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Pan American - In Daylight Dub

本作はLabradfordのマークネルソンによるプロジェクトのアンビエントダブ作品を集めた編集盤になる。1990年代のリスニング系のテクノを思わせるシンプルなサウンドとアブストラクトになる手前といった様子の非常に自然な質感で長く聞ける安定した作品に仕上がっている。

Renzoは持続音を積み重ねる中に静かなディレイでゆっくりと飛び交う電子音から徐々にリズムボックスを思わせるリズムが立ち上がる。あくまでも淡々と続くがこのリズムが徐々にダブアプローチによって表情を変化させていくがテンポを落として細かくエディットされたサンプリングと共にそのサウンドの配置に惹き込まれる。

Essoはサインはエコーの中に散りばめられた美しいイントロが印象的だ。質感を保ったまま中盤からやはりリズムボックスを軸にしたリズムが展開されるが、次第に静謐なノイズとダブに囲まれていく。Quarry Aはミニマルミュージックを思わせる導入からリスニングへと徐々に受け渡される構成がシンプルだが非常に音楽的だと感じる。

最後のRunning Dogは、再び持続音から始まる。持続音の響きはメジャーセブンスを意識したフィーリングでFennezにもつながる淡さとエモーショナルなノイズの組み合わせが素晴らしい。基本的には持続音はそのまま続き、そのエコーの中でパーカッシブなシンセ音とサンプリングによる断片的なリズムが挿入されるだけだが、その構造は美しく、エレクトロニカとアンビエントダブという組み合わせが素晴らしい。

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