見出し画像

Xデザイン学校#2のリフレクション

はじめに

2022年6月18日。2回目はエスノグラフィ/行動観察。カリキュラムを見たとき、他のデザインスクールにはないテーマだったので、一番興味を惹かれ、楽しみにしていた回。結論、楽しみにしていた甲斐がある回だった。

仮説生成のためのデータと仮説検証のためのデータ

受講前の私のユーザリサーチの理解は、手法としてエスノグラフィ、インタビュー、アンケートなどがあり、先に挙げた手法ほどユーザに関するインサイトを得やすいので数が少なくても有用であり、逆にいうと後に挙げた手法はある程度の数を集めないとインサイトが得にくいというものだった。
図示すると以下の通り。

調査方法と調査対象人数によるデータの有用性の関係

ポイントは、調査手法は調査対象者と調査者の距離という軸で一直線に並ぶものと捉えていた点と、そこに調査対象者の人数を掛け合わせて考えると、データの有用性はグラデーションのように表せると考えていた点だ。講義を受講したことで、この捉え方は、データが1次情報か否かを区別していないという点で、問題があると認識した。
受講後の理解は以下の通り。

調査方法の違いによる取得データの性質の違い

ポイントは、1次情報をあたる調査方法とそうではない調査方法の間には越えられない壁があり、ここでデータの性質が変わること。今まで私はここを理解していなかったので、1次情報が得られればいいが、それが難しければヒアリングやアンケートで代替ができると考えていたが、それは違ったようだ。ヒアリングやアンケートは、仮説があってそれを検証する方法でしかないので、仮説を生成する方法にはなり得ない。1次情報はあったほうがベターというわけではない。1次情報をあたらないと始まらないのだ。これは最近の実務での(手痛い)学びともリンクする考え方で、納得感がある。

データの性質が違うので、調査方法と調査対象者の人数を並べて考えることに意味はない。別の図で調査方法と取得データの関係を示すと以下の通り。仮説生成のためには質的データが必要で、ヒアリングやアンケートでは質的データは得られないという点がポイント。

調査方法と取得データの関係

今回の学びと自身の知識との関連

1次情報による仮説生成とそれ以外での仮説検証という考え方を学び、ダブルダイヤモンドがどうなっていたか気になったので見てみた。

ダブルダイヤモンド(Wikipediaより引用

今回の学びを経てダブルダイヤモンドを見ると、左のDISCOVERという領域の調査方法としては、1次情報をあたる調査方法が適していることがわかる。これまでダブルダイヤモンドに関しては、「正しいもの」を決めるために発散と収束をして、「正しく作る」ためにまた発散と収束をする、くらいの理解しか持っておらず、具体的な調査方法の違いまで意識できていなかったが、今回の学びでかなり理解が深まった。

あと世の中的に仮説生成のための調査方法と仮説検証のための調査方法がごちゃ混ぜにして説明されることが多いように思う。(そのため私も理解が浅かった。)
ひとしきりデザイン思考の説明をした後で、自分自身がユーザとして体験していることや困りごとを軸にデザイン思考でのものづくりをすると成功確率が上がる、ベンチャーの創業者はそうやってビジネスを始めている、みたいな説明をされることがあり、そのときはなるほどと納得していた。
今回学んだエスノグラフィという概念を踏まえて考えると、ベンチャーがデザイン思考を使うというのは、あくまでサービス改善のときの話で、ビジネスを始めるときのポイントは、(意図的か無意識かは置いておいて)エスノグラフィを実践して、仮説を生成している点にあると理解できる。この辺りが全てデザイン思考という言葉の中に押し込められてしまっていたので、区別して考えられるようになって良かった。

ビジョンはコーポレートサイト、パーパスはCM?

後半のワークでは、PDUモデルに該当するサービスを挙げて様々な観点からの分析を行なった。
その中で、プラットフォームのビジョンとパーパスを挙げる項目があった。両者は抽象的で違いの理解が難しいのだが、グループメンバとの会話を経て、ビジョンはコーポレートサイトのトップメッセージ、パーパスはテレビCMやサービスサイトのトップメッセージに該当するのではないかと仮説を立てた。試しにRettyとrentioを取り上げてみる。

Retty

コーポレート:新たな「食体験」を創り上げ、人生をもっとHappyに。
サービス:Rettyで自分にBESTなお店をさがそう

Rentio

コーポレート:新しい消費行動をつくる
サービス:どんな製品も買わずに試せる

上記2社をみると限り、仮説はあっていそうに見えるが、パーパスの方は微妙かもしれない。パーパスがユーザに浸透していなかったり、ユーザの期待値とずれていると、サービスとしては良くない状態だろうとは思う。今後もう少し理解を深めていきたい。

プラットフォーマーに関する思い込み

PDUモデルを挙げるというワークにおいて、CAFISを挙げている方がいて、頭をトンカチで殴られたような衝撃だった。
私はプラットフォーマーといえばイケてるベンチャーだと思い込んでいて、身近なはずのCAFISなんて全く思いつかなかったので、改めてプラットフォーマーについて考え直す機会になった。

おわりに

1次情報が大切なのではなく、1次情報がないと始まらないということを理解できたことが一番の学びだった。
あと講義資料は事前配布されるので見ていたが、自分で見るだけだと自分の理解の範囲で分かったつもりになってしまうので、先生のお話を伺うことは大切だと思った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?