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CINEMA dub MONKS - TRES
かつて彼らの走馬灯のような幻影を伴うライヴを何度か見た。演奏はいつも冒頭のドローンからはじまるがライブではうなり笛というのだろうか、メンバーが笛をくるくると回して発する音で表現されていた。これが演奏開始の合図になっていた。そしてピアニカが入る。暗いステージに8mmフィルムによる映像が投射される。力強いウッドベースがプリミティブなリズムを送り出す。
本作はそんなライブの様子が限りなくそのまま記録されているように思う。東京や沖縄でのライヴの様子が思い浮かぶ。冒頭のドローンからピアニカ、そして間断なく続く演奏が次第に熱を帯びていく。力強いリズムから徐々に楽器を持ち替えて細かいパーカッションによるミニマルな演奏に移っていく様は前半のクライマックスではないかと思う。本人達はアルバムはランダム再生で構わないと説明していたが、実際はライヴの一幕のようにここまでの一括りで聞かれるのがもっともスムーズではないかと思う。
街の喧騒がそのまま記録されている。ライヴでは映像に街が映し出されている。そしてコードが示される(6曲目)。この瞬間がとても美しい。バルセロナを想起させるある種のメランコリックな瞬間だ。コードはサンプラーで用意されていたように記憶しているがとても美しく響いていた。
彼らはライヴの終盤にいつも小さなカセットプレーヤーをオンマイクにしてそこから流れる古い楽曲を静かに聞かせていた。それはとてつもなく抒情的なアプローチだった。ここでは最後の曲の後に流れる喧騒としてそのアプローチの一部が継承されている。
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