かくれんぼ

閉め切った部屋の中で
一人きりの宇宙を漂う
瞳は閉じたままで
イメージが加速していく

このままどこまででも行けそうだった
夢が滲んで弾けて消えた
待っていたのは一人の部屋

相手のいないかくれんぼを
ずっと繰り返している
声にならない声でずっと
誰かの名を呼んでいる

ひとりきりで過ぎる夜は
静かに透き通っている
ここにいるよと叫んだ声は
どこにも届かずに僕に刺さる

浮ついた夜を縫って
やってくる虚ろな光が
僕を連れ去ってくれないか
ここではない何処かへ

ここからどこに行けば満たされるの
地図はどこかで落としてしまった
どこへも行けず座り込んだ

欲しいものは見つからなくて
余計なものが増えていく
誰かに助けてほしくても
ここでは誰にも届かない

ひとりきりで過ごす夜は
静かに透き通っている
誰かの声が聞きたくなって
冷たい虚しさが僕に刺さる

相手のいないかくれんぼは
そろそろ終わりにしよう
閉め切った部屋を抜け出して
閉じた瞳も開いて

ひとりきりで過ごす夜が
静かに終わりを迎える
もう一度また朝が始まる
暖かな日差しが僕を包む

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