見出し画像

Gaidaa - Overture

2020年のデビューEP、オランダのネオソウルSSW。オーガニックな仕上がりだがどこか先鋭的な雰囲気もありメロウというだけでは終わらない雰囲気を携えつつ、同時に繊細な側面が言葉の端々に見られる。

冒頭のI Like Troubleは不穏なタイトルだが聞き進むとそれが繊細な感性を綴る故の言葉であることがわかる。そもそも、”some things ain’t the way they seem”見た目通りにいくとは限らない(だからトラブルが好き)と歌い出しから繊細だ。ギターをバックにしたシンプルな歌い出しから徐々にリズムが入り混じるがタイトにまとまったアレンジが印象的だ。エンディングに向けて、テンポダウンしたLoFiアプローチに切り替わる場面が素晴らしい。

続くStrangerでも同様に繊細な側面が打ち出されている。リムショットでメロウに進むネオソウル展開でSabaとJarreau Vandalがフィーチャリングされている。筆者個人的には、オランダのビートメイカーでありアメリカ西海岸とも連動しつつ活動を続けるJarreau Vandalが参加していることに注目した。Jarreau Vandalの非常に手堅いフィーリングがうまく反映されていると思う。

またアルバムは、中盤のInterlude 47で披露されるヴォイスメモで録音されたギターの弾き語り等、全体を通して物語の描写が薄く散りばめられていると感じた。デビュー作の気負いもあるのかもしれない、一方でデビュー作にして流されず長く聞けるビターな作品であるとも感じた。

(過去に書いた文章を再掲しました)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?