㉖[介護ライブレポート]寒いと訴える義母

義母がショートステイに一時的に入所した時、冬の厚物はあまり必要ないと報告しました。
施設内は24時間365日、全館で適温に保たれているからです。自室のエアコンも自分の好きな温度に調節できます。
冬の厚物は外出の時に必要になるくらいですが、寒がりの義母はほとんど外出しませんし、コロナ禍の今は外出も制限されています。

ところが、ケアハウスに転居してから、冬物をもっと持ってきてほしいと義母から連絡をもらいました。
早速、施設に持って行ったのですが、その後しばらくしてから、再度、ひざ掛けをもってきてほしいとTELが来たのです。
さらに、3週間ほど後に、施設のスタッフさんから「電気あんかを用意してほしい」との連絡が来ました。
続けて寒さ対策の連絡をいただいたので、カミさんも自分も首を捻りました。
ケアハウスも全館空調システムでコントロールされていますし、室温もエアコンで調節できるはずなのに・・・

カミさんは、「義母の筋肉量が落ちている」のが原因ではないかと推理しました。
義母の動きが鈍くなっていることはご報告しましたが、こんな影響が出てきたのかもしれません。

立命館大学スポーツ健康科学部の藤田聡教授は、「歩数を普段の3割ほどに減らすと、たった2週間で筋肉量が約4%減少した」という研究結果を報告しています。
10人の健康な高齢者男女(平均年齢72歳)に、活動量を減らすよう指示し、毎日の歩数を2週間にわたって減らしました。(平均歩数は5962歩から1413歩と約76%減少)その結果、脚の骨格筋量は約3.9%減少しました。
(出典:J Clin Endocrinol Metab. 2013 Jun;98(6):2604-12.)
筋トレを3カ月間必死に頑張っても、増える量は3~4%ほどと言われていますので、たったの2週間で骨格筋量が4%も減るという結果は「歩くこと」の重要性を示唆してします。
それにしても、歩くのをサボると驚くほど短期間で筋肉が落ちていくようです。

体温が低くなる原因の90%は「筋肉量」の低下と言われています。
筋肉は体の中で最大の「熱をつくる器官」だからです。

ちなみに筋肉量が減ると、「基礎代謝」が低下します。
「基礎代謝」とは、安静にしている状態でいきるために必要最低限のエネルギー代謝のことです。
この基礎代謝が低下すると、カロリーを使わなくなるために内臓脂肪が増加しやすくなります。
筋肉量が減ると、体温を維持するために、筋肉が減った分を脂肪でカバーしようとするのです。

体温が低くなる原因は「筋肉量の低下」以外には、「エアコン」と「ストレス」などが原因として考えられています。
エアコンで快適な温度の部屋で生活していると、暑さや寒さの刺激を受けることが少なくなります。
体温の調節をするシステムを使わなくなるために、サボり出すのです。

また、「ストレス」は筋肉を分解するホルモンを分泌させます。
このため、筋肉量の減少(体温を低くする)に働いてしまいます。

体温が低くなることが、今の時期に心配なのは、免疫機能について影響することです。
体温は重要なバイタルサインのひとつですが、体温が下がると血液の流れが悪くなります。
血液の中には、免疫機能の要になる白血球が流れており、体の中に不審な異物がないかをパトロールしています。
血液の流れが悪くなると、白血球の働きが低下するので、免疫機能が落ちると考えられています。

うーん。体温が低くなると免疫機能が低下するのか。これはえらいこっちゃ!
体温を保つためにも、内臓脂肪の予防のためにも、動くことが大事ですね。
それから、ある程度の暑さや寒さを体で感じることも。

コロナの影響で、日常生活における運動量の低下と体重の増加が報告されています。
私も意識して運動をするようにしましょう。

義母のおかげでまたまた勉強できました。
今回の記事が皆さまの親孝行に役立ちますように。


以上

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