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32歳の春。この小さな景色を忘れない。

この春、5年間暮らした隠岐を離れて東京へ戻り、4月から東京藝術大学大学院の美術研究科へ進学する。ここにたどりつくまでの経緯なんかは、またどこかでゆっくりと書きたいなと思うけれど、あわただしく3月は過ぎ去っていき、たくさんの人と別れの挨拶をしては手を握った。

ああ、この人とはもっと深く関わることができたかもしれないなあ、と思うこともあれば、いやあ本当によくやったよなあ、と5年間の日々を振り返りながら大切な人たちと一緒にお酒を飲んだ夜もあった。

そして3月28日フェリーに乗って隠岐を離れた。前向きなことも後ろ向きなことも、自分の中には今もたくさんの感情があって、その感情をほぐして、ほどいて、自分なりに消化していくにはもう少し、あと1ヶ月くらい時間が必要なのかもしれない。でも、そうやってゆっくりと時間をかけていきたい。

そして4月5日に東京藝術大学の入学式があった。まさか32歳の春に自分が入学式を迎えることは想像もしなかったけれど、朝から少しだけ浮き足だった気持ちで地下鉄に乗って上野駅へ向かった。

そして上野駅から上野公園を抜けて、東京藝大のキャンパスへ。これから入学式に向かうであろう人達の背中が少しずつ目に入ってきて、ちょうど上野公園と東京藝大のキャンパスの境目あたりで、そのぼんやりとした景色が鮮明になってくるような感じだった。

このあたりには旧東京音楽学校の奏楽堂があって、キャンパスに向けて少し道が開けていて、いくつか背の高い街路樹が並んでいる。その間を風が吹き抜けてきて、おだやかな春の日のやわらかな光が差し込んでくる。ほんの短い時間だったけれど、このときに自分が包み込まれた空気、このときに感じた優しい気持ち、それを忘れないでいたいと思う。

旧東京音楽学校の奏楽堂前

そして上野キャンパスに着くと、正門の前は長蛇の列で、記念写真らしい写真は撮れなかったけれど、こんな風に日々の気持ちや、小さな景色を忘れないでいたいと思うこの春。ゆっくりと大切に味わっていきたいと思う。

またつらつらと書いていきますので、よかったらお立ち寄りください。

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