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ユーザーの声を聴く_#番外編_ユーザー調査に役立ちそうなテクニック集
PdMを学習し、ユーザーとの関係深化のノウハウを学ぶべくユーザー調査に関する本を読んでいきました。
繰り返しますが、ちょっと目的と違って残念でしたが、テクニックとして十分活用できそうな内容はいくつもありましたので、そこだけまとめておこうと思います。
文字数:約6,300
参考図書
21 リサーチガイドの作り方その2★ <難しい質問のタイミング>
・リサーチガイドは以下の3部構成
+ イントロダクション
+ メインパート
+ クロージング
①イントロで趣旨を説明し、ユーザーの不安を取り除く
・約束の時間でどんなことを実施するのかを伝える
・調査への参加は任意で、言いたくないことは言わなくても良いと予め伝えておくことが原則
②イントロで気軽に余計でない質問を並べる
・本人確認の意味も込めて冒頭で自己紹介をしてもらう
・リクルーティングのときに答えてもらったアンケートへの回答を確認する質問も混ぜておく
③メインパートはいくつかのセクションに分けて軽い順に並べる
・ユーザーが課題を解決したり、ニーズを満たしたりするために使う手段となり得るモノに焦点をあて、その利用文脈を調べるのが調査の骨子
・何が明らかになれば利用状況を把握したと言えるかと自問し、手当たり次第に書き出す
・この後に、話題の重さと流れを考えて質問順序を検討する
④セクションごとに問いを書き出し統合・調整する
・各セクションでユーザーへの「質問」や行動観察で注目する「行動」を個別に書き出す
・各セクションを独立したひとつの調査と考え、その目的を達成するための質問や着眼点を書き出す
・書き尽くしたあとに、分類してユーザーが語りやすい順に並べる
⑤時間があれば聞きたいことをクロージングに置く
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P134~P157
22 リサーチガイドの作り方その3★ <「何が欲しいか」は禁句>
・ユーザーが目の前のUIを通り越して、裏にあるコンセプトや他のサービスとの連携や少し先の未来まで見据えた画期的な施策を思いつくわけはない
・サービスの場合もほとんどが「どこかで聞いたことのあるサービス」「もっと安くして欲しい」が9割を占める
①日頃感じている不満から顕在化しているニーズを捉える
・何が欲しいかと聞くのではなく、どのようなニーズが顕在化しているかを把握することは役に立つ
例)いつもこれを使っていて、手間を感じたり、イライラする作業はなんですか?
・どうなって欲しいかを聞くのではなく、不満や憤りの感情の引き金になっていることを探る
例)どうなっていれば今より楽になりますか?
②ユーザーの頭の中を突拍子もないところまで引き上げる
・あなたが抱えている悩みや不満を解消するひみつ道具をドラえもんが出すとすれば、どんなモノが出てくると思いますか?
と聞くことで、ユーザーの想像を駆り立てる
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P158~P161
26 裏方準備その4★ <予行練習のやり方>
・効率よく効果的なパイロット(予行練習)を行うテクニック
①パイロット前にブリーフィングを行う
・どんな目的達成のために、どんな意図でどんな問いをぶつけていくつもりなのかを確認する
・行動観察の場合はユーザーのどんな行動に注目し、それが起こる環境や文脈のどんなところを確認するかを確認する
②パイロットと本番の間にゆとりを持つ
・パイロットで確認すべきこと
+一つひとつの問いは分かりやすいか
+問いの流れはユーザーの思考に寄り添っているか
+ユーザーに触ってもらうプロタイプら問題なく動くか
+時間の見積は妥当か
+調査の目的を達成できるか
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P178~P182
30 ラポール形成その1★ <ユーザーが緊張する>
・ユーザーの緊張がほぐれずラポール作りに手間取ることはよくある
・ユーザーの緊張を和らげる対策
①(プロトタイプが)壊れても大丈夫と伝える
・調査の中で何か触ったり使ってもらう場合には壊れても問題ないことを伝える
・予備を準備しておくと良い
②正解はないことを伝える
・ユーザーは評価されることに緊張することが多い
③何を言われても傷つかないと宣言する
・モデレーターはともかく、エンジニアは実際ユーザーの声に過敏に反応してしまう
・エンジニアは強力な確証バイアス(自分が思った結果になると思う)に負けてしまうこともあるので、なるべくエンジニアをモデレーターにしない
④笑わせる
・ユーザーの笑顔が見えたらラポール完了と思って良い
⑤後ろめたい気持ちの可能性を考える
・後ろめたい気持ちがありそうと感じたら、「アンケートに何か間違えて回答した箇所ありますか?」と聞いて、嘘のない正直な調査に近づける
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P197~P202
33 ラポール形成その4★ <ユーザー同士の調和>
・ユーザーと1対1であればユーザーとの間にラポールが形成されれば済むが、グループインタビューの場合は「ユーザー一人ひとり」と「グループ全体」のラポール形成と維持が必要
①他人に合わせたり違う意見を探したりする必要はないことを伝える
・グループインタビューの場合は、ユーザーは自分の発言が他の人と比較されたり、評価されると感じてしまう
・他の人の意見に合わせたり、逆に無理して違う意見を言おうとする必要もなく、多数決で勝敗を決めるものでもないことを伝える
・ただし人にはバンドワゴン効果(みんなが良いというものを無思考で良いと思うこと)があることは理解しておく
②冒頭でユーザー各自の発言スタイルを探る
・グループインタビューの目指す姿は井戸端会議であり、似た価値観を持つ参加者が好き勝手に意見を言い合い、共有することが目的
・冒頭の10〜15分で参加者のパターンを把握し、最初に発言を促すのに適した人をピックアップする
③遅刻者がいても約束の時間に終える
・もっとも意識すべきはグループ全体のラポール
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P211~P216
34 インタビューその1★ <インタビューの軌道修正>
・話し出したら止まらず気づけば脱線する人が中にはいる
・それた話題をそのままにすると調査の目的を達成できない可能性がある
・ユーザーの話に割って入る秘策
①話が変わる宣言出す
・強引にでも話題を切り替えたいときは勇気を出して強引に行くべきであるが、かならず話を変えるという前置きをする
②調査のテーマを思い出させる
③質問を繰り返す
・話が脱線するパターンは
1、質問の意味を理解しないまま話が進み収拾がつかなくなる
2、気持ち良く話しているうちにとっ散らかり何の話か分からなくなる
・いずれの場合も「質問はなんだったか」をなかなか聞けない心情があるので、自分も質問を忘れたフリをして「なんと質問しましたかね?」と伝え、質問を思い出させる
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P217~P221
35 インタビューその2★ <誘導しない>
・こちらに都合の良い発言をさせることを「誘導する」と言う
・誘導された発言はデータとして使い物にならない
・確証バイアスにとらわれた場合に限らず質問をするときの言葉選びを間違えると誘導尋問は発生してしまう
・誘導させない対策
①作った本人にモデレーターをさせない
・作った本人が最も確証バイアスが強い
②限られた範囲に絞った聞き方は避ける
・見てほしくない部分はなるべく見せず、見てほしい部分に注意を絞ると誘導は簡単にできてしまう
③「こう答えてほしい」があるときは特に用心
・限られた時間内で調査するため、焦点を絞ることは避けることができない
・ユーザーの発言をコントロールして、そのデータを都合よく使おうとする意図が裏にあるかが誘導かどうかの判断基準になることを常に意識する
・落とし所が心の中にある場合は、その相反するものも含めて両方にオープンに意見を問う
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P222~P227
36 インタビューその3★ <理由は自分で考えろ>
・表面的な質疑応答でなく、事実をありのままかつ網羅的に捉えることやユーザーの深層心理に切り込んでいくことを「深掘り」と言う
・深掘りのテクニック
①即答を迫らない
・理由を深掘りすると「分からない」に行き着くことが多いが、一緒に理由を考える歩み寄りが重要
②理由を一つに絞らない
・理由が一つ出てきても、ほかに理由に心当たりがないか複数聞くようにする
・違う文脈や環境を想像してみるのも良い
③理由でなく「きっかけ」を聞く
・「なぜそう思うのですか?」ではなく「そう思うようになったきっかけを教えてください」「そう行動するきっかけはありましたか?」と聞くように心がける
・きっかけを聞くことで、感情的な判断でなく、環境や文脈、その時の感情をひっくるめたシーンを思い出す
・またきっかけをつかんでも、ほかにきっかけがなりうることはないか深掘りすることも必要
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P228~P232
37 インタビューその4★ <どこまで掘るのか>
・深掘りのゴールはありそうでない
・深掘りのアプローチと判断基準
①回答を得たと思ったところから、必ずもう一歩踏み込む
②一直線でなく全方位的に掘る
・状況をもれなく理解するには、以下の3つを徹底的に全方位的に探る
1、ユーザーが取る行動
2、そのときの環境や文脈
3、ユーザーの心の内
③ユーザーに共感し、ユーザーの頭で考える
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P233~P239
38 インタビューその5★ <ユーザーによる正解探し>
・ユーザーが勘ぐってこちらの望む答えを詮索しようとする備える対策
①インタビューガイドは見せない
②同意を求められてもうなずかない
③ゆっくり考える時間を与える
・質問に質問で返してくユーザーもいる
・オープンクエスチョンは自由回答式の問い、クローズドクエスチョンは選択式の問い
・選択式はアンケートでも済んでしまうのでたくさんのオープンクエスチョンを投げかけてユーザーに自分の言葉で語ってもらうことが重要
・ユーザーが質問返ししてくるのは、単に回答が見つからずに困っているからであり、ゆっくり考えてもらう
④かんたんに例を出さない
⑤こちらの話は後出しにする
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P240~P247
42 行動観察その1★ <視点の切り分けと動線記録の残し方>
・ユーザー調査の目標は「コンテクストオブユース(利用文脈)」を把握すること
・行動として現れた事実を観察により把握することで、嘘やごまかしのないより真実に近いデータを手にできる
・せっかく行動観察まで行けたなら、次に示す3つの観察視点で眺められるように、3人以上の調査チームを組むのが理想
①ユーザーが見ているものを同じように見る
・ユーザーになりきって主観的に目の前の状況を見ようとすること
・どんな刺激情報を知覚し、どのような思考をし、どんな判断をして、どんな行動を起こすのかを本人になりきって追体験する
・ユーザーに張り付いて観察することから「シャドーイング」と言われる
②ユーザーが置かれる環境を客観的に外から眺める
・①の主観的な観察を補足する
・ユーザーが身を置く空間やそこに存在するオブジェクト、他者とのやり取りをひたすら観察して記録する
・ハエのように壁に張り付いて観察することから「フライオンザフォール」と呼ばれる
・ビデオカメラを全体を捉える事ができる場所に固定して、現場を広く観察し気付いたことをノートに記録する
③ユーザーと接する第三者の目でユーザーを見る
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P262~P266
43 行動観察その2★ <行動の説明をさせない>
・ラポール形成が思うように進まず焦りから観察する行動の概要を質問してしまうことがある
・ここで質問してしまうと、ユーザーは質問に答えたように行動し、調査は失敗に終わる
・上述した事態を発生させない対策
①ユーザーに行動を宣言させない
・ユーザーに「〇〇するときはいつもどのようにしていますか?」と聞くと答えた通りの行動をしてしまうので、絶対に聞かない
②行動にも正解はないことを伝える
・調査されるユーザーは正しい行動は何かをついつい考えてしまう
・つい行動について質問してしまっあ場合でも、行動の選択肢が一つではないことをほのめかし、宣言(質問への回答)通りに行動する必要はないことを伝えてあげる
③言動が一致しない場合は行動を信じる
・行動観察の後に結果に対する気持ちを聞いても真意が出てこない可能性がある
・行動とインタビューの発言が一致しない場合行動を信じる
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P262~P266
45 データの整理その1★ <生データの重要性>
・ユーザー調査の達成感はひとしおではあるが、調査で得られたデータを整理・分析して、そこに解釈を加えて次に続くアクションまで決めて、次の責任者に渡すまでが調査
・人間の記憶力の問題もあるので、調査完了後にすぐに分析に進むのが良い
・ただし、分析したデータだけでなく生データを必ず参照できるようにしておくのが重要
①音声データの文字起こし
②録画データやメモから行動を書き出す
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P276~P283
49 解釈★ <バンドワゴン効果>
・分析が完了したら、解釈をするためにアイディエーションやワークショップを設ける
・みんなが良いと言うものを無意識で良いと感じてしまうことをバンドワゴン効果と呼び、これを避けるための対策として
①次のアクションを担う人たちを必ず巻き込む
・調査の結果から実際に手を動かすデザイナーやエンジニア
・投資判断する経営陣
・最終的な成果物を受け取るマーケティングや営業担当
②調査の関与が高すぎない人をファシリテーターにする
③全員が等しく意見が言える時間を作ってから議論に進む
④出てきたアイデアのネガティブチェックを各自で行い、持ち寄る
ユーザー調査に潜む50の落とし穴とその対策
ISBN978-4-297-11995-9 C0034
P316~P320
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