見出し画像

Xデザイン学校#10のリフレクション

はじめに

2023年2月18日。10回目は最終回となる発表準備・発表会。グループワーク課題を出してくださった企業様向けにビジネスアイデアを提案し、講評をいただいた。

弱みを補い合うことでアジャイルになる

この1ヶ月は怒涛の資料作成の日々だった。まず各自で作成するスライドを分担し、その後がっちゃんこする作戦を取ったが、いざスライドを繋ぎ合わせてみると、自分のスライドがダサくて本当にショックだった。「ノンデザイナーズ・デザインブック」を読んで最低限の常識は身につけているつもりだったし、スライド作成に苦手意識もなかったので、つなぎ合わせてもそのまま自分のスライドは使えると思っていたが、デザイナーのメンバが作ったスライドと自分のスライドとは、見栄えが決定的に違っていた。

自分がスライド作成の際に意識していた配置を揃えることって、文章に言い換えれば「てにをは」を整える程度のことなので、それだけでは良い文章にならない。良い文章にするためには、構成を工夫したり、文中の表現にこだわって試行錯誤する段階が必要なはずだ。自分が作ったスライドは、ここが全くできていなかった。伝わる資料にはなっていたが、相手を引き込むような迫力あるデザインにはなっていなかった。その点、デザイナーのメンバが作ったスライドは本当にすごかった。デザインの力を思い知った。

そこで、もうこれは自分がこの短期間で努力してなんとかなるレベルではないと考え、デザイナーのメンバに、自分が担当していたスライドの修正を依頼した。この時は悔しい気持ち、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

その後、この部分はデザイナーのメンバが素晴らしいデザインのスライドに仕上げてくれたが、スライドに込めるメッセージには改善の余地があるということで、発表当日の準備時間に最終調整をしていた。発表会が始まり、他の班の発表をよそに(すいません。。。)、最後の発表練習に励んでいると、以下のことが起こった。

発表直前のチャットのやり取り

上記のチャットは、発表練習中にスライドの内容が急に変わったものだから、急いでメンバに確認をしたときのものだ。(最初の一文が相手を責めるニュアンスを含んでいて、人としての未熟さを感じる。申し訳ない。。。)この時は、例の最終調整していたスライドのデザインが急に変わったので焦ったのだが、落ち着いて見てみると、変更後のスライドの方が圧倒的に説明しやすかった。結局、最終発表では変更後のスライドを使った。

前置きがすごく長くなってしまったが、ふりかえって見るとこれって結構すごい。該当のスライドに対する共通理解がバッチリあっていたからこそ、メンバは変更前のスライドでは説明しにくいと判断して、変更後のスライドを作成してくれたし、自分もその意図にすぐ気づけた。

共通理解があったからこそ、素早く改善が行えたのだ。これってまさに、自分が専門としているアジャイルだ。元を辿れば、自分の苦手な作業をメンバに頼らざるを得なかっただけで、それによって共通理解ができることは意識していなかった。でも、結局は弱みを補い合う過程で、共通理解が育まれ、結果としてアジャイルになっていたのだ。デザインを学びにきたベーシックコースの最後の過程で、自分が専門とするアジャイルを見出せたことは、感慨深かった。

チームビルディング成功の要因は?

私たちはお互い助け合うことでうまくグループワークを進めることができ、それによって結果もついてきた感覚があった。それは外から見てもそうだったようで、「チームビルディング成功の要因は?」という問いをいただいたので、何が要因なのかを考えた。

まず改めて、自分自身がチームビルディングが成功したと認識している理由を考えてみると、毎回の講評の際に、我々のアウトプットが、浅野先生から一定の評価をいただけていたことが大きい。評価をいただけない状況で「チームビルディングがうまくいった」と認識できたかというと、それはなさそうである。
この辺りは「組織の成功循環モデル」の組織をグループに読み替えると、まさにその理論通りであることがわかる。(組織の成功循環モデルは、関係の質の向上から始める。一方、結果の質を向上させること、つまり結果を追い求めることから始めてしまうと、関係性が悪くなってバッドサイクルに陥り、組織の失敗循環モードに入ってしまう。)

成功循環モデル(書籍「だから僕たちは、組織を変えていける」より引用)

組織の成功循環モデルだけを見ると、自分たちが成果を出せたのは、チームビルディングのおかげだったように思える。ただ、私個人の直感としては「自分たちが成果を出せたのはチームビルディングのおかげだ」と考えることに違和感があったので、もう少し考えてみた。そうしたところ、腹落ちする成功の要因が見つかった。

成功循環モデルは、組織の成功循環モデルなのだ。組織とは共通の目標を達成するために協力をする集団である。共通の目標を持っていることが、関係の質以上に重要なのである。このことを踏まえて自分たちをふりかえると、自分たちには明確な目標があった。そしてなぜ目標を自分たちが持てたのかを考えて、成功の要因がわかった。ユーザーインタビューだ。ユーザーインタビューをたくさんやって、ユーザニーズに関する共通理解を持てたことだ。これを解決することがグループの目標となり、この目標を達成するための会話の場を通して関係の質が高まり、結果が出たのだ。

我々がインタビューしたのは計11名で、限られた期間の中でそれなりにインタビューができたと考えている。また、ベーシックコースの他グループのメンバやチューターの方にインタビューに協力いただくことで、複数名のグループメンバがインタビューに同席できた。これも共通理解を築くという点では大きかった。(家族や友達へのインタビューの際に、グループメンバに同席してもらうのはかなりハードルが高いので。)
こういった取り組みのおかげで、グループメンバそれぞれが3名程度にインタビューをしていたので、各メンバの中でトライアンギュレーションが起こり、あるあるのユーザ像(≒ペルソナ)を描けた。

本来はエスノグラフィをすべきところ、講義の都合上それが実施できないから、ユーザインタビューを実施しているのだ。せめてそれなりの数にインタビューをした方がいいと思う。自分は5名の方にインタビューした。当時はやりすぎかな?と思ったけど、今になって、あそこでの頑張りが最終的な結果に大きく影響していたと感じる。(インタビュー対象を見つけられない場合、そもそもそのアイデアにはユーザがいないのでは?と疑ってかかる姿勢も重要だと感じる。)

ということで、チームビルディング成功の要因は、ユーザーインタビューを通してユーザニーズを明らかにし、それを解決するという共通認識をグループメンバ全員で持てたことだと考える。
逆にいうと、結果が出なかったとして、チームビルディングが真因ということはないと思う。グループが結束する目標を自分たちで見出すことができるか。ここがチームビルディングより先に来るはずなのだ。
自分たちも最初からうまく動けていたわけではない。自分たちが結束する確固たる目標があったからこそ、忙しい合間を縫って打ち合わせの場を設けて会話を重ね、関係の質を高めて、結果を出すというグッドサイクルを描くことができたのだ。チームビルディングは、結果が出た時にも出なかった時にも要因として挙げやすいけど、真因にはなり得ないと感じている。
理論としては知っていた成功循環モデルを、この1年で経験して腹落ちできたことは、人生の大きな財産だ。これから先、チームビルディングをいいわけにしたくなる機会が何度となくあるだろうが、真の問題から目を逸らさずに、進んでいきたい。

おわりに(この1年をふりかえって)

昨年度のXデザイン学校の発表を聞いたところから、デザイナーになるための学びの旅が始まった。
ベーシックコースを終えた今、この1年での学びの多さに驚く。これはベーシックコースから得た学びだけではなく、以下からの学びも含んでいる。

  • 読んだデザイン関連の書籍(コ・デザイン、誰のためのデザイン?、ビジネスマンのための行動観察入門、サービスデザイン思考、EXPERIENCE VISION、オブジェクト指向UIデザイン、The Elements of User Experience)からの学び

  • 同時期に参画したデザイン読書会コミュニティ「Design Book Club」からの学び

  • 春に参加したメッシュワークのセミナー「日常と出会いなおすためのレッスン①観る」からの学び

  • 夏に主催したティム・インゴルド「人類学とは何か」の読書会での学び

  • 秋に参加したXデザイン学校「ラピッドプロトタイピングブートキャンプ」での学び

  • 秋に参加したXデザイン学校校外研修旅行「京都 フィールドワークとKA法」での学び

上記の通りたくさんの学びの機会があったが、それらの体験が単発で終わらず、全て自分の中で繋がっている理由として、ベーシックコースという土壌があったことは大きかったように思う。本当に感謝しかない。

このままXデザイン学校のお客様でいたい気持ちはあるが、今年度これだけの学びをしたのだから、しばらくはこの学びを昇華する期間、そしてこの学びを実務に活かすために奔走する期間にしたいと考えている。

おわりのおわりに。リフレクションを毎回書くことができて良かった。リフレクションを書くことそれ自体学びが深まるが、先生からコメントをいただくというご褒美ももらえて、さらに学びが深まった。

このリフレクションを読んでくれているあなたにも感謝したい。最後までお付き合いいただき、どうもありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?