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かつてない世界のために

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記事一覧

他者の悲しみを消費する者たち

『窓の外の結婚式』
原作:柳美里
演出:堀川炎
芸術監督:平田オリザ

 これは、日本における「ケア」観念の欠如による加害の連鎖の物語である。
 利賀創造交流館のおおきなブラックボックス。舞台下手には洗濯ロープがゆったりと張られ、大きな白いシーツがかかっている。中央手前にダイニングテーブル、イスが向かい合わせに2脚、背もたれのない二人掛けのチェアが1つ。下手奥にスタンドライトが置かれている。上手に

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人住まうところに夜叉の棲む~人ならざるものへの餞について

『夜叉ヶ池』
演出:宮城聰
出演:SPAC

 これは、おんなとして生きることの絶望と、少しばかりの慰めについての物語である。
 さらさらと水の流れる音、小鳥のさえずりが聞こえる。萩原晃と妻の百合がゆっくりと紗幕の奥に浮かび上がり、百合は互いの手首に赤い布を巻きつけ、晃が「水は、美しい」と語ると、共に川へと身を投げる。観客が驚く間もなく、スクリーンにエンドロールが流れる。「夜叉ヶ池」と銘打たれ、俳

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'そこ'にいる、わたしたちの記憶のための夜

うさぎストライプ『いないかもしれない』
作・演出 大池容子
*「観劇三昧」での配信公演を鑑賞

 この世界は残酷だ。それがありありと提示された芝居であった。これは、小学校という残酷な場所で、「ノリ」などという言葉を借りて横行していた「いじめ」を乗り越えた(ように見える)一人の女と、彼女を取り巻いた女たちの話である。
 この残酷さについて思うに、「小学生女子集団」というものには、なぜか集団の女子をひ

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絶望より愛をこめて――わたしたちのみち、わたしたちの希望について

『アラサー・ア・ラ・モードS’s』
2020.2.1 あそviva!劇場

脚本・構成・出演 石井萠水
出演 左口三恵 河村若菜 中田百奈美

 この絶望が伝わるだろうか?
 私が涙を止める術を失って呆然と座っているところに、隣の人の笑い声が聞こえる絶望が。
 彼らは知らない。これが「自分からはほど遠い物語だ」と信じている。こんな女の子たちは想像の世界にしかいないと信じきっている。それを目の当たり

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わたしたちはなんと残酷で、愛すべき世界にうまれてきてしまったのだろう

『顕れ〜女神イニイエの涙』(原題『Revelation』)
作 レオノーラ・ミアノ
演出 宮城聰
翻訳 平野暁人
音楽 棚川寛子

 アフリカ史における暗黒点、大航海時代の三角貿易の「加担者」といえば、まずわれわれが思い浮かべるのは西洋人でまちがいないだろう。人が人をモノのように扱い、売り買いし、およそ尊厳ある生命として生涯を全うすることを暴力によって放棄させる――わずか200年ほど前まで、欧州列

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