読書日記『あの子の考えることは変』(本谷有希子,2009)
中学生か高校生のとき、何気なく手に取って本谷有希子を知るきっかけになった本。
久々に読みたくなったし、手元に欲しくなったので買った。
これは、高井戸でルームシェアをする巡谷(めぐりや)と日田(にった)のおはなし。
ゴミ処理場の煙突からダイオキシンが出てる!ダイオキシンのせいで私の体臭がヤバくなってる!!と騒ぐ日田。(もうこの時点でヤバくて面白い。)
そして、さも常識人かのように日田を観察する巡谷だけど、巡谷も巡谷でヤバい。好きな男をちょっとずつ太らせたあげく、さらにはマッシュルームカットにさせ、彼女と別れさせることを画策しつつ、豚のおもちゃに彼の寝言(「おおーーん」)を録音して愛でる。
全部面白いのだが、音を立てると壁を殴ってくる隣のおばさん(ゲシュタポ、と二人は名付けている)と日田の攻防のシーンが一番好きだ。声を出して笑ってしまう。
日田、やりおる……!!!そして、「あの子の考えることは変」と言わしめるだけの「変さ」がある。
本谷さんは、本当に日常に溶け込む狂気を描くのが上手い。だって日田も巡谷も、学年にひとりは似たひとがいそうだ。
帯には「汚くって可愛い前代未聞の青春エンタ!」とあるが、そんなもんじゃないと思う。
狂気だ。そして、狂気と紙一重の世界で生きている可愛い私たちの物語だ。
読了日:2022/11/28
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