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『幸せについて』 (やさしい本棚)

やさしい気もちになれる本。心がほのかにあたたかくなるような言葉に出会いました。

『幸せについて』(谷川俊太郎)

 詩人の谷川俊太郎さんの「幸せ」論。「人生論」は一切出版してこなかった谷川さんが、87 歳(当時)で初めて、「幸せ」をテーマに、全編書き下ろした書籍だそうです。

 谷川さんが紡ぐ言葉は、ひとつひとつ心に書き留めたくなるように美しい。短い文章が連なり、描き出されるさまざまな「幸せ」。
 ぱっと開いて、出てきた言葉を読んでみます。今日出会ったのは、こんな言葉。今の自分にぴったりでした。

 ココロには気持ちの山谷(やまたに)があるでしょ、訳も分からず悲しくなったり、いきなり理由もなくはしゃぎたくなったり。(中略) 移り気ってコトバがあるけど、気分はお天気と同じで晴れたり曇ったり嵐になったりする。いつも穏やかな気分でいられれば、それこそ幸せってもんだと思うけど。

『幸せについて』/ p6(谷川俊太郎)

 なんと、カバーは全部で3種類あるそうです。知らずに購入してしまいました……! 知っていたらじっくり考えて選んだのに。これから手にとる方は、ぜひカバーを選ぶ楽しみも味わってください。

 あとがきの一部をご紹介。

 幸せについて語る言葉は掃いて捨てるほどありますが、どれも明快なものではありません。幸せという美しい蝶は、ピンでとめて標本にすることが出来ない

『幸せについて』「あとがき」(谷川俊太郎)

■『幸せについて』(谷川俊太郎/ナナロク社)

(文・写真/Shoko)

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