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「巨神と誓女」を忘れない

※注意※

今回のエントリは、マーダーミステリーとは全く関係の無い、とあるソシャゲについて語ったエントリとなります。ただ、エントリに込めた熱量はいつも以上に強いので、よければご覧ください。


「巨神と誓女」が2021年6月30日をもってサービス終了を迎える。

おそらく、このゲームの名前を聞いたことのある人はそんなに居ないだろう。DMMで提供されているブラウザ型のソシャゲで、まぁ、言ってしまえばよくあるソシャゲの一つであり、そこまでユーザー数が多い訳でもなく、某FGOや某ウマ娘のように、ゲーム史に名を残す超大作という訳でもない。

http://pc-play.games.dmm.com/play/kyoshintoseijyo/

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強いてこのゲームの特長を挙げるとすれば、雰囲気の良さだ。

まずはこのPVを見て欲しいのだが、世界観、BGM、雰囲気、キャラクターいずれにも拘りが見えて、「おおっ」と思わされるのではないだろうか。

女の子は可愛いし、敵キャラである「巨神」のデザインも秀逸で、この手の雰囲気が好きなプレイヤーは意外に多いのではないかと思う。

折角なので、この巨神と誓女の世界を垣間見れる画像を以下に紹介する。

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(見た目では一番好きなキャラ、アスタル。)

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(いわゆる「箱庭」機能。ものすごく見た目に凝っている)

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(「騎士の巨神」。圧倒的な見た目と胸に突き刺さった件が目を引く。ものすごく強そうだが巨神と誓女では最初のボスであり、最弱

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(各巨神にはそれぞれシナリオが用意されており、クオリティの高い物語を読むことができる。実質的に巨神と誓女のメインコンテンツといえる)

筆者は、この「巨神と誓女」というゲームの雰囲気に惹かれ、事前登録から、サービス終了が決まった今に至るまで、ガチ勢としてプレイしてきた。ランキングイベントで上位にランクインもしたし、イベントは全て完走、ひととおりのボスは倒し、キャラの育成も相当やり込んだ。

一つだけ懺悔をするとすれば、筆者は最初から最後まで無課金でプレイしている。無課金でも十分に楽しませてもらった良心的なゲームであるのだが、同時に、無課金なのにサービス終了を嘆く資格は無いと言われれば返す言葉も無い。

なので、せめてもの贖罪として、「巨神と誓女」というゲームがどのようなゲームだったのか、このまま忘れ去られるのは忍びないと考え、自分の知る限りの知識をここに残したいと思う。

今回は、この「巨神と誓女」のバトルシステムと、どのようなパーティーが主流になっていたのか、時系列順に以下に示していく。

尚、当エントリは非常に長いが、全部読むのがダルいという読者にでも「■PHASE5:「巨神と誓女」の到達点「チェイン」パ―ティー」だけでも是非読んで頂きたい。

■PHASE1:とにかく星5

巨神と誓女というゲームは、ソシャゲの例に漏れずレアリティが存在する。

星3(いわゆるノーマル)
星4(いわゆるレア)
星5(いわゆるSSR、最上位)

まぁ、この辺りは一度でもソシャゲを遊んだことのある方なら感覚で分かるだろう。

そして、ソシャゲの例に漏れず、絶対的なレアリティ格差が存在する。

具体的には、星5のキャラクターは、ステータスも、スキルも、そして成長率も星3の完全上位互換であり、いわゆる「編成コスト」の概念も存在しないため一切のデメリットが存在しない。

また、レアリティは低いが一芸に秀でているといった性能も基本的に存在せず(所謂FGOにおけるアーラシュ)このゲームにおいて星5以外を利用する意味は全く無いと言って良い。

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例として星3キャラと星5キャラの初期状態を挙げたが、初期ステータスも、取得スキル数も、スキルツリー(木の枝の高さ)も星5の方が優遇されているのが分かるだろう。

よって、このゲームは「星5キャラでパーティーメンバーを編成する」ことがスタート地点だと言っても良いだろう。

最高レアリティでパーティーを埋めるというのは、一見難易度が高そうに見えるが、事前登録による任意の星5キャラ配布や、配布の石もかなり大判振るまいで、無料ガチャからも最高レアリティが出るため、実際の所、そこまでハードルは高くない、良心的なゲームである。

■こぼれ話:パーティー編成

若干話は逸れるが、巨神と誓女というゲームは、非常に雰囲気が良く、世界観に対する拘りが随所に見られる。

それの最たる例が「パーティー編成画面」であり、このパーティー編成画面は、少女達の「お茶会」を模した、非常に見ていて楽しいパーティー編成画面となっている。(おそらく、システムとしての「パーティー」と、お茶会としての「パーティー」を掛けているのだろう)

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既に見た目からして美麗であるが、それに加え、アニメーションや細かい挙動などにも凝っている。

例えば、キャラクターの親密度によって出されるものが違い、親密度が最高のキャラクターには豪華なケーキと高級ティーカップが用意されているが、親密度が普通のキャラは普通のケーキとカップ親密度が最低のキャラには割れたコップのみ(さすがに可哀想)といった具合だ。

こうした細部に渡る拘りは「巨神と誓女」の大きな魅力だ。

■PHASE2:肉を食え

話題が逸れてしまったので、戦術論に戻そう。

パーティーを星5で固めることでしばらくは余裕で進めることが出来るが、当然どこかで勝てなくなってくるため、少しばかりの工夫が必要になる。

そこで当時流行っていたのが、肉パだ。

肉とは何かというと、正式名称は「meats meet girls」。パーティー全体で使える必殺技の一種で、実は先程のパーティー編成画面の真ん中のオブジェクトが、その必殺技を表している。

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これが肉パ。テーブルの真ん中に肉が置かれているのが分かるだろう。

この「肉」の効果は、端的に言うと「高威力攻撃+パーティーのHPを全員全回復」だ。いわゆるドラクエでいうベホマズン

必殺技は一定時間の経過によって発動可能で、「肉」が発動すれば問答無用で全回復するため、死亡さえしていなければ、どのような状況からも立て直しが可能であり、実質的に「全員が生きている状態で肉が発動する」=勝利と言っても過言ではなかった。

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実際に「肉」が発動した時のエフェクト。「肉」としかいいようがない暴力的なビジュアル

なお、他の必殺技も「パーティー全員の攻撃力UP」「パーティー全員の防御力UP」「敵を毒状態にする」などの付加価値を持つが、いずれも「体力全回復」の恩恵と比較すると効果は薄く、この「肉」が、巨神と誓女の初期における環境を定義していた。

■PHASE3:パワブレ・マジブレ

先程の肉パの章で「全員が生きている状態で肉が発動すれば」と述べたが、次なる段階は、次の段階は「肉」を打つまで耐えられない敵にどうするか? ということである。

一定の難易度を超えてくると、敵も尋常ではない攻撃力になってくるため、そもそも「肉」があったところで耐えきれない敵が出てくる。(「肉」は死亡キャラに対する復活効果は無いため、その時までにキャラが死亡していたらリカバリ不可能)

そこで次に注目を浴びるのが「パワーブレイク」「マジックブレイク」の二種類のスキルである。これは「相手の(物理/魔術)攻撃力を下げる」といういわゆるデバフスキルであるが、相手の攻撃力を半分以下に落としてくれる…というか、これが無けれればほぼ即死という話しになってくるため、一定以上の難易度においてはこのスキルの存在がほぼ必須となる。

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パワーブレイクとマジックブレイクを両方持つ優秀なキャラクター、アイノ。禍々しい見た目や、彼女の背景設定にも深い事情があるのだが、ここでは断腸の思いで割愛。

これは先述の「肉」とも併用可能な先述であり、攻撃力が下がることで想定敵に「肉」の価値も取り戻すため、「肉+デバフ」という構成は、どのような相手にも戦える、かなり安定した構成だった。

■PHASE4:「人権キャラ」カラミティ

先述の「肉」および「パワブレ・マジブレ」は守りに重点を置いた構成となるが、一方で、「攻めに特化」したパーティーも発生した。

それがこの「カラミティ」というキャラクターの存在だ。

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この「カラミティ」は、このキャラクターしか持っていないユニークスキル「プロジェクト7」というものを持っており、これは「7%の確率で7777の固定ダメージを与える」という、ロマンにあふれた技だった。

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なお、参考までに、通常のダメージはせいぜい数百ダメージであるため、プロジェクト7発動=概ねの巨神に対する即死級のダメージだと思ってもらって良い。

つまり、低確率ではあるが、プロジェクト7を発動すれば勝利が確定する。

だが、固定ダメージ故に弱点もある。

そう、仮に敵のHPが7777を遥かに超えるHPだったらどうするのか? 


この問題については、意外なことに、彼女の中で自己完結していた。


この「プロジェクト7」のダメージは、固定ダメージを謳ってはいるものの、同じくカラミティが持つ「肉斬骨断」というスキルによって、ダメージが倍数で上がっていくという特性も持ち合わせる。(固定ダメージとは一体…

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つまり「プロジェクト7」と「肉斬骨断III」が同時発動することによって、7777×4=31108ダメージを与えることが可能になり、全ての巨神に対して問答無用で確殺することが可能となる。

ちなみに、カラミティは「肉斬骨断I(2倍)」「肉斬骨断II(3倍)」「肉斬骨断III(4倍)」「クリティカル(2倍)」というスキルを併せ持つため、おおよそ何かのスキルと複合することになるため、実質的に7777ダメージというよりは、即死技として考えたほうが近いだろう。

これはいわゆる「ロマン砲」に分類される方法ではあり、決まる確率が

・カラミティに選ばれる(16.6%)
・プロジェクト7が発動する(7%)
・肉斬骨断が発動する(60%~)
→これらがあわせて発動する確率は「約0.7%」

と、1%未満であり、一見現実的でないように見える。

だが、この「巨神と誓女」というゲームシステムとカラミティは非常にマッチしており

・スタミナ等が無いため、無限回の試行が可能
・能力差を無視して最上位のボスも問答無用で倒すことが可能
・カラミティ自体の性能がプロジェクト7を除いても高性能

ということもあり、「無限にリトライしてワンチャン初手即死狙い」「カラミティをメンバーに入れて自動周回していればいつかは勝てる」といった形で、カラミティはアタッカーとしては唯一無二の「人権」として扱われることとなる。

というか、当時はかなり理不尽な難易度のボスが多く、カラミティのプロ7に頼らないと撃破が不可能なボスというのが数多く存在した。筆者が無課金であるにも関わらず巨神と誓女をプレイし続けられたのも、幸運にもこの「カラミティ」を入手できていたことが大きい。

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「カラミティに頼らざるを得ない」ボスとして筆頭だった、Lv32偶像の巨神。攻撃のほぼ全てが高威力全体攻撃であり、2~3回攻撃されるだけでパーティーが壊滅状態に陥り、当時はマトモに戦うことがほぼ不可能だった。

■PHASE5:「巨神と誓女」の到達点「チェイン」パ―ティー

「巨神と誓女」の到達点。それがチェインパだ。

このパーティーを説明する前に、まずは巨神と誓女の戦闘システムについて軽い説明が必要だろう。

巨神と誓女は、敵も味方も基本的には放置しているだけで勝手に戦闘が進んでいく(既存のソシャゲに例えるのであれば、プリコネの戦闘に近い)が、時折、このような形で「スキル」が発生するタイミングがある

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この時、60%の確率で「ベルセルクIII(攻撃力強化スキル)」や、20%の確率で「クリティカル(ダメージ2倍)が発動するのだが、個々のスキルの内容や発動確率はさして重要ではない

重要なのはその後で、スキル発動後に50%の確率で「チェイン」が発生し、他のキャラクターのスキルの連続発動が可能となる。

そして、「チェイン」は連続チェインも可能であり、「スキル発動→チェイン判定→スキル→チェイン判定→スキル→チェイン判定…」と、50%の確率で発生するチェインが発生し続ければ、一方的に相手を撲殺することが可能になるのだ。(チェイン中は敵は一切行動することができない)

ちなみに、50%の確率で10チェイン続く確率はおおよそ「1/1024」理論上は可能ではあるが、現実的ではなく、実際に戦略として期待できるのは「1~3チェイン」程度である。


さて

チェインの構造は理解していただけただろうか。


それを踏まえた上で、チェインパの説明に入る。

キャラクターはそれぞれスキルを持っているが、そのスキルの中で「チェイン連携率増加」というスキルが存在する。

このスキルの能力は「チェイン連携率を恒常的に10%アップさせる」というものである。

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初期配布キャラにしてチェイン連携率増加を保持していたため、サービス開始から終了までほぼパーティーから外れることがなかった、巨神と誓女を代表するキャラ、アリア。

この「チェイン連携率増加」を装備することで、チェイン連携率が「50%→60%」に増加する。これにより、チェインの発動、および上振れが狙いやすくなるという優秀なスキルだ。

…さて。

それでは、この「チェイン連携率増加」を、複数編成したらどうなるのだろうか? 


答えは「10%ずつ加算される」だ


重要なので繰り返させて頂く。


「10%」「加算」される。


すなわち、チェイン連携率が


50%から60%に


60%から70%に


70%から80%に


80%から90%に


そして、チェイン連携率増加を持つキャラを5人編成すると


90%から100%になる。


重要なので繰り返させて頂く。


チェイン連携率が100%になる。


つまり、チェインから次のチェインが必ず発生する形になる。


ここで、先程の説明をもう一度引用しよう。

50%の確率で発生するチェインが発生し続ければ、一方的に相手を撲殺することが可能になるのだ。(チェイン中は敵は一切行動することができない)

つまりどういうことが起こるのか?

チェインが一度でも発生すれば、100%の確率で連携するチェインが、相手に一切の行動を許さず、死ぬまで相手を殴り続けるのだ。


簡単に言えば、「ずっと俺のターン!!!!」ということだ。

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上記の画像が実際にチェインパでチェインを決めている時の映像だが、画面中央にデカデカと「16 Chain」と書かれているのが分かると思う。この後17,18Chainと繋がったあたりで、相手は死んでいる。

そりゃ、自分が何もできないまま相手ばかり一方的に行動し続ければどんな強力なボスだって死ぬしかない。

このチェイン中はただ殴るだけではなく、回復しながらバフをかけながらデバフをかけながら超威力攻撃を放ちながら…と、ありとあらゆる行動を一気に行っているのだから始末に負えない。

なお、相手をしているのは「天之御中主の巨神」の超高難易度「悪」の最大レベル。

「巨神と誓女」のサービス終了が終わった後に現れた裏ボスの最大難易度であるため、このゲームに於いても屈指の超絶難易度…なのだが、筆者はそんなこと関係無く、難なく初見でチェインパで殺した

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何て読むのか未だによくわからないが強そうな名前と姿。チェインパ以外で真面目に戦うと理不尽に強く、まず勝てない。

当然、こうなるとキャラの採用の可否は「チェイン連携率増加」を持っているかどうかだけになる。

ガチャで新キャラが追加されても、チェイン連携率を持たないキャラは戦力的に引く必要はない

また、ひとたびチェインパが完成してしまえば、これ以上戦力を増強する必要もないため、チェインパの登場によって、他の一切の戦略が否定されることとなった。

これによってゲーム性が崩壊し、キャラクターガチャの訴求力が落ちてしまったことは、巨神と誓女のサービス終了の要因の一つであろうことは想像に難くないと考えられる。

・なぜ、チェイン連携率を単純加算にしてしまったのか?

・なぜ、恒常型のスキルにしてしまったのか?

・なぜ、無限チェインが発生した段階でナーフをかけなかったのか?

・なぜ、チェイン数に上限を設けなかったのか?
 (※20chainという制限はあるが、その頃には死んでいるため実質上限無しに等しい)

ツッコミ所は色々とあるが、事実、成立してしまうものは仕方ない。

ソシャゲにおいて「誰でも無敵のパーティーを組めてしまう、しかもそれがナーフされずに環境を支配し続ける、追加コンテンツも全てそれでクリア可能」というのはなかなか見られるものではなく、非常に珍しい現象なのではないだろうか。

(ちなみに、運営側もチェインパの存在は認知していたと見られ、最初の頃は「チェイン連携率増加」は一部のごく限られたキャラにしか持たせなかったが、そのうち、ガチャのキャラに露骨にチェイン連携率増加を持たせたりしていた。)

この「チェインパ」という存在を記録に残したかったがために、この記事を書いた訳だが、こうして冷静に振り返ってみると、やはり、何かがおかしいということが改めて分かった。

■おわりに

以上で、「巨神と誓女」の戦闘システムにおける説明を終える。

一点補足しておきたいのは、筆者は「チェインパを作れるなんてゲーム性が崩壊してるwww」と揶揄する意図はない。

「巨神と誓女の戦闘システムはクソ」という言説も時折聞こえてはくるが、手探りでパーティー構成を考え、カラミティのプロ7が発動した時の気持ちよさチェインパが完成した時の圧倒的暴力の脳汁が吹き出る快感は、間違いなく「ゲーム」として楽しかった。

サービス終了してしまうのは非常に惜しいが、サービス終了が決まってからもプレイヤーを楽しませる工夫に余念がなく、個人的にとても好きなゲームだった。

是非ともこの「巨神と誓女」にはリダイブして欲しい、もしくは設定資料集などを売って欲しいと、この場を借りてアピールさせていただく。

■おまけ

最後に、折角なので記念に筆者のチェインパを以下に残す。

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レディX(部位破壊)
ファラオ(連携率+連携率)
ヘルミーラ(連携率+発生率)
チョコ(連携率+矛盾定理+肉斬骨断)
ロビン(連携率+発生率+凜花+パワブレマジブレ+いきなリング)
ナンバーナイン(連携率+発生率+矛盾定理+肉断骨断+パワブレマジプレ)

うん、こうして役割を書いてみると、ロビンとナンバーナインはやはり性能が頭おかしい。

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でもナンバーナイン(「巨神と誓女」の名実ともに最強キャラ)見た目が良すぎるので許す。好き。

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