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ガブリエル・モレノを推したい


どうも、ヤスです。今回は私の推したいトッププロスペクトについて書きます。その名はGabriel Moreno、ブルージェイズの球団プロスペクトランキングで1位の選手です。


MLBのファンであれば贔屓のプロスペクトに夢を見ることも多いと思います。とかくプロスペクトというのは有望なほどトレードの弾に使われがちですが、トレードされずメジャーへ昇格してきて、そのままスター選手へ成長した時のカタルシスはたまらないものがあるのです。いま私がそんな夢を抱いているのがGabriel Morenoというトッププロスペクトなのです。


私は2010年からブルージェイズを追い始めましたが、ブルージェイズのCと言えば古くはジョン・バック、パワーワンツールで打撃はとんでもないフリースインガー、Cとしてはブロッキングでポロポロしていた印象しかないJP.アレンシビア、スイッチヒッターのディオナー・ナバーロ、22年ぶりに地区優勝した2015年からは、パイレーツからFAで出身国であるカナダへ来てくれたラッセル・マーティンの時代がしばらく続き、最近ではダニー・ジャンセンがしっかりとレギュラー級の選手へと成長してきました。


しかし、マイナーで非常に高い評価を受け、来年にはメジャーに到達してこようかというMorenoのようなCプロスペクトは、私のファン歴で見たことがありませんでした。間違いなく、私のブルージェイズファン歴においてNo.1のCプロスペクトです。そんな私をワクワクさせてくれる未来のスターC、Gabriel Morenoの名前をこのNoteを読んでくださる方に覚えていただきたく、今回の紹介といたします。


Gabriel Moreno 基本プロフィール




フルネーム:Gabriel Jose Moreno

ニックネーム:Luli

出身:ベネズエラ ララ州バルキシメト

生年月日:2000/2/14(21歳

ポジション:C

身長/体重 5フィート11インチ(約180cm)/160ポンド(約73kg)

投/打 R/R


プロ入り:2016年12月 インターナショナルFAから契約金2万5000ドルで入団

ニックネームのLuliは彼の母親がよく歌を歌ってくれて、その歌にLuliというフレーズがよく出て来たそうです。それを聞いていた彼の兄がLuliとMorenoを呼び始めたことで定着したとのこと。



今年彼ほど名を上げたプロスペクトもなかなかいないのではないでしょうか。開幕前はMLB.COMにおけるトップ100プロスペクトに入っていない存在でしたが、最終的には全体32位にランクインする大躍進。Baseball Americaに至っては全体8位と非常に高い評価を受けました。BAのライター間では全体1位プロスペクトであるAdley RutschmanとMorenoで、どっちをCプロスペクトとして上に置くかという議論もあったとか。親指の骨折で試合数が少なかったことだけが残念でしたが、まさにサクセスストーリー尽くしの1年となりました。



今でこそCのトッププロスペクトとして将来を嘱望されるMorenoですが、実はプロ入りする前はSSとしてプレーしていました。それがブルージェイズのスカウトが彼を見にきた際、Cとしてプレーしてみてくれないかと彼に要望し、そのプレーぶりを見たあとすぐにオファーしたそうです。


2016年のこと、ガブリエル・モレノという名のベネズエラ人ショートストップが、ワークアウト中ブルージェイズのスカウトに声をかけられた。ホームプレートの後ろへ行って、キャッチャーのように何度かセカンドへ向けて投げてくれないだろうか、と。これはモレノがその日に予想していたことではなかったが、彼はそのとおりにし、熱心にプレーした。打撃と守備の練習をしてワークアウトを終えた後、すぐにブルージェイズから契約のオファーが来た。モレノは代理人と父に相談し、両者ともそのアイディアに賛成はしてくれたが、それでもやはり、一度もプレーしたことがないポジションだった。


2016年と言えば今やスーパースターへと成長したブラディミール・ゲレーロJr.と2015年に契約した影響で、インターナショナルFA全体で使える契約金が30万ドルに制限されていた年でした。それがたった2万5000ドルという、格安も格安の契約金で獲得したMorenoが今やトッププロスペクトとして名を馳せているのですから、わからないものです。当時のスカウトはすばらしい慧眼でしたね。


打撃について


画像1

(Milb.comより)

画像2

(AFLでの成績 Baseball Referenseより)


打撃フォーム



彼の最大の武器はその類稀な打撃センスにあります。今年はAAで打率.367 OPS1.060と爆発、Arizona Fall Leagueでも18日現在OPS.909と好調。寝かせた構えからインパクト前にクイっとヒッチするのが特徴的ですが、スイング自体はとても綺麗なものです。


そんな彼の打撃力には、Baseball Americaにおける最新の評価でヒットツール:70がつきました。Cをやりながらこれだけ打撃力で高い評価を受けたプロスペクトは、少なくとも私は見たことがありません。高いコンタクト技術に加え、アプローチも進歩を遂げました。今季マイナー154打数で四球/三振が14/25。AFLでは18日現在94打数で13/13と選球眼を身につけています。闇雲に振りに行くような打者ではないという点も彼の強みです。



高めのファストボールをしばいたホームラン


ファストボールを右方向へ

甘くなった変化球をホームラン。コンパクトで速く、強い、すばらしいスイングです。



こちらは先日行われたAFLオールスターでのプレー場面。ショートゴロの当たりですが、全力疾走でセーフ、シングルヒットにしました。彼のスピード評価は40がついていますが、これを見る限り平均以下のスピードには見えないですね。このあたりは元々SSとしてプレーしていた影響か、たびたび評価される彼の運動能力の高さが表れている感があります。


彼の打撃センスは特別なようで、マイナーの打撃コーチであるハンター・メンスも賞賛しています。

「ロチェスターで彼は何かについて話したり、取り組んだりして、それをすぐに試合で応用する能力が非常に高いことを見せてくれた」とメンスは言う。「ケージの中で何かを試し、それが実際に試合の中で起こるのを見ることが出来る、そんな能力を持った選手はほとんど見たことがない。それに関して彼は稀有な存在だ」


メジャーに昇格してきた時、彼のバットがいったいどんな数々のハイライトを生み出してくれるのか、今から楽しみで仕方ありません。


守備について


彼が自身をトッププロスペクトたらしめているのは、守備力も兼ね備えているからです。Baseball Americaのスカウティングスケールでは、守備:55 肩:60のグレードがつけられています。




スローイングも素早く、かつ強い送球が出来ています。メジャーレベルでも十分な守備力を発揮できそうです。



ブルージェイズのファームディレクターであるギル・キムは、Morenoが今年その若さに比してリーダーシップ、ルーティーン面でステップアップを果たしたことに満足しているとのこと。


さらにAFLでは3Bの守備にも2試合就きました。見てみましょう。





……これはまだまだ練習が必要そうです。しかし動きはなかなか俊敏なので、練習さえ積めば守れるレベルまで行くかもしれません。


ただ、あくまで彼のメインポジションはC。これはメジャーに昇格した際、彼の打撃力を最大限に活かすための策でしょう。Cの選手は基本的に毎日プレーすることはありません。



Ross Atkins described the hot corner as “very realistic” for Moreno but the debate internally will be, “how much time do we give it relative to catching?” Moreno’s bat is obviously the key but he’s a talented defender who can handle home plate, so for the moment third base is more about creating positional flexibility and opening up more pathways to the majors, rather than seeking a better spot on the diamond for him. 

アトキンスがMorenoの3Bを“非常に現実的”と表現していますが、野手としてよりよいポジションを探すというより、メジャーに昇格した時のポジション的柔軟性を高めるのが狙いとのこと。Cを守らない時に3B、あるいはDHで出場することで打撃力を発揮させることになりそうです。


さて、ここまでいかがでしたでしょうか。いずれメジャーに名を轟かすスターCとなるかもしれないGabriel Morenoという名前、覚えておいて損はないと思います。メジャーに昇格した時どんなキャリアを歩んでいくのか、とても楽しみな逸材です。

おまけ



AFLにてサインに応じるMorenoという一幕。なぜかサンダル。


トップ写真は@Mlbpipeline より