見出し画像

ケビン・ゴーズマン トロントの地へ


どうも、ヤスです。うれしいニュースが飛び込んできました。サンフランシスコ・ジャイアンツからFAになっていた大物スターター、ケビン・ゴーズマンがブルージェイズと契約したとのこと。


契約は5年総額で1億1000万ドルとのこと。



1年越しのゴーズマン獲得


以前のnoteで20年オフにもブルージェイズはゴーズマンにオファーを出していたことは触れていましたが、ジャイアンツからのクオリファイング・オファーを受け入れ残留しました。



1890万ドルという金額を魅力に感じたこと、コーチや監督といったスタッフへの信頼感、コロナによる不安定さなどが残留する決め手だったと語っています。今回1年越しにブルージェイズへ来てくれたのはまさに満を辞して、という感じでしょうか。


眠っていた才能がついに開花した2021年


2021年成績 33試合 192イニング ERA2.81 14勝6敗
227奪三振 与四球50



2012年にオリオールズから全体4位指名を受けた才能の持ち主にも関わらず、ゴーズマンのキャリアはこれまで満足いくものではありませんでした。2016〜18年にはそれぞれ179、186、183のイニングを投げましたがERAは3.61、4.68、3.92と、エリート級とは言えない数字に。19年は102イニングでERA5.72と悲惨な数字に。



しかし短縮シーズンだった20年、59イニングながらERA3.62と復活の兆しを見せ、今年2021年には才能がフルに開花、大輪の花を咲かせました。目を引くのはやはり192イニングで227個三振を奪っているという点です。それでいてBB/9(9イニング換算で四球を何個与えるか)では2.34と優秀な制球力を見せ、大崩れしません。



ピッチングは基本的にフォーシーム、魔球スプリッターの2ピッチで、この2つだけで投球の88%を占めています。特にスプリッターは破壊力抜群で、2021年は45.9%の空振り率を記録。スプリッターだけでなんと138個も三振を奪いました。ひとつの球種でゴーズマンのスプリッター以上に三振を奪ったピッチャーはいなかったとのこと。まさに必殺の威力ですね。


画像1

画像2

画像3



これは上から19、20、21年のゴーズマンのピッチングヒートマップです。19年と20、21年を比べるとわかりやすいでしょうか。19年はファストボールが真ん中に集まり気味なのがわかりますが、20、21年は真ん中から高めにファストボールを投げ込めていることがわかります。スプリッターは鋭く落ちる球種のため、高めにファストボールを投げ込めていれば高低差でお互いがより威力を発揮すると思われます。これがブレイクの要因と言えるのではないでしょうか。


懸念点もあり、ゴーズマンがエリート級の成績を残したのはまだ今年だけと言える状態で、彼の真価が問われるのは来年以降ということになります。ベリオス、リュ、マノアと強力な4本柱を形成する中で、彼がエースとしての役割を果たしてくれることを期待したいものです。


契約がブルージェイズにもたらす意義


去年のジョージ・スプリンガーに次ぎ、大物FA選手がブルージェイズを選んでくれた意義はとても大きいのです。


というのも、スプリンガーの6年1億5000万ドルが球団史上最高額の契約だったことからわかるように、トロントという地にはとにかく大物選手が来てくれませんでした。この契約の次点は14年オフにあったラッセル・マーティンとの5年総額8200万ドルと書けば、それが顕著であることが伝わるでしょうか。


大物選手のトレード拒否リストにブルージェイズが入れられることも珍しくありません。日本に住む私たちには想像がしづらいですが、国を跨ぐという苦労は想像以上のものがあるのでしょう。広大な土地のアメリカにおいて、移籍で生活拠点である州が変わるだけでも大変でしょうに、それが隣国とはいえ国を越えるとなると想像もつきません。家族がいるとなれば尚更でしょう。


しかし、それがわかっていても自分の贔屓チームにトレードで行きたくないとノーを突きつけられるのは、ファンとしてそれなりに傷つくものです。そんなブルージェイズに2年連続で大物選手が来てくれました。その喜びはとても、とても大きいのです。それもゴーズマンはメッツからブルージェイズ以上のオファーを受けていたようですが、それでもブルージェイズを選んで来てくれました。

ファンとしてこれほど嬉しいことはありません。FA選手から見ても行きたいと思わせるだけの魅力的なチーム作りが出来ている証左です。


かつてトロントの地でデビューを飾ったピッチャーがいま、大きく成長してブルージェイズのユニフォームを纏おうとしています。ケビン・ゴーズマンのこれから、ブルージェイズというチームのこれからが今から楽しみでなりません。