるので日陰で座っているわけにもいかず、猛暑のなか直射日光を全身で浴び、拭いても拭いても額から汗が流れ出てきて、顔面は常にぴちょぴちょ。

水分補給を怠ると、熱中症の危険性が急上昇する気温です。

紺碧の空に吸い込まれていくロケット

YouTube撮影やら写真撮影を、顔面びちょびちょで孤軍奮闘しておりましたら、運営側のスタッフから声をかけられました。

どうやら外国人YouTuberが珍しかったようで、会場に来ている皆さんに紹介したいという。
ひょっとしたらすごいYouTuberだと勘違いしているのではないか。

タイ語がそれほど話せないことを伝えたら、「じゃあ英語でいいよ!」と言われたけど、大勢の前で話せるほどの英語力もない。

そんな体たらくな語学力なので、「サバイディーマイ〜!」とマイクを通して大声で言ってみたり、日本語で喋り続けたりと、目を覆いたくなるような惨状でした。
ゲーンさんというスタッフのFacebookに、僕が写った写真が投稿されていました。
このFacebook投稿は、メンバーシップ限定で公開します。

スワンナプーム村でのロケット祭りでは、動画を撮影し、YouTubeで公開しています。
きっと、日本人YouTubeチャンネルでは世界初公開ではないだろうか。
きちんと調べもせずそんなことを書いておりますが、ローイエット県スワンナプーム村のロケット祭りを日本語で取り上げた記事や動画はほとんどないと思います。

貴重な動画だと思いますので、視聴していただき、感想などをコメントでいただければすんごく嬉しいです。

https://youtu.be/Kk8ZYKShun4

ここから先はnoteメンバーシップ「タイ王国研究所」向けです。
前述したFacebook投稿だったり、現地で撮影した写真の数々やスワンナプーム村へ行くために利用したバスの詳細などを掲載しています。

メンバーシップ「タイ王国研究所」では、1〜2ヶ月に一度タイの地方を旅をして、その町や地方の文化や見どころ、歴史などを掲示板や限定記事で共有し、みなさんと共に知識などを深めていくのが趣旨です。

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