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”Sensing”について考える

今回はYouTube番組を契機とした記事

私はドキュメンタリー番組が好きで、古くはプロジェクトX、少し前であればプロフェッショナルや情熱大陸、最近ではNetfrix・Amazon Primeのオリジナル番組やYouTubeで、アスリートの話を聞くのが非常に色々な示唆に満ちていて好きである。

そして最近では、元プロアスリート同士の会話をYouTubeで見られる時代になっていて、そこで選手時代の晩年を語る姿に思うところがあり、記事を書いてみることにした

該当のYouTube番組

感銘を受けた点とは

一言で言うと感性(Sensing)の部分である。この番組の後半でサムネイルのような選手のことにも触れていれば、自らの引退の契機についても触れている。(最後の予告を見ると、育成における話がされるようで次回も楽しみだ)

「頭がいい」とはどう言うことだろうか。

まず前提としてレトロスペクティブな視点だから、当時はもしかしたら藤田さんご本人も別の視点があったかもしれない。だが、それはどうでも良いことである。私は、この番組での若手の台頭を通じてサッカー界自体が世界に出ていく時期であることを感じておられたこと、引退の契機隣る監督の言葉などは、実は人によってこの変化を感じられない人もいるだろうと強く感じた。本人に向けて直接向けられた言葉ではないかもしれない、ただ周りで起こっているいるだけのことかもしれない。自らの置かれている状況や役割に対する理解や、それを前提にして環境に対してしっかり入り込み、アンテナを張り巡らされ、プロフェッショナルとしての役割を果たそうとするプロアクティブな姿勢がなければこれは成立しないのではないだろうか。

よくあるシチュエーション

最近(2023/8末現在)、リモートワークを継続するか否かの議論がますます活発化している。

この是非について述べることはしないし、どちらのスタンスかを示すこともあまり意味がないと思うが、今回あげた”Sensing”においては、リモートワークの難しさを避けることは難しいと言わざるを得ないと思う。また、”Sensing”の能力を培うことも(自宅に居ながらにして、同じ空間にいるのと同じくらいに周囲の人たちの動きや話していること、そこからの洞察が得られるようになるまでは)難しいのではないかと思う。自らに与えられたタスクを片付けることも重要な仕事であるが、ダイナミックに状況が変化し続ける状況にある場合、そのタスク自体が実は全体の動きの中で大幅に優先順位が変わっていくと言うことはありうることだと思う。それはマネージャーが全て指示しなくてはならないのだろうか。担当者に与えた役割が、単なる作業なのか、その作業に伴う責任なども含めてなのかによっても変わるだろう。これは、当人の責任感の持ち方に依存するところもあるが、少なくともそうした仕事の仕方をする方が「任せたい」と言うのがリーダーやマネージャーの世の常ではないだろうか。また、一方で任せるのであれば、それに足る理解が可能な説明をしておくことや、権限委譲を適切に行うことがリーダーやマネージャーに求められる。人は限られた時間の中で何かをなさなければならないのは当然のことであり、誰かのせいにするでもなく自らの責務をスピーディに果たすためにはその空気に触れていないと、適切な判断を下すことは難しいという考え方にならざるを得ないと思っている。なお、リモートワークに賛否を示さない理由が、「全員が」「常に」そうでなければならないとは考えていないからであることを補足しておく。

あるいは、一度は海外に行ってみた方が良いといった類の話もこの”Sensing”と関係が深いのではないだろうか。今ではインターネットが普及したり、あるいはYouTubeなどでも風景を知ることや現地の人の話を伺うこともできるかもしれない。しかし、その空気・環境に触れて発生する自分の変化を味わうことは難しいかもしれない(できる人がいないとは言わないが)

「頭がいい」というのは、「感じた(Sense)」ことをその先のアクションに繋げることができることだと思う。アクションするためには、自らの暗黙の前提などを自ら更新することができることがその前のステップで必要だろう。ここでは様々なバイアスやもっと言えば思い込み、自他の評価のギャップなどにも悩むことになるだろうと思う。

環境を変える

結論から言うと、”Sensing”は新たな気づきについては新鮮だが、徐々にその環境に慣れていくたびにある種鈍感になってしまう部分も出てくると思う。もしくは、周囲の人にとって自分の価値や立ち位置が変わることによって、直接的に知らされる(つまりSensingではなくなる)ことも増えてくるかもしれない。

だからこそ、新鮮さを得られるための工夫が必要であり、最も典型的に思い浮かぶ方法が環境を変えることではないかと思う(ぜひ他の意見も聞いてみたい)。同じことが起こっても、別の環境で新たな「センス」を作っておくことで、相手や環境ではなく、自分側が変わっているから、何か新しい気づきを起こすことができるだろうと言う考えである。

冒頭に掲載したYouTube番組でも、J2チーム(熊本)に移籍した際の気づきについて語られていた。おそらく、自らが選手として集中しているうちは、またトッププレイヤーであるがゆえに常にそれを享受しているうちは、運営の「仕組み」にまで気が回らないと言うのは自然のことであろう。番組の中では出てこなかったが、お金の問題のことなども出てくる一方で、仕組みの質を高めていくことにおいて変えなければならないことについて提案をしていくといったことが行われたのではないかと思う。出てくる言葉だけを聞くと、ありきたりのことを言っているかもしれないが、(おそらく)Sensingの仕方によって実際に行われた際の提案の質が違ってくることだろう

藤田さんの言葉は”わかりやすい”

こうした番組において話が聞きやすい人とそうではない人が明確に分かれると思うが、藤田さんの話は非常に聞きやすく、わかりやすいなと思う。実際にYouTubeコメント欄には同様のコメントも見られていた。私はパーソナリティからこのように物静かに話すことは難しいタイプ(情熱的な本田圭佑氏のような勢いがある話し方に近い)なので、逆に憧れる部分もあった。できる範囲で取り入れてみたい。

最後に

何かがうまくいっているとき、上り調子の時には、こうしたSenseが鈍感になっているのではないかと不安になる自分がどこかにいる。こう言う時だからこそ、同質性と対極にある環境に自らを置く機会を作らなければならないと切に思う。

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