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ホメオスくんと僕(前編)

ホメオスタシス(以下ホ)「やぁ」

僕「え、誰?」

ホ「ボクはホメオスタシスだよ」

僕「ホメオ…なんだって?」

ホ「ホメオスタシス。ちなみに苗字がホで名前がメオスタシスだよ」

僕「いや、バランスわるっ」

ホ「じゃあホメオス・D・ターシスにするよ」

僕「いや、そんなワンピースっぽくされても」

ホ「じゃあ竈門炭メオス郎で」

僕「語呂が悪い」

ホ「君は文句ばかりだね。
じゃあ間(あいだ)をとってホメオス君と呼んでくれたまえ」

僕「文句じゃなくてツッコミなんだけど、君がボケるから。
全然間(あいだ)とってないし」

ホ「それで…」

僕「ん?」

ホ「何の用だい?」

僕「いや、君がいきなり現れたんだろ」

ホ「ジョーダンだよジョーダン。君はジョーダンも通じないのかい?」

僕「もう散々通じてると思うんだけど」

ホ「そうそう、ちょうどホメオス君もとい
  Dの意志を継ぐホメオス・D・ターシス君に
  聞きたいことがあってさー。
  君は空白の100年に何が起こったか知ってるの?
  …って君がいきなり現れたんだろがいっ!」

ホ「くらいのノリツッコミを期待してたのに」

僕「・・・」

ホ「君のツッコミのセンスのなさはさておき、
  ボクは君に呼び出されて出てきたんだよ」

僕「僕は君のボケのセンスに物申したいよ。
  呼び出した覚えもないし
  そもそも君は何者なんだよ」

ホ「ボクはあれだよ。ホメオスタシスだよ」

僕「それはもうわかったって」

ホ「君は暑いとき汗をかくかい?」

僕「いきなり何?そりゃ、かくけど」

ホ「寒いとき体が震えるかい?」

僕「そりゃ、震えるけど」

ホ「それ、ボクのおかげ」

僕「は?」

ホ「ボクのおかげ」

僕「え?」

ホ「ボクの…

僕「もうわかったよ!君のおかげね。
  でも意味がよくわからない」

ホ「君はホントに理解力が乏しいね」

僕「君はホントに失礼だね」

ホ「ここで問題です。人は暑いときなんで汗をかくでしょう?」

僕「…体温の上昇を防止するため?」

ホ「正解。上昇を防止するなんて賢ぶった言い方して」

僕「賢ぶって悪かったね」

ホ「寒いとき震えるのは体温が下がりすぎないようにするため」

僕「うん」

ホ「君の真似していうと、体温の下降を防止するため」

僕「そういうのいいから」

ホ「そういう外部の環境の変化に関わらず
  身体を一定の状態に保とうとするのがボクの働き」

ホ「ちなみに傷が勝手に癒えるのも、風邪が勝手に治るのもボクのおかげ」

僕「へ〜」

ホ「ほら」

僕「何?」

ホ「わかるでしょ、ほら」

僕「何?」

ホ「あるでしょ。重要な任務を担ってるボクに
  日頃の感謝を込めてプレゼント的な、ほら」

僕「ないけど」

ホ「…君、モテないでしょ」

僕「カンケーないだろ」

ホ「とにかくボクが
  君の脳、とくに視床下部ってところに
  一定の状態を保ちなさいっていう指令をインプットしているんだ」

ホ「だから、
  その指令を守るため、君の身体のなかで
  細胞や自律神経が24時間休まず働いて
  正常な状態を保つように調整してるんだよ」

僕「ふ〜ん」

ホ「ふ〜んって。
  君、全然ありがたみを感じてないね」

僕「いまいちピンとこない」

ホ「まあいいよ。君にそこまで期待してないから」

ホ「で、今のが身体に影響するボクの働き」

僕「身体に影響する?」

ホ「うん。ボクは生物の身体にとって
  めっちゃ重要な働きをしてるわけなんだけど」

ホ「脳に出した指令は心や意識にも影響を与えるんだ」

ホ「これがかなり厄介者」

僕「厄介者?
  ということは君はその方面が色濃く出てるんだね」

ホ「君もたいがい失礼だよ」

ホ「で、ボクは君に呼ばれたって言ったけど
  君は最近やたらと自分を変えたいって言ってるよね。
  好きな子にフラれてから」

僕「なぜそれをっ」

ホ「それ系の自己啓発本を読み漁っては変わった気になって
  でもちょっと経つと何も変わってないことに気づいたりして」

僕「うっ」

ホ「昨日なんて泣いてたじゃん」

僕「うるせ」

ホ「君のその”変わりたい”っていう意識がボクを呼んだの」

僕「え、
  ってことはホメオス君が僕を変えてくれるの?」

ホ「君はまたそうやって誰かに変えてもらおうとする」

ホ「本が僕を変えてくれる。
  セミナーが僕を変えてくれる。
  あの成功者が僕を変えてくれる。」

ホ「そうやって
  何かが自分を変えてくれるって期待して、
  本を読んでセミナーに行って成功者に会って
  君は変わったかい?」

僕「・・・」

ホ「君も本当は気がついてる。
  このままじゃ変われないって」

ホ「だからボクが呼ばれたの」

ホ「呼ばれたっていうより
  君の意識によって創られたっていう方が正しいかな」

僕「僕の意識…」

ホ「君が変わりたいのに変われないのは
  ボクのせい」

ホ「君が変わるのをジャマしてるの」

僕「何で?」

ホ「そりゃボクがホメオスタシスだから。
  それ以上でもそれ以下でもない」

ホ「だからボクが君を変えてあげるんじゃなくて、
  君自身が君を変えるの。ボクのジャマを突破して」

僕「でも、今まで何度も変わろうと思って
  変われなかったんだ」

僕「正直言って自信ないよ…」

ホ「大丈夫。この世に変われない人なんていないから。
     変わり方を知らないだけ」

ホ「直接君を変えることはできないけど、
  ボクのジャマを突破する
  ヒントを教えてあげることはできるから」

ホ「君自身がそのヒントをもとに行動して
  自分を変えるんだ」

ホ「それがどんなことでも必ず実行して
  自分を変えてやる!って覚悟がないと聞いても意味がない」

ホ「その覚悟があるかい?」

僕「・・・」

『中編〜不安や恐れは成長のしるし〜』へ続く

ホメオスくんと僕①


  

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