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Tachycardie - Autonomie Min​é​rale

Jean-Baptiste Geoffroyのパーカッションソロユニット、超絶技巧にして、電子楽器はハンドメイド、パーカッションは身の回りにあるもの、石であったり陶器や木材だったりとのこと。コンセプチュアルであると同時にこのユニットとしてすでに多くの作品を発表していることからも深化するライフワークそのものといった表現作品になっている。

本人の解説によればエレクトロニックコンポジションとパーカッションを同じレベルで共存させたかったという説明がある。またハンドメイドの電子楽器は石や植物の小さな音のディテールを調べてこれに基づいてFrédéric Manciniが作ったものであることが明かされている。ジェフロワの取り組みの深さが窺い知れる。

冒頭からASMR的な刺激を感じる粒感あるパーカッションはその演奏力と表現力に心を奪われるところがある。身辺のあらゆる破片、固形物を観察し演奏する姿が目に浮かぶ。続く2曲目はエレクトロニクス要素に少し比重が置かれているように思える。シンプルなサンプリングサウンドスケープのエディットとパーカッションの組み合わせは作曲と即興を共存させるという目的に向けた露払いのようなトラックだ。

Collision au sens strictは、冒頭からベースライン的な音階を伴ったアプローチに続いて、シーケンスを意識させるシンセフレーズで音楽構造を軸に進むトラックになっている。また、Jusque dans les conditionsは、リズムトラックが意識的に作られていて、Collision au sens strictと並んでポップな展開になっている。これらのトラックから見えるパーカッションの粒立ちの良さは聞いていてとても心地よい。

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