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ハワイ王家のマナを宿す聖地霊廟ロイヤル・モザリウム。

オアフ島ヌウアヌの丘にあるロイヤル・モザリウム。ハワイ語でマウナ・アラと言う。ここはハワイ王家の霊廟である。かつては王族の遺骨はイオラニ宮殿の霊廟に安置されていた。しかし1862年、カメハメハ4世とエマ王妃の愛息であるアルバート王子がわずか4歳で亡くなってしまった際に、すでにイオラニ宮殿内の霊廟がいっぱいで埋葬する場所がなかったのだ。そこでカメハメハ4世とエマ王妃は王家の霊廟にふさわしい新たな土地を探し、現在ロイヤル・モザリウムの土地に王家の霊廟を建設することにしたのだ。
愛息アルバート王子の死後わずか1年3ヶ月でカメハメハ4世も病気で他界してしまう。エマ王妃が愛息だけでなく夫までをも亡くしてしまい、深い悲しみにくれる中、4世の後を継いだカメハメハ5世が1865年に霊廟を完成させたのだ。

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この年の2月3日、カメハメハ4世とアルバート王子の葬儀が行われ、2人の遺骨はさっそくこの霊廟に安置されることになり、さらに同年10月30日の満月の夜、イオラニ宮殿の霊廟に安置されていた18人の遺骨がトーチの明かりが灯る中、神聖な儀式とともに新たな霊廟に移送された。移送された18人の中には、カメハメハ2世、3世とそのお妃、さらにはカメハメハ大王の10代前の先祖とされるハワイ島出身の偉大なチーフ、リロアの遺骨も含まれていたと言われている。
王族やカフナなど身分の高い人物の骨には偉大なマナが宿っていると古代ハワイアンの時代から信じられていた。昔からこうした人たちの骨は山の斜面の洞穴や断崖絶壁の地などに秘密裏に隠され、マナを求めて掘り起こされないように決して探すことができない場所に埋められていた。
先祖代々、王族の骨は手厚く保護されて今はこうしてロイヤル・モザリウムに静かに眠っているのである。この霊廟が一般に公開されるようになったのは1947年のことで、それ以前は王族とその関係者のみが訪れることが許された聖地霊廟だった。

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現在、この霊廟には先の18人を含み、ハワイ王朝7代目の王であるカラカウア王、そしてカラカウア王の跡を継いでハワイ王朝最後の王となったリリウオカラニ女王、さらにはカイウラニ王女やクヒオ王子など王族と、カメハメハ大王の参謀だったジョン・ヤングなどヨーロッパ人を含め、合計53人の魂が眠っている。緑の芝生が敷き詰められた広い敷地内にはカメハメハ直系、カラカウア直系など王族の系列ごとに4つのグループに分けられた埋葬所があり、その墓碑の下に遺骨は安置されているそうだ。

しかし2名ほどこの霊廟に眠っていない王族がいる。ひとりは “人民の王” と呼ばれた6代目のルナルロ王で、彼は亡くなった後も「人民の中にいたい」との遺言により、イオラニ宮殿の斜め向かいに建つカワイハオ教会の敷地内に安置されている。

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そしてもうひとり、この地にいない多くの謎に包まれた人物がカメハメハ大王である。ハワイ史上最強のカリスマ性を発揮した彼はその出生年についても不確かで、誰よりも強力なマナを宿したであろう彼の遺骨を発見することは考古学者たちの夢でもあるのだ。彼を謳ったオリやチャントの中にその暗号が隠されているとか、ハワイ島のワイピオ渓谷の奥地に眠っているとか、コハラ・コーストの海の中にある洞窟に眠っているとか、さまざまな噂や憶測が飛び交っているが、誰も大王の遺骨を発見したものはいないのである。

最後にロイヤル・モザリウムは、ある意味、アメリカ合衆国ではない。
ここはある種の治外法権が適用さえている特別な場所なのだ。この地は合衆国のあらゆる土地法から除外されており、ハワイ州の旗だけ掲げていい(つまり星条旗は掲げてはいけない)ことなど、当時のリリウオカラニ女王の請願により、1900年の米国議会で承認された場所であり、ここだけは今なお、ハワイ王朝の領土と言っても過言ではない。

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霊廟の敷地内に入ってすぐ左側に、エマ女王が植樹したという樹齢150年にもなる「カマニ」の巨木がある。この木は別名「名前を呼ぶ木」と呼ばれ、精霊が宿っていると言われていて、数多くの人たちがこの木に名前を呼ばれたという逸話が残されている不思議な木なのである。
ハワイ王家の霊廟は、王族のマナが色濃く宿る聖地であり、ハワイと深く繋がるためのエネルギーに満ちた場所だと言えよう。

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