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Caldwell - More Unity

Crazy Dobermanでのバンド表現から離れランドンコードウェルは「ユニティ」という作曲コンセプトに基づくソロ作品をカセットで発表した。ユニティは楽曲の作り込みとインプロビゼーションに境を設けないスタイルの追求だ。ただしそのコンセプトを支えるのはランドンコードウェルに加えて、ローカルでのライヴ記録をベースに作成されたEternal Huskとのコラボ作とレコーディングデータをもとにエディットされたFlower Head Ensembleとのコラボ作の両方が収録されている。

全体通してアンビエントドローンを軸としながらゆったりとしたアンサンブルが奏でられているがオルタナティブな雰囲気が常に漂う。どこまでが作り込まれた作曲部分なのかは曖昧だ。しかしインプロビゼーションと思われるパートを含めて全体の雰囲気は極めて落ち着いた、あるいは醒めたトーンが支配している。この辺りはクラスターの諸作にも近いように思う。

There is Nothing Outsideは、トランペットのバックアレンジとドローンの組み合わせがとても美しい。計算されたフレーズが即興に満ちたドローンの中を泳ぐ。中盤以降、細かなシンセフレーズやパーカッションが登場するが終始落ち着いたトーンを崩さない。とても美しい。

Becoming Musicは、ギターによる即興と深いエコーに包まれたトランペットから始まる。ノーウェイブ色の強いアプローチだが後半のハンマービート的なドラムアプローチが心地よい。そして最後は諸作から一転してオンマイクのサックスが奏でるフレーズを軸に進む楽曲だ。終盤は徐々にノイズが施されるがオンマイクのインパクトのままサックスが牽引する。

(過去に書いた文章を再掲しました)

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