見出し画像

ミュージカル「ライオン・キング」とバリ島とNY

先日、TV東京で放送された「新・美の巨人たち」で、
劇団四季のライオンキングが特集されていた。

劇団四季による日本公演は今年で25周年とのこと。
幸運にも初日から1週間後のチケットが取れて、
狂喜乱舞しながら観劇したあの日がなつかしい。
その後、通算で何回観たかは忘れてしまったが、
何度観ても色褪せない素晴らしい作品。

そして僕がこの作品に触れる度に、
バリ島とニューヨークという2つの大好きな土地へ思いを馳せてしまうので、
そのことについて書いておこうと思う。

1つめはバリ島で観たワヤン・クリ。

ワヤン・クリ@オカ・カルティニ・ホテル

初めて劇団四季の「ライオン・キング」を観た時に、
影絵のシーンが独創的で、とても印象に残った。

1幕でムファサとシンバがサバンナを歩くシーンや、
スカーに餌にされてしまうネズミのシーンとか、
2幕クライマックスでのシンバとスカーの格闘シーンとか。

演出家のジュリー・テイモアさんが、インタビューか何かで
「インドネシアの影絵の要素も取り入れた」とおっしゃっていたことから、
本場のインドネシア影絵劇が観てみたくなり、
2006年にバリ島を旅行した際に観に行ってみた。

山間部にあるウブドにオカ・カルティニというホテルがあり、そこが会場。
ちなみに坂本龍一が長期滞在していたことで有名。
公演は日没後にホテルの庭の片隅で開催されていた。

まずはホテルの支配人らしき人が現れて、劇の内容を説明してくれる。

 ”ワヤン・クリは、お祭りの儀式で演じられる重要な芸能。
 今宵は、インドの古代叙事詩「マハーバーラタ」から
 生け贄になったビマ」を上演します” 的な。

ストーリーも説明してくれる。

 ”むかしむかし、魔物が住んでいて、その土地を治めている王様に
 生け贄を差し出すように命令しましたとさ。
 それを聞いた王子が、自ら生け贄となって魔物の住処に潜入、
 すったもんだがありまして、王子様が魔物をやっつけましたとさ。
 めでたし、めでたし”

だったかな?

影絵というのは、どこかほのぼのとしたイメージを持っていたが、
ワヤン・クリを観てその考えは一変。

魔物との争いのシーンでは、スクリーンにパペットが打ち付けられて
バシャバシャー!!!っと騒々しい。
おまけに何体ものパペットが入れ替わり立ち代わり登場しては
争いに加わっていくので、かなりアクティブ。

この影絵劇はダランと呼ばれる人形遣が一人で演じるそうだが、
一人で操っているとは思えないほど何体ものパペットが登場し、
尚且つ、彼が声色を使い分けて一人で何役もこなしているそう。

終演後にスクリーン裏側に回ってみた。
(なにせ昔に撮ったものなので手ブレはご容赦ください↓)

ワヤン・クリのスクリーン裏側

石油ランプに照らされたパペットの精巧さ、色鮮やかさに驚く。
特に着色については、影絵にしたら黒でしか映らないんだから
無くて良いじゃん、と僕のような素人は考えるわけだ。

でもでも、スクリーンの裏側(演者がいるほう)は「あの世」であり
観客の側は「現世」という設定なんだそう。
あの世では色鮮やかな美しい世界でも、現世ではモノクロにしか見えない、
ということを表現しているのだとか。

森や土の薫りをのせた夜風に吹かれ、虫の声を聞きながら観た影絵芝居。
旅行の後、ライオンキングの舞台を観る度に、
この夜のワヤン・クリを思い出し、
「現世はモノクロなのか」と物思いに耽ってしまうのだ。

2つめは、2003年11月のニューヨーク旅行。
初の一人旅が海外、しかもニューヨークだったというのは、
今考えると、我ながら勇気あったなーと思う。

その原動力は、本場のブロードウェイミュージカルが観たい!という気持ちが
遂に抑えられなくなったから。
それまでは「英語で観てもどうせ理解できないし」と諦めていたのに
「アイーダ」と「ライオン・キング」の英語版サントラを聴いたことによって
「この歌の迫力を全身で体感したい!」と思うようになる。

ブロードウェイ公演は、現在はミンスコフ劇場での上演だが、
僕が旅行した当時はニューアムステルダム劇場(現在アラジン上演中)
での上演。

ニューアムステルダム劇場で観たライオン・キング

遂に念願叶ったブロードウェイ公演、
しかも中央ブロックの最前列という素晴らしい席。
俳優さんから発せられるエネルギー、そして声の音圧のようなものに
終始ありえないくらい感動して鳥肌立ちっぱなし。
音って空気の振動なんだなーということを妙に実感した。

感動した勢いで、終演後にシンバ役の俳優さんと記念撮影。
もちろん有料だったけど、舞い上がっていたのでホイホイお支払い。
これだけでは飽き足らずシンバのぬいぐるみまで散財。
現在このシンバぬいぐるみは僕の部屋の片隅にいる。
プライドロックとは比較にならない低い棚の上に鎮座し
狭い狭い僕の部屋の平穏を守るべく日夜目を光らせてくれている。

・・・てなことはどーでも良くて、

この時ニューヨークへの一人旅を経験したことによって、
その後のブロードウェイ詣は通算5回になったし、
ミュージカルも翻訳版よりも英語オリジナル版を観るほうが断然楽しくなり、
それと同時に英語習得への意欲は増す一方。

旅行前、ブロードウェイに行こうなどとは全く念頭にないまま、
ただただ興味本位でライオン・キングの英語版のサントラを聴き出した頃は、
英語の歌詞なんて全く聞き取れなかった。
それが、毎日聴いているうちにポツポツと単語が聞こえてきて、
そのことに自分自身が驚いたことをはっきりと覚えている。
僕の場合、ディズニー作品は英語学習教材としても適していたわけだ。

そして、実際にニューヨークへ行ったことで更に刺激を受け、
後々の英語学習に繋がっていったことを考えると、
自分の人生において大きな意味のある旅だったし、
そのきっかけを与えてくれたのがライオン・キングだった気がする。

一番好きなミュージカル作品は何ですか?と聞かれたら、
それは正直なところライオン・キングではない。
でも、バリ島とニューヨークという僕の大好きな土地を
観る度に必ず思い出させてくれる大切な作品であることに変わりはない。

という「ライオン・キング」を巡る思い出でした。
昨年は1本も舞台作品を観なかったし、
劇団四季もしばらく観ていなかったから、今年こそは!?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?